CR 11/21(水) 11:50:03 No.20071121115003 削除
「写真で私の中の鍵が外れてしまったのです」
「嘘の写真でな。どうして俺に聞かなかった」
「聞くべきだったと思います。でもあの時は聞こうとは思いませんでした」
「いい言い訳が出来たわけだ」
「違います。でもそうかも知れません」
「はっきり言ったらどうなんだ、これで佐伯に抱いてもらえると」
「多分・・・・」
「多分、何なんだ」
「自分を許すものが欲しかったのです」
「結局、お前は抱かれたかったと言うことだ」
性に積極的ではなかった私、自分の性欲に気づいた妻。妻は自分の
欲求をぶつける相手を私ではなく佐伯を選んでしまったのです。そ
れから4ヶ月余りも続いてしまったのです。
「4ヶ月間、たっぷり楽しんだと言うわけだ」
「苦しんでもいました。夜眠れませんでした」
眠れなくなった妻は睡眠誘導剤を処方してもらったのです。
「白々しい事を言うな。ばれなければ、もっと続けるつもりだった
んだろこの写真を見ろ。これが苦しんでいる顔か。心を預けた顔だ」
報告書の写真をぶつけます。
「心を預けていた?私、そんな顔をしていたのですね。長い間、不
倫をしていても、貴方は何も言ってくれなかった。気がついている
のに、何も言ってくれないのだと、もう私には関心がないのだと、
そう思っていました」
「勝手な事を言うな。俺は気がついていなかった。証拠もないのに
聞けるわけがないだろ」
「あの時、貴方が大阪に来てくれた時、ほっとしました、これで終
われると。嬉しかった、まだ貴方に気にかけて頂いていると」
これで終われるとほっとした妻も、後で録画の事を思い出します。
もし佐伯にそれをばら撒かれても、その時は私と別れて、何処か別
の土地で暮らそうと思ったのです。
「それで、もう会社には居場所が無いと言ったのか」
「そうかも知れません」
「会社は辞めても、この家からは出て行かなかった」
「初めは別れて頂こうと思いました。でもやっぱり貴方の傍に居た
かった。メールされても、貴方が許して下さるなら、貴方と暮らしたかった」
「自分の都合ばかり言ってるな、お前は。俺の事など何も考えてない」
此処まで話しても妻は涙を見せません。妻の決心が本当なら、妻も
それ相応に覚悟を決めた事になります。しかし、妻の言っている事
は自分に都合のいい事ばかりです。不倫している妻に気がついて責
めて欲しかった。後になって言える事です。録画の件も、それは存
在しないと解ったから言える事です。私にはそんな風に思えるのです。
「綺麗事言っているが、今日また佐伯に抱かれたわけだ、お前の体
が疼いてな」
「違います。抱かれてなんかいません」
抱かれていない事は妻の体を見て解っています。それでも私は言わ
ずにはいられないのです。
「どうして行ったんだ」
「一度は会わなくては、決別の為に一度はと思っていました」
あれだけの快楽を与えてくれた佐伯です。会えばまた抱いて欲しく
なるに決まっている、私はそう思っていました。妻の思いは逆だっ
たのです。佐伯と会っても自分の気持ちは変わらない、その確信が
欲しかったのです。
佐伯が来る前に離婚届に名を書き印を押します。メモを書きます
が、離婚届をの後には文字が続きません。
「どうして離婚届けを書いた」
「もし佐伯に抱かれたら私はそれまでの女です。もう貴方の元には帰れません」
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