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北原夏美 四十路 初裏無修正

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投稿者:MMさん教えて 投稿日:2005/01/18(Tue) 23:35

私四十四歳、妻三十九歳、小学校三年生の娘がいます。
それは半年前の金曜日。
仕事が終わって車に乗り込むと携帯が鳴り、見覚えの無い番号だったので不振に思
いながらも出てみると、聞き覚えの無い低い声でした。
「突然申し訳ない。弥生のご主人か?わしは池村組の池村だ。いつも弥生には世話
になっとります。」
それは、妻が一年前から事務の仕事に行っている先の、土建屋の社長でした。
その会社は、今では多少事業を縮小したもののバブル期に急成長した会社です。
妻の父親も数年前までは会社を経営していて、以前この社長と一緒に商工会議所の
役員をしていた事から懇意になり、その関係で妻は雇ってもらったと聞いていまし
た。
「お世話になっています。妻が何か?」
「電話では話せないので、これから一緒に飯でも食いながら話そう。わしの会社を
知っているか?会社から1キロ位北に行った所の右側に寿司屋が有る。そこで待っ
ているからすぐに来てくれ。」
そう言い終ると、私の都合も聞かずに一方的に電話を切ってしまい、余りの強引さ
や、会社ではそうなのかも知れませんが、私に対しても妻を呼び捨てにする事に良
い気はしませんでしたが、妻の事を考えると邪険にも出来ません。
妻の携帯に電話しましたが電源が切られていたので、いつもの様に実家に行ってい
ると思い、一応自宅にも電話しましたがやはり出ません。
それと言うのも、義父は病気になり入院していたのですが、今は自宅で義母が看て
おり、妻はほとんど毎日仕事が終わると実家に行っています。
義父の心臓にはペースメーカーが入れてあるので、実家にいる時は携帯を切ってい
ると言われています。
会社の建物は、隣の街に有る妻の実家に行く途中の国道沿いに有り、建物自体そう
大きくはないのですが、周りがほとんど田んぼで、わりと目立つために以前から知
っていました。
寿司屋に着いて個室に通されると、そこには高そうなスーツを着た小太りの男が、
大皿に盛られたハマグリを手掴みでガツガツと食べています。
「すまんな。少し待ってくれ。」
初対面で、それも自分から呼び出しておいて、なんて失礼な奴だと思いながらも、
少ない髪に垂れそうなほど整髪料を付けてオールバックにしている頭と、異様に大
きく突き出たお腹で汗を掻きながら、必死に食べている姿が何処か滑稽で、そんな
姿を見詰めながら待っていると、ようやく食べ終わっておしぼりで手を拭きながら。
「悪かったな。わしは酒が呑めんのにハマグリの酒蒸しには目が無くて、温かい内
に全部食ってしまわないと気が済まん。女のハマグリはもっと大好物だが。ワッハ
ハハハハハ。おーい、ビールと料理を持って来い。」
伊勢海老のお造りなどの豪華な料理が並び、ビールを勧められたので。
「車なので、アルコールはご遠慮します。それよりも妻が何かご迷惑でもお掛けし
ましたでしょうか?」
「そう焦らずに料理を食え。人間、腹が減っていては短気になって冷静になれん。」
「いいえ。先に聞かせて頂かないと、落ち着いてご馳走になれません。」
私はこの男と一緒に食事する気に成れずに、早く帰りたくて焦っていました。

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