CR 11/6(火) 15:42:56 No.20071106154256 削除
事務所から興信所までのゆっくり歩いて15分程度の道が遠く感じま
す。
「随分早いですな。後4,5分待って下さい」
待っている間、所長も無言です。その無言が堪えられません。
「出来ました。説明しましょう」
所長の説明を受けます。月曜日の日中、火曜日の夜と水曜日の朝そ
して金曜日の夜と土曜日の朝の報告です。写真が何枚か添付されて
います。
月曜日の日中:時間と場所が書かれています。2時過ぎ、場所は市
郊外のラブホテルです。タクシーを利用しています。地元でもあり
慎重なのでしょう。車がそのまま、建屋に入り、二人の姿、顔はホ
テルのドアーを入る時に確認できる程度です。タクシーを呼んだの
でしょう、タクシーが建屋に入った後、4時半頃二人が出てきま
す。妻の表情は良く解りませんが、笑っているようです。佐伯の左
腕に自分の右腕を預けています。
火曜日:妻はいつものシティーホテルに1時頃入ります。夜7時、二
人がホテルから出てきます。腕を組んでいます。7時半、北新地の
ラブホテル街に入ります。一軒のラブホテルの門をくぐります。10
時半頃、二人は出てきます。11時頃シティーホテルに戻ります。水
曜日の朝10時頃妻が一人で出てきます。
金曜日:二人は新幹線ひかりの同じ車両に乗り込みます。席は隣り
合っています。米原で特急しらさぎに乗り換え金沢に向かいます。
勿論席は隣同士です。夜6時に温泉旅館に二人は入り、翌朝10時に
旅館を出ます。
「ご覧の通りです。月曜日二人はラブホテルで何をしたか歴然で
す。まさか仕事の打ち合わせでは無いでしょう。火曜日のシティー
ホテル、金曜日の旅館の中での事は解りません。しかし佐伯も馬鹿
ですな、わざわざ北新地のラブホテルまで出向いている。いい証拠
をくれた」
何と二人は火曜日まで待てず、月曜日にも関係をもっているので
す。私は所長の話を聞いていません。数枚の写真が私を打ちのめし
ます。
北新地のラブホテルから二人が出てくる写真。妻は佐伯の左腕に両
手を絡め全身を預けるようにぶら下っています。その頭は佐伯の左
肩に預けています。顔に至福の表情を浮かべて。預けているのは体
だけではありません、心までも預けているのです。
ひかり、しらさぎの車中の写真。妻の手から妻の箸から食べる佐
伯、一つのコップで二人で飲むお茶。妻はもう私の妻ではありませ
ん、佐伯の妻のようです。
私の顔が余りにも深刻だったのでしょう。
「宮下さん、お気の毒です。女は皆、こんな顔をします。喜びをく
れた男には、夫にでもそうではなくても。ただ他の写真も見て下さ
い。奥さんを観察していても、沈んでいた時の方が多い気がしました」
「・・・・・」
「今日帰りに一杯どうですか?」
私に否やはありません。このまま家には帰れません。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)