投稿者:MMさん教えて 投稿日:2005/01/30(Sun) 21:52
私の知らない所でこんな事が有ったのかと思うと、胸が張り裂けそうでした。
何も知らずに笑って生活していた、自分の鈍感さを悔やみました。
「何度も言うが、どうして俺に言わなかった?俺はそんなに頼りないか?」
「何度も言おうと思いました。でも、長い間借金を返していたパパに、またお金の
事で心配させたく有りませんでした。それに、あんなに辛く当たっていた両親の為
に、パパが一生懸命働いて得たお金を使ったとは言い難かったです。両親にも、パ
パには知られたく無いから言わないでくれと泣いて頼まれて、きっとどうにか出来
る。何か方法は有るはずだと思っている内に、どうにも成らなくなってしまいまし
た。私の考えが甘かったです。ごめんなさい。許して下さい。」
妻はお金に苦労した事は有りません。
私と結婚する以前は勿論ですが、結婚してからも自分の服や娘の物は、ちょくちょ
く実家の両親が買ってくれていた様です。
私は気が付かない振りをしていましたが、娘や孫にも贅沢な生活をさせたくて、時
々現金も渡していた様です。
今聞いた話からすると、実家の会社が上手く行かなくなり出してからも、自分達の
生活を変えなかっただけで無く、まだ妻や娘に色々買い与えていた事になります。
実家の両親にも勿論呆れますが、お金がそう簡単にどうにか出来るはずも無いのに、
お嬢様育ちの妻は、他の事はしっかりしていても、お金に関しての考えは甘かった
ようです。
「私が社長と再婚すれば借金も無くなり、パパと真理は幸せに暮らせます。」
「結局借金で縛られていると言うことだな?今の話だとお金で縛られて、脅されて
いると言う事だな?」
「違います。脅されてなんかいません。」
「何が違う?今の言い方だとそうだろ?池村に脅されて、体の関係を強要させられ
ていたのだろ?」
「違います。社長はお金を貸してくれていただけです。炊事や洗濯、お掃除や雑用
をしていただけで体の関係は有りません。離婚して下さい。お願いします。」
私と離婚したく無いのなら、体の関係を否定するのも分かります。
しかし離婚したいと言っている今、何故ここまで強行に否定する必要が有るのか疑
問でした。
妻が泣き叫びながら否定するのを見ていて、関係を知られたく無いのは慰謝料の問
題だけでは無い様に思いましたが、妻が真実を話してくれなければ、今の私には分
かり様も有りません。
妻が泣き止むのを待って。
「お金は何とかする。この家を担保に銀行から借りればいい。とにかく返してあの
男と完全に縁を切れ。」
「駄目です。社長は私達の身の辺りやあなたの会社の状態までを全て調べてあって、
ここを売っても家は古いから土地だけで一千万。頼れる親戚もいないし、パパの会
社も小さくて今余裕が無く、資産家の友人もいないので、よく集めても二百万。退
職金目当てに退職すれば、小さな会社でたいした額では無いと言っても、どうにか
足りるかも知れないが、歳を考えると今の時代、再就職もままなら無いから、たち
まちその後の生活に困る。一括ではなく家を売って月々の五十万の返済ならしばら
くは返せるが、どちらにしても、わしと完全に縁を切るのは難しそうだなと、以前
笑っていた事が有りました。」
「こんな事で俺達の家庭を壊されてたまるか。財形預金を解約すれば何とかなる。」
「財形預金?」
「ああ、俺の借金が終わってから、最初は月に二万ずつだったが、徐々に掛け金を
増やして、今は月七万円も掛けているから、もう八百万以上は溜まっているだろ?」
泣き止んでいた妻の顔色が見る見る変わり、また啜り泣きをし出しました。
「通帳は俺の机の鍵の掛かる引き出しに入っているし、記帳は面倒なので何年も付
けていないが、給料天引きだから掛け金は給料明細にも載っている筈だし、合計金
額も毎月銀行員が会社に持って来ていた葉書を持ち帰っていたので、当然知ってい
ると思っていた。このお金は無いものとして生活したかったから、この事に付いて
ほとんど話さなかった俺も悪かったが、掛けている事は知っていただろ?本当に知
らなかったのか?」
妻は大きな声で泣き崩れました。
「いいえ、もう無理です。私が社長と再婚すればお金に苦労せずに楽になれます。
父もそうは長く無いと思います。最後まで幸せなまま終わる事が出来ます。何より
私は貧乏な惨めな生活はしたくない。お金持ちが好き。社長と再婚すれば何不自由
無く暮らせます。私は貧乏が嫌いです。離婚して下さい。社長と贅沢をして暮らし
たいです。」
この言葉を聞き、麻子さんの話を聞いていなければ離婚を考えたかも知れません。
今の妻は、以前の麻子さんと同じだと思いました。
ただ麻子さんと違い、借金返済の目処が立っても、依然離婚したいと言い張る妻を、
本当にお金持ちの池村の所に行きたいのかと、疑う気持ちも少し持ちました。
「お金は俺がどうにかするから、もう絶対にあそこには行くな。」
「もう無理です。もう遅いです。社長を愛してしまいました。仮にお金は都合出来
ても、前にも言った様に私はもう普通の女では無いのです。パパに知られるまでは、
普通の奥さんの仮面を被っていましたが、本当は動物以下なのです。私はお金持ち
が好き。パパより社長を愛しています。あの人に相応しい女なのです。ごめんなさ
い。ごめんなさい。」
「どういう意味だ?言っている事がさっぱり分からん。お前が何を言おうと俺は諦
めない。離婚などしない。」
その夜妻は泣きながら実家に帰ってしまいました。
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