CR 11/17(土) 21:10:37 No.20071117211037 削除
自分の思いを聞いてもらうとある程度気持ちが治まります。まだ3
時、決心がつかぬまま佐伯のマンションへと向かいます。途中電話
をします。
「宮下だ。居るようだな。今から行く」
豪華なマンションです。この近郊一番と言って良いでしょう。金回
りの良いのが解ります。玄関を開けた時から佐伯の態度は卑屈です。
「大会社の常務ともなると、さすがいい所に住んでるんだな」
「ご主人、本当に申し訳ない。ほんの出来心で、洋子と、いや奥さ
んと気が合ってしまって」
「何が出来心だ、何が気が合っただ。人の女房を名前で呼ぶな」
「すまん。しかしあれが初めてだったんだ。月曜日が初めてだったんだ」
佐伯は足掻きます。
「違うな。妻から聞いた。初めて大阪に出張した時から続いていたんだな」
「いや、違う」
「いい加減に認めたらどうなんだ」
「・・・・・」
「どうする。民事告訴してもいいぞ。弁護士を立てるか」
「慰謝料を払ってもいい」
「払ってもいいとはどう言う事なんだ。俺は慰謝料で済ませる積も
りは無い」
この時、佐伯は身辺調査の事は知りません。専務の妹との婚姻がそ
のまま進むものだと思っているのです。出来るだけ穏便に済ませた
い、慰謝料で済ませたいと思っているのです。
「妻は今入院している。お前のお陰でな。酷い体にしてくれたな。
頭も体もぼろぼろだ。今は眠りっぱなしだ。告訴する時は医者の診
断書も添える。覚悟しておくんだな」
こんな事で民事告訴出切るかどうかは知りません。出来たとしても
妻の診断書まで世間に晒す訳にはいきません、妻をそこまでは引き
ずり出せません。
私が強く出ると佐伯の態度が変わります。
「洋子は食事に誘っただけで、俺の唾を飲んだぞ。よほど飢えるて
いたんだな」
「うるさい。かたをつけてやる」
『佐伯には言いたい事と言った。何れ片がつくだろう。問題は妻だ』
妻の入院中には話せません。退院してからにしようと思います。妻
ももう目が覚めた頃でしょう。妻に会ってみる事にします。
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