CR 11/14(水) 22:45:01 No.20071114224501 削除
「所長の所に寄ってくる」
報告の必要は無いのでしょうが、不思議です、全てを話したくなっ
てきます。携帯を妻が差し出した事、佐伯と昨日会った事、妻が入
院した事を話します。
「そうか、佐伯と会ったか。それで佐伯の事はどうするんだね」
「慰謝料で済ませる積もりはありません。社会的立場をなくしてや
りたい」
「君が手を下すまでも無く、佐伯の立場はなくなる」
「どう言う事ですか?」
「君には全て話そうと思っていた。もうその時期だな。前にも言っ
た通り佐伯の身辺調査をしている。その結果は火曜日に依頼人に渡
す。その後君にもな」
調査の依頼人は未だ明かせないと言う前提がありますが、調査の内
容を大筋で話してくれます。
「君も知っての通り、佐伯は社長の甥だ。専務の妹、出戻りだが
ね、その妹と佐伯の結婚話が持ち上がっていた。専務は次期社長。
筋から言ってその次は佐伯になる。将来の社長の身辺がきな臭いも
のであればしょうがない」
所長は淡々と語ります。
「佐伯は大阪センターの建設担当役員も兼任している。佐伯と大阪
の建設業者の間で前々からきな臭い噂があった。女の方も相当ある」
「・・・・・」
「業者からの金銭授受も多少のものなら目を瞑れる。女の方は金で
整理がつくかも知れない」
出来るだけ詳細な報告をと依頼されたのです。ここまで聞けば依頼
主が誰なのか私にも大凡の見当はつきます。
「その程度の物であれば、佐伯には訓告で済ませたと思う」
「その程度では無かった?」
「その通りだ。女はともかく金が程度を超えていた」
「そうですか」
「言うまでも無いが、この事は奥さんにも佐伯にも時期がくるまで
話さないでほしい」
「勿論です。私は私の材料で戦います。でもその時期とは?」
「来週一杯と言っておこう」
佐伯の人間性が解ります、妻をこいつだけには何があっても渡せま
せん。
「妻が昨日入院しました」
「どうしてそれを早く話さない。早く病院に行ってあげるんだ」
「今は会えません。妻の顔を見れば出てくる言葉は一つです」
「そうか。どうして入院したんだね」
「大量の睡眠薬を飲んだと」
私の携帯に着信があります。 病院からです。
「奥さんの担当医です。ご主人、今日病院に寄ってもらえますか」
「直ぐ伺います」
松下さんに直帰する旨伝え、病院に向かいます。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)