投稿者:MMさん教えて 投稿日:2005/02/16(Wed) 06:07
家に戻り、明かりの点いていない静まり返った部屋で考えていました。
私は妻を疑っていて、汚れた女と思い始めているのではないのか?
意地になっているだけで、妻の事を諦め始めているのではないのか?
確かに妻が近くにいない方が、気が楽になっている自分に気付いています。
しかし、意地になっているだけかも知れませんが、このまま別れる事は悔しくて耐
えられないのも事実です。
妻が池村を愛してしまった事が真実かも知れませんが、まだ私の中にすっきりとし
ない物が有り、このまま別れてしまえば、後で後悔するかも知れないという思いも
有ります。
私の勤めている会社は、社長と専務である奥様、常務の息子さん、あとはパートさ
んを合わせても社員十五人の小さな家庭的な会社なので、明日休暇を貰う為に、直
接社長の家に電話すると奥様が出られ、体の調子が優れないので明日病院で検査し
て貰うという嘘に、快く一つ返事で許可してくれ、逆に私の体を気遣ってくれたの
で、申し訳ない気持ちで一杯になりました。
色々考えていて中々寝付かれず、妻を止めに朝早くに妻の実家に行こうと思ってい
た筈が、この大事な時に少し寝過ごしてしまい、慌てて実家に向かいました。
池村の屋敷には及びませんが、妻の実家も塀に囲まれ、立派な門の有る大きな家で
す。
門の横に車を止めて中に入ると、妻の車が有りません。
その時玄関を掃いている義母と目が合い、お辞儀だけして池村の家に急ごうと思っ
た時に、義母から声が掛かりました。
「久し振りに会ったのに、挨拶も無く行ってしまうの?」
「あっ、すみません。御無沙汰しております。弥生に急用が有るので失礼します。」
「弥生は今、真理ちゃんを学校に送って行ったからもう少ししたら戻ります。丁度
良かったわ。あなたに少しお話が有ります。上がって下さい。」
「いいえ、弥生はそのまま仕事に行くと思いますのでまたの機会にお願いします。」
「今日あの子は、お昼の仕度からで良いので、一度戻って十時半に出掛けると言っ
ていましたから、心配しないで上がりなさい。逃げるの?」
私には、義母から逃げなくては成らない事は何一つ有りません。
本当ならこちらから言いたい事が山ほど有るのです。
しかし妻の事を考えて我慢していたのですが、義母の後を付いて座敷に通されて庭
を見ると怒りを覚えました。
それは庭木が綺麗に手入れされている事です。
これは庭師さんが来た証拠で、妻や義母、ましてや寝たきりの義父には出来ません。
これだけの庭を手入れするのに、いくら掛かるのかは分かりませんが、未だにこの様
な生活を続けている事は許せませんでした。
「お義母さん。あなた達は何を考えているのです?庭になんかお金を掛けて。弥生
から全て聞きました。あなた達のせいで私達が困っているのに、いい加減にして下
さい。弥生はそのせいで嫌な仕事に毎日行っているのですよ。私も一文無しに成っ
てしまいます。」
義母は悪びれもせずに、逆に怒った顔になり。
「一文無し?何を言っているの?まあいいわ、私もその事でお話が有ります。弥生
から止められていたので黙っていましたが、丁度良い機会だわ。あなたが今おっし
ゃった事ですけれど、私の方が言いたかったの。先ず初めに、親が困っている時に
子供が助けるのは当たり前です。今まで手塩に掛けて育てた娘が、人様の所で働く
なんて夢にも思っていませんでした。あなたに甲斐性が無いから娘が働かなくては
成らない様になったのです。人のせいにしないで。最初から私達が勧めた人と結婚
していれば、この様な事には成りませんでした。」
義母には常識が通用しないと分かっていても我慢出来ずに。
「責任転嫁するな。あなた達が無知で、その上その時に合った生活をしないからだ
ろ。お金も無いのにいつまで見栄を張っている。この庭を見てみろ。」
「あなたに言われたく有りません。この庭は池村さんが、定期的に庭師さんをよこ
してくれているのです。あなたに関係有りません。」
「池村?お義母さん達もあんな男とまだ関わっているのか?何を考えているんだ。」
「あんな男?あの方はお金持ちだし、あなたでは足元にも及ばない立派な方です。」
これだけ騙されても、あの男を立派だと言う心理が分かりません。
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