投稿者:KYO 投稿日:2006/03/09(Thu) 21:37
しばらく私は放心状態のようになっていましたが、突然携帯電話が
なりました。発信者は春日です。別れ際に今後の連絡のために番号
を教え合ったのを思い出しました。
「春日です。奥さんと話は出来ましたか」
「あんたに心配してもらうことじゃない」
「すみません。ついさっき、泣きながら電話をかけて来はったので、
気になって……」
「いまだに連絡を取り合っているのか、やはりあんたと妻は深くつ
ながっているようだな」
春日は私の皮肉にもめげず、話し続けます。
「ご主人、ビデオと写真をご覧になったとおっしゃってましたが、
メールも見られたんですか?」
「いや……」
メールはパスワードが解除出来なかったので見ていません。
「この際メールも見てください」
「お前たちの不倫のやりとりなんか見たくない」
「そうじゃないんです。いや、全然そうじゃない訳じゃなくて、い
つ会うかの約束なんかも当然ありますが、ほとんどそうじゃないん
です」
どういうことでしょう。春日が何を言いたいのかさっぱり分かりま
せんでした。
「いいですか、パスワードを言います。『xxxxlove』です。わかり
ましたか? 『xxxxlove』です」
春日はそう言うと電話を切りました。
xxxxというのは私の名前です。どうしてそんな言葉をパスワードに
しているのでしょう。私は自分の部屋に向かい、PCの前に座ると
バックアップしたメールソフトを起動させました。
パスワードを要求されたため、春日に言われた通りxxxxloveと入力
しました。ロックは解除され、メーラーが立ち上がりました。
私は送信フォルダを開きました。最初の妻から春日へあてたメール
は去年の2月のものです。メールの内容は私にとって驚くべきもの
でした。
妻は春日に対して、私が風俗にのめり込むようになったのが、自分
が私の欲求に応えることが出来ない、性的に魅力のない女であるこ
とが原因であることを嘆いていました。特に処女喪失時の痛みが精
神的外傷となって、どうしてもいわゆるオルガスムスを感じること
が出来ないことが、妻としてはともかく、女として面白みがない存
在になっていると訴えていました。
春日は妻のメールに対して、確かにそうかもしれないがそれは十分
治療することが出来る。自分は実際に不感症に悩む人妻の治療をし
たこともある。今はその人妻は旦那と幸せな性生活を送っているな
どと返信していました。
このように書くといかにも妻の悩みに付け込んで、春日がたらし込
もうとしているようで、実際それに続くメールを読んでいてもそう
言ったところはあるのですが、妻からのメールは私との夫婦生活の
悩みで満たされており、このままセックスがなくなって行くと、私
の妻に対する愛も消えて行くのではないかという不安で一杯のよう
でした。
春日からの返信も妻に引き込まれるように真剣になっていきます。
春日の結論は、このまま放っておいても良くなることはない。妻と
私は本当の夫婦のセックスの良さに気づくことはないというもので
した。
妻と春日が始めて関係を持ったのは4月始めです。関係を持ったそ
の日、妻は延々と夫を裏切ったことについての悔恨を綴っています。
春日がそれにやや閉口しながらも妻を必死でなだめる様子が伝わっ
て来ます。
妻が始めて絶頂を感じたのは6月です。妻はその喜びもメールで伝
えていますが、その大半は、これで私に満足してもらえる女になれ
たというものです。
春日はそれに対して、まだ安心しないほうが良い。男とはもっと複
雑なものだとたしなめています。男の予想通り、妻が私と久しぶり
にセックスをした昨年の7月、春日との行為で感じたエクスタシー
を感じることが出来なかったとがっかりした妻のメールがあります。
その後、妻がパニックになったようなメールが続きます。6月の春
日との行為でケジラミを移されたことが分かったのです。春日は妻
との関係の傍ら、風俗にも通っていたようで、自分の不覚を平謝り
に謝っています。ケジラミを私に移したかもしれないと恐慌に陥っ
ている妻を、きっと風俗から移されたと考えるだろうと春日は必死
に宥めています。さらに「ケジラミの治療」ということで悪乗りし
た7月15日の行為(春日の誕生日で妻が始めて剃毛され、さらに
アヌスを責められた日です)のことを詫びるメールが続きます。
妻が弾けたような喜びのメールを春日に送ったのは、私との行為で
始めてエクスタシーを感じた10月のことです。私の身体の上で女
の悦びを極め、ともに絶頂を感じたこと、結婚以来始めて本当の夫
婦だと感じた幸福を春日に伝え、これもすべて春日のおかげだと感
謝しています。春日はやや苦笑しながらも妻を祝福し、自分から卒
業する日も近いことを告げています。
妻の春日へのメールには、春日への愛を表すものは何一つありませ
んでした。そこにあるものは私に対する片思いに似た激しい愛情。
私と身も心も一つになりたい、そのためなら何でもするという熱情
だけでした。
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