それから一週間ほど経ってようやく届いた物は、ネットで買ったコスプレ用ロングの、明るい茶色のウィッグです。
「今夜もいいだろ?今夜はこれを被ってくれないか?」
それを見た妻の顔は一瞬引き攣った後、見る見る蒼ざめていきます。
妻はこの時点で私に全て話し、泣いて許しを請うと思っていましたが、妻の口から出た言葉は予想とは違うものでした。
「なにそれ?そんな変態のような事は嫌!」
「そう言わずに頼む」
強がっていた妻の目にも、不安からか流石に涙が溜まっていきましたが、それでも浮気について話そうとはしません。
「泣けるほど嫌なのか?」
「別に泣いてなんかいない。急に変な事を言うから驚いただけ」
私が秘密を知っているのかどうか半信半疑のようで、この場は私に逆らわない方が得策だと思ったのか渋々着けましたが、私がそこに見たものは妻の美子ではなく、正しくネットで見た最初の頃のミコの姿そのものだったのです。
おそらくミコの夫は、人妻を寝取って自分の女にした事を、誰かに自慢したかったのでしょうが、その事で関係が終ってしまう事を恐れたのか、人妻が自分の意のままになっている姿を投稿して、自己満足するに留めたのでしょう。
こんな人妻を落としたと自慢するのではなくて、自分の妻として投稿した真意は分かりませんが、ただの浮気相手ではなく、夫のように妻を独占したい思いの現われだったのかも知れません。
夫にもなりたいが、人妻を寝取った男にもなりたい。
それで頻繁に妻と書かなくても良いように、ミコという名前を作ったのかも知れません。
この関係を、誰にも邪魔される事無く永遠に続けたい。
その思いがミコの夫を慎重にさせ、万が一妻を知っている人間が見ても分からないように、必要以上に顔を塗り潰し、この様なウィッグまで着けさせて変装させたのだと思います。
しかし思っていた以上の興奮を得てしまったミコの夫は、何処かに忘れてきてしまったか何らかの理由でウィッグが無い時に写した、投稿するつもりの無かった写真までも、予定外に投稿してしまったのでしょう。
その後の写真もウィッグを着けていないところをみると、ありのままの妻を写して、みんなに見せたくなったのかも知れませんが。
私は妻自ら懺悔させようと、妻を下着姿にするとベッドから離れ、ミコの夫がしていたように写真を撮り始めました。
「あなた、何しているの!写真なんてやめて!」
「撮られていて感じてこないか?」
「こんな格好で写真を撮られて、恥ずかしいだけで感じる訳がないでしょ!」
私の知っている妻なら、ここまでされれば罪悪感に耐え切れず、泣き崩れて謝り続けるはずです。
しかし妻は泣き崩れる事もなく、不安の裏返しなのかも知れませんが、私を罵倒し続けています。
妻はミコの夫に心まで調教されて、変わってしまったのかも知れません。
目の前にいる女は、妻を演じ続けているミコなのかも知れません。
私は悔しさと怒りで狂いそうなのですが、次第に目の前にいる妻を美子ではなくて、ミコとして見てしまっていました。
裏切られた思いが強く、激しい怒りを感じながらも妻に対して不思議な興奮もあり、私の股間は硬くなっているのです。
「凄い・・凄い・・・こんな・・こんな・・凄いー」
私が抱いた事で思い過ごしだったと安心したのか、妻はいつも以上に乱れ、聞いた事の無いような大きな声を出して感じていました。
私は妻の寝息を聞きながら相手は誰なのか考えていましたが、父母会の者としか考えられません。
平日は私の仕事を手伝っていて、ほとんど一緒にいます。
休みの日も買い物に行く程度で、私と出掛けるか家で趣味に没頭しています。
投稿された写真の間隔からも、試合の応援に行った時にホテルや旅館で抱かれているのは明らかで、相手が近くに住んでいて遠征先で待ち合わせて逢っているのなら、月に一度ではどちらかが我慢出来なくなって必ず他の日も逢うなど、今までに何かしらの不審な行動があったはずです。
そう考えた時、私の脳裏に一人の男の顔が浮かびました。
その男は遠くに住んでいるのですが、息子の学校からみれば方角が同じで、やはり息子が越県留学しています。
昔その男も同じスポーツをやっていたらしく熱心で、車では行けないような余程遠い遠征先で無い限り、ほとんどの試合に車で行っていて、帰る方向が同じ妻を頻繁に乗せて来てくれたのです
が、最近はそのような事も一切無くなり、昨年は妻の話にも頻繁に出てきたのですが、最近では他の父母は出てきてもその男の話は聞いた事がなく、その事が逆に不自然に感じたのです。
確か名前は佐々木と言い、年は私よりも4つ上だと妻から聞いた事があるので50のはずです。
「佐々木さんは元気にしてみえるか?」
「えっ・・佐々木さん?・・・・佐々木さんって・・・・どこの・佐々木さん?」
私は妻の反応を見るために、その男の名前を出すと妻は取り乱してしまい、咄嗟に惚けていました。
佐々木とはよくある名字ですが、私の周りにも妻の知り合いにも佐々木という人間はいません。
「ほら。試合の応援に行った帰りに、帰る方向が一緒だからと言ってよく送ってもらっただろ」
「あっ・・・あの・・佐々木さんね・・・・・・・元気だけれど、急にどうしたの?」
「いや、お袋が電話して来て、仏壇を洗いに出したいから良い店を知らないかと聞かれたから。
確か佐々木さんは仏壇店を経営していたよな」
「そうだったかしら・・・・・・・」
「何を言っているんだ。美子から聞いた話だぞ」
「そうだとしても父母会の中で、お金が絡むような付き合いはしたくないからやめましょうよ。それに、通り道だと言って送ってくれていたけど、家が近い訳でもないし」
確かに我が家からは直線でも50キロはありますが、妻は私を佐々木とは会わせたくないようで、この話を何とかやめさせようと、私の嘘の話しだとも気付かずに必死でした。
「あなた、今夜は何が食べたい?」
妻はその後も違う話をして、何とか彼の話題から話を逸らそうとします。
「昨年は毎月のように送ってくれたのに、最近は向こうで一緒になっても送ってもらえないのか。何か不味い事でもあったのか?例えばおかしな関係になりそうになったとか」
「ば・・馬鹿な事を言わないで!」
「おっ、むきに成るところを見ると、既におかしな関係になっていて、痴話喧嘩でもしたとか?冗談だ。そう怒るな。本当にそう思っていたら、逆にそんな話は出来ない」
「冗談でも言わないで!別に何もないわよ。最近私は観光も兼ねて泊まってくるし、佐々木さんは仕事が忙しくなったのか、試合が終わると慰労会にも出席しないで、急いで帰られる事が多くなったから・・・・・もう佐々木さんの話はいいでしょ?」
佐々木について話す妻は落ち着きがなく、明らかに動揺しているのが分かります。
怒っていながら私の目を絶対に見ない妻の態度からも、相手は佐々木に間違いないと確信しましたが、そんな事を考えている内に、私の心に恐怖心のようなものが芽生えていました。
それは私が知る限り、妻は浮気など出来る女では無いという事です。
セックスもあまり好きでは無いので、体だけの関係も考えられません。
もしもそうなら、佐々木に対して心の繋がりがある事になり、浮気などではなくて本気だという事になってしまいます。
tag : 妻物語
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)