投稿者:MMさん教えて 投稿日:2005/02/07(Mon) 20:35
目覚めた妻はシャワーを浴び終えると、また泣き出して私の前に土下座して。
「パパ、ごめんなさい。私行きます。許して下さい。あの人の所に行きます。ごめ
んなさい、ごめんなさい。」
「借金返済の目処はついたのに、他に何を脅されているのか教えてくれ。ママが俺
の事を嫌いになって、本当にあいつを好きになったのなら諦めるが、でも違うだろ?
本当の事を話してくれ。頼む。」
「何も脅されてはいません。あの人を愛してしまったのです。それだけです。お願
いです、行かせて下さい。」
脅されているだけだと思っていても、この期に及んでもまだ池村を愛していると言
う妻に、私の自信も揺らぎそうでしたが。
「ママと別れたら俺の人生は終わりだ。情け無いが、ママの事を忘れて生きて行く
自信も無い。その時は命を捨てて戦う。ママをあいつに渡すぐらいなら刺し違えて
やる。それでも良いなら行け。」
本当に死ぬ覚悟が出来ているのかどうか、自分でも分かりません。
しかし、そう言って妻を脅し、その後妻が泣き止むのを待って。
「俺はママの車を返してもらってくるから一緒に乗って行って、ママは俺の車で真
理の所に行って来い。真理も何か普段と違う事は気付いているだろうと思う。寂し
い思いをしているだろうから行ってやれ。出来れば連れて帰って来て、今夜は三人
で食事をしよう。どちらにしても俺は実家には行かないから、ママだけでも夕方に
は帰って来いよ。」
頷いた妻を乗せて家を出ると。
「パパ、私が取って来ます。」
「まだそんな事を。ママは二度と行くな。さっきも言った様に、今後あの家に近付
いたら俺は命を懸けて戦う。」
「違います、それが心配で。」
「ママさえ俺の言う事を守ってくれたら早まった事はしない。自分から人生を捨て
る様な事はしない。」
池村の家の近くで私だけ降りて、妻は私の車を運転して実家に向かいました。
池村は今日も家にいて、いつもの部屋で。
「弥生はどうした?」
「妻は来ない。」
「来ない?」
「今日は妻が借りているお金の事で話が有る。借金は俺が返す。だからもう二度と
妻はここに来る事は無い。今日明日と言う訳には行かないが、必ず返すから今後妻
に近付くな。」
「弥生がもう来ない?それはどうかな?君は弥生を二十四時間見張っている積もり
か?わしとは金だけの繋がりだと思っているのか?弥生はわしを愛してしまったと
言っていただろ?借金が有ろうが無かろうが、弥生は必ずわしの所へ戻って来る。
わしは誰から返してもらおうと構わないから、君が返すと言えば別に文句は無いが、
勿体無いとは思わないのか?君が返そうが返すまいが、遅かれ早かれ必ず別れる事
に成る。別れてわしと結婚すれば借金はなくなるのに、お金が勿体無いとは思わん
か?まあ、借金を返してもらった上に弥生と結婚出来れば、わしにとってはその方
が良いがな。ワッハハハハハ。」
「妻はもう二度と来ない。俺達も別れる事は無い。万が一将来違う理由で別れる事
が有っても、お前の様な男にだけには絶対に渡さない。妻のバッグと服を返しても
らおう。バッグに車のキーも入っているそうだから早く返せ。」
すると池村は急に黙り、暫らく考えてから何度も頷き。
「今持って来させるから少し待て。それならば、わしも君に大事な話がある。今ま
で弥生との体の関係を否定していたが、嘘をついていた。でもこれは、慰謝料を払
わないで良いように隠していたのでは無くて、君に出来るだけショックを与えずに
別れてもらおうと思ってした、わしの善意だ。だから初めから別れてくれれば五百
万払うと言っていたのだ。」
麻子さんから聞いて分かっていた事とは言っても、やはり当人に認められる事はシ
ョックでした。
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