投稿者:MMさん教えて 投稿日:2005/01/20(Thu) 21:42
この様な時に会社に行っているはずは無いと思っていても、携帯が繋がらないので
探しようが無く、あの男の所へ行ったのかとも思いましたが、自宅も分からないの
で、妻の勤め先に行ってみるしか有りません。
会社に行くと、何故か事務所は暗くて誰もいなかったので、外でトラックに重機を
積んでいた二人組に。
「社長にお会いしたいのですが。」
「社長?今日はたぶん来ないよ。土曜日は現場の者だけで事務は休みだから、部長
に任せて社長はめったに来ない。部長ならもう来る頃だから、部長では駄目か?ど
うしても社長に急用なら自宅へ行きな。ただ土曜日は急に行くと機嫌が悪いから電
話してからの方がいいぞ。」
妻は土曜日も仕事だと言って、毎週出社していたので不安は大きくなり、池村の自
宅を聞いてから、妻の事を何か聞き出せないかと思い。
「そういえば以前、飲み屋で意気投合した夫婦の奥さんの方が、ここに勤めている
と聞いた覚えが有るのですが、元気にしてみえますか?たしか弥生さんという名前
だったと思いますが。」
「弥生?そんな人はいないぞ。」
「おい、あの人の事じゃないのか?社長の。」
もう一人の男が小指を立てながら言うと。
「そうだ。あの色が白くてオッパイのでかい奥さんは、確か弥生とか言ったな。彼
女なら最初ここの事務をしていたが、半年ぐらい前から社長の家のお手伝いさんを
しているよ。事務をしているより給料がいいらしいからな。」
「いや、給料と言うよりお手当てだろ。お手伝いと言っても前から一人いるし、大
きな家だと言っても、二人も必用なほど仕事も無いから、両手に花でいったい何の
お手伝いをさせている事やら。社長は女癖が悪くて、それも人妻専門だからな。い
けねー。調子に乗って喋り過ぎた。社長に会っても今の話は内緒にしてくれよ。」
私は妻の事を完全に信用していて、何も知らない間抜けな亭主でした。
まさかと思っている事が、どんどん現実の物と成っていきます。
池村の家は会社から車で五分程の所に有り、高い塀で囲まれていて、大きく立派な
アルミ製の門扉がある、寄棟作りの豪邸でした。
二人組の言っていたとおり門が閉ざされていたので、インターホンを押しましたが
返事が有りません。
諦めきれずに押し続けていると、ようやくあの男の声がして、家の中から開ける事
が出来るのか、次の瞬間ガチャッという鍵の開く音がしました。
「今開けたから入って来い。家に入ったら玄関のすぐ右の部屋にいるから、勝手に
上がって来い。」
私だと分かった事が不思議で上を見ると、そこには防犯カメラがこちらを見ていま
した。
部屋に入ると、すでにそこにはバスローブを着たあの男が座っていたので。
「弥生を出してくれ。ここにいるのだろ?」
「残念ながらここには来ていない。君に殴られて口の中が切れ、頬も腫れているの
で、今日は休ませてくれと電話があった。暴力も立派な離婚理由になるから、診断
書を貰っておけと言っておいた。女を殴るとは男として最低だな。女を手荒に扱っ
てもいいのはアレの時だけだ。ワッハハハハ。」
その時、年の頃四十二、三歳の着物を着た綺麗な女の人が、お茶を持って来てくれ
たのですが、慌てて着たのか何処となく着崩れしている様に見えました。
私が目で追っていると、池村もそれに気付いたのか。
「今まで何をしていたか分かってしまったか?ワッハハハハ。着物ぐらいきちんと
着て来い。」
彼女は下を向いて、恥ずかしそうに小さな声で。
「申し訳ございません。」
「そんな事はいい。弥生は本当にいないのか?」
「君の想像通り、わしは今こいつを抱いていたから、わしには何処にいるのか分か
らん。たぶん今頃はわしが指定した病院で、診断書を貰う為に診てもらっている頃
じゃないのかな。疑うなら家中探してみるか?」
「今までこの人を抱いていた?お前は妻と結婚したいのだろ?」
「それとこれとは話が別だ。いけないのか?わしは毎日出したくて仕方が無い。浮
気が駄目なら弥生を抱いてもいいのか?ワッハハハ。」
「ふざけるな。」
「そんな事より早く探さなくてもいいのか?おい、家中案内してやれ。」
「はい、旦那様。」
あまりに落ち着き払った態度と、自信ありげな声だったので。
「もういい。必ず訴えてやるからな。」
「訴える?何の罪で?よその奥さんと付き合っているだけで何の罪だ?うちの弁護
士先生によると、身体の関係を持てば不貞行為とやらで民法に触れるらしいが、キ
スぐらいでは罪にならないらしい。今のわし達はそれすらも無い。仮にもう弥生を
抱いた事が有ったとしても、刑法には触れないから金で済む。それに第一証拠も無
い。さあ、何で訴える?」
それまで法律の事など何も知らなかった私は言い返す事も出来ず、情け無い事に負
け犬が尻尾を丸めて逃げるように車に戻りました。
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