CR 11/20(火) 22:22:41 No.20071120222241 削除
家に戻り妻に事の顛末を話します。
「良かったな。お前を500万で買ってくれるそうだ」
最後にはこんな言葉しか出てこないのです。
「500万入ったら、全てお前にくれてやるから、出て行ってくれ」
「いやっ、出て行きたくない。そんなお金なんか欲しくない」
「お前の体で稼いだ金だ。一回あたり10万だ。高級売春婦でも稼げないぞ」
「・・・・・」
「それから、携帯の事で言っておこう。お前たちの携帯にはテレビ
電話の録画保存の機能はついていない。お前は取説を見なかったのか」
「見ました。でも他に方法があるかも知れないと思うと」
「抱かれる言い訳を自分で作ったわけだ」
「違います」
「何故、携帯を壊した」
「私の携帯にも残っているかも知れないと思いました」
「兎に角そう言うものはなかった。残念だな。お前が善がるところ
を俺も見たかったよ」
妻を甚振る言葉しか出てこないのです。妻が出て行く事はない、そ
う思っています。私は卑怯な男です。妻と今後どうするのか、考え
ていてもそんな話は出来そうにありません。妻の顔を見れば甚振り
手を上げてしまう。このままでは二人共壊れてしまう。私は決心を
します。短期滞在型のアパートを借りる事にします。市役所からは
離婚届けの用紙を貰ってきます。
「洋子、俺はアパートを借りた。暫くそこで暮らす」
「いや、行かないで下さい。一緒に居て下さい」
「それから、これは離婚届けの用紙だ。俺の名前はまだ書いていな
いが、お前が書いたら俺も書く」
本当に卑怯な男です。こんな大事な事まで、弱い妻に預けてしまう
のです、自分で結論を出せないのです。 ”許してください、出て
行きたくない。貴方を愛している”と何度も何度も言わせたいのです。
泣いている妻の声を背中にして、その日の内に身の回りのものを纏
めアパート暮らしが始まります。一人になった妻が何をしているの
か、気にならないわけがありません。気にしていても家を覗く事も出来ません。
同日、山岡さんと会います。
「宮下さん、その後どうだね?」
先ず、佐伯との事を話します。2通の書類を見せます。
「君らしいな。それで金はいつ用意させるんだね?」
「妻と決着をつけてからです」
「うーん、そうか。佐伯の金はなくなるぞ」
会社として佐伯の処遇が決定したのです。
「奥さんとはどうするんだね?」
アパートを借り、私がそこで仮暮らしをしている事を伝えます。
「良くないな。今が一番大事な時じゃないかね。別れるつもりな
ら、それでもいいんだろうが」
「それを決める為に別居したのです。一緒に居たのでは自分の気持
ちが見えてきません」
「それで決まったのかね」
「いいえ」
「一緒に居て、罵ってでも解る事もあるのではないかね」
自分の行動を他人に決めてもらおうとは思っていません。しかし、
所長の言う事はいちいち理にかなっています。
その後、所長から聞いた佐伯の処遇は私の想像を遥かに超えたものです。
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