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北原夏美 四十路 初裏無修正

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翌日私は、不機嫌な顔で妻の帰りを待っていました。
「ありがとう。久し振りに楽しかった」
私が返事もしないで部屋を出ると、妻はすぐに後を追って来ます。
「どうしたの?何かあったの?」
妻にとっては、たいした事では無かったのかも知れません。
しかし私の怒っている理由すら分からない事に、更に怒りは増して行きます。
「あの電話は何だ!俺に電話して来た時、何をされた」「何をされたって・・・・・・・あなたに電話して・・・・・・・・・みんなに冷やかされて・・・・・・・・・隣に座っていた健ちゃんが、ふざけて私に抱き付いて・・あっ・・・・・・・」
「もしも俺が昔の恋人と同窓会で会って、抱き合っていても酔っていればいいのだな?人妻に平気で抱きつく男と、抱きつかれて喜んでいる女。おまえの考え方はよく分かった」
ようやく妻は神妙な顔になります。
「すみませんでした。羽目を外し過ぎました。許して下さい」
20数年ぶりに懐かしい仲間と会って飲み過ぎて、はしゃいでしまう気持ちが分からない訳ではありません。
ただでさえ旅の恥は掻き捨てで開放的になるのに、妻の場合は看病から解放されて、より開放的になってしまったのでしょう。
しかし横に座って抱き付いて来たのは、ただの幼馴染みでは無いのです。
妻から電話して来た事で、彼と疚しい関係で無い事は分かるのですが、疑い出すと、逆に疚しいから疑われない様に電話して来たともとれるのです。
妻が反省して謝った事で今回は許し、今迄通りの平穏な生活が続いたのですが、同窓会から2ヵ月が過ぎた頃、急に妻が同窓会の打ち合わせに行かせて欲しいと言い出しました。
「なぜ次の幹事になった事を黙っていた」
「あの時は私が羽目を外してしまって・・・・・・あなたに嫌な思いをさせてしまったから・・・言えなくなって・・・・・」
「誰と幹事をする?」
「・・・・・圭子と言う・・・・3年生の時に仲の良かった子・・・・・・・」
妻は一瞬言葉に詰まりました。
「それにしても、次の同窓会は5年後だろうから、いくら何でも早過ぎるだろ」
「それが・・・・・・・・」
温泉での同窓会が好評で、参加人数は減っても毎年やれと言う声が上がり、それならば色々な人が出席出来るように、毎年お盆ばかりではなくて、隔年で正月にする事に決まったそうです。
「来年はお正月の番だから、すぐに来てしまうの」
「幹事と言う事は、朋子は次回も出席するのだな?」
「勝手にごめんなさい。断わったのだけれど、最後には多数決で決められてしまって。一度やったら次の人に交替していく事に決まったので、今回だけなのでお願いします」
結局妻は打ち合わせに行ったのですが、帰って来てもその話題には触れません。
「正月の同窓会は、何処ですることになった?」
「えっ・・・ええ・・前回と同じ所。それよりも、この間お隣の奥さんが・・・」
私が聞いても、妻はわざと話を逸らします。

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