CR 11/7(水) 19:06:36 No.20071107190636 削除
道路を渡る信号は丁度青です。急いで渡り、二人の前に仁王立ちに
なります。走ったせいか息が切れています。妻は私を見ても、一瞬
誰だか解らないような顔をしています。私は妻を見てはいません。
佐伯を睨み付けています。妻は私が解ったのでしょう。
「貴方、どうして此処に?」
私は妻を無視します。
「佐伯、まだ俺が誰だか解らないようだな」
「あっ、宮下さんのご主人」
「やっと、解ったな」
「これから奥さんと業者の打ち合わせに」
「聞きもしない事を言わなくていい。こんな遅い時間に、腕を組ん
で打ち合わせに行くのか。行く所はラブホテルだろ」
とっさの事に二人は腕を組んだままです。あわてて腕を解きます。
「貴方、これは違うの」
「うるさい。何とどう違うんだ。お前は喋らなくていい」
「貴様っ!」
佐伯の顔面にパンチを2発、そして股間を強かに蹴り上げます。
「ギェッ」
佐伯はもんどりうって倒れます。背広のポケットから財布と何がし
かの物が零れ落ちます。
妻は茫然として立ちすくんでいます。
私はピンク色した、形状の違う2つの小さな箱をそっと拾い上げ、
自分のポケットに仕舞います。
「貴方、聞いて」
「聞く事は何もない」
「・・・・・」
「俺は帰る。お前はもう帰ってくるな、佐伯と乳繰り合ってろ」
妻を見ると涙を流しているようです。それが又気に入りません。
「俺に佐伯が殴られてそんなに悲しいか」
「違います」
佐伯がのろのろと起き上がってきます。
「佐伯、精々可愛がってやれ」
私は踵を返してその場から立ち去ります。
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