投稿者:バーバラ 投稿日:2005/07/22(Fri) 01:41
皆様からたくさんのご意見、ご感想、また励ましなどを頂いているようで、本当にありがとうございます。
さて、勇次に部屋から蹴りだされたわたしは、その後しばらくの間、ほとんど思考停止状態になってしまい、近くの公園のベンチで呆然と過ごしていました。
二時間あまりもそうしていたでしょうか。
気を取り直して、わたしは近くの公衆電話へ向かいました。その日は、妻の待つ家へと帰る気にもなれず、どこかのホテルでひとりで過ごしたいとおもい、妻へ電話でそれだけ伝えておこうとおもったのです。
「おれだよ」
「あなた・・・いまどこに?」
「ちょっとな・・・いや、実は」
「あなた、聞いてください」
妻はわたしの話をさえぎりました。こんなことは滅多にないことです。
「わたし、決心したんです・・これからはあなたの前で辛い顔をしたりしません・・・あなたに心配させるようなこともしません・・・わたしがしてしまったことは、取り返しがつくようなことではありませんが、せめてあなたと娘に償いができるように、明るく生きていきたいとおもいます・・・だから、戻ってきてください・・・」
わたしはしばし返事をすることができませんでした。
(寛子のそんな必死さが、おれにはまた辛いんだ)
そんな言葉が頭に浮かびました。しかし、電話口の妻の、震えるような声音の健気さが、わたしにそんな言葉を吐かせませんでした。
妻の寛子はもともと強い人間ではありません。いつもおとなしく、ひとの意見に従いがちな女です。ですが、そのときは妻が並々ならぬ決意でいることが伝わってきました。
「・・・わかった、これから家へ戻るよ」
「ありがとうございます・・・。わたしは娘を迎えに行ってきます」
電話が切れた後も、わたしはしばらくそこを立ち去ることが出来ませんでした。
家へ戻ると、ちょうど妻が娘を連れて帰ってきたところでした。妻はわたしを見ると、にこっと微笑みました。そのいかにも無理しているような微笑が、そのときはわたしの心を強く打ちました。
「さあさあ、いつまでも泥んこのついた服を着てないでお着替えしましょ」
「いやー、いまから外へ遊びにいくー」
「ダメ!」
妻は娘を叱りながら、優しい母の目つきで娘を見ています。そんな妻の姿を見ながら、わたしはまた勇次の言葉を思い出してしまいます。
<奥さん、おれとやるときは、いつも失神するまで気をやるんだぜ。何度イっても、すぐにまたシテシテって
せがんでくるのさ。ち*ぽを入れてやると、涙まで流して悦んじゃって、大変なんだぜ>
<縛ってからバイブで焦らしてやれば、すぐにもうなんでもこっちの言うことを聞く女になるよ。フェラもパイズリも中出しもおもいのままさ>
いま目の前の妻を見ていると、勇次の言葉は悪意に満ちた偽りにおもえます。しかし、わたしは、
(本当にそうだろうか・・・)
そんなふうにも、おもってしまうのです。
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