CR 11/22(木) 09:49:38 No.20071122094938 削除
自分の気持ちを確かめる為とは言え、妻は大芝居を打ったのです。
私への贖罪とこれからの貞節の印を刻んだのです。思えば睡眠誘導
剤を飲んだ時からその芝居が始まっていたのかも知れません。
私は妻の膝元に歩み寄ります。
「傷を見せなさい」
絆創膏を剥がしますと、固まった血糊の薄皮も剥がれます。そこか
らまた血が流れ出るのです。それは妻の血の思いの涙なのです。私
は思わず妻の血を舐めます、流れ出る血を吸い取るのです。私の首
筋に熱いものが落ちてきます。見上げますと妻は泣いています。
「有難う、貴方」
許したわけではありません。妻の心情を思うと、せめて血を舐めて
あげたかったのです。しかし、抱きしめる事は出来ません。
「今日はこれで戻る。明日朝また来る」
このまま家に居た方がいいのかも知れません。しかし、過去の事、
今日の事、もう一度アパートで考える事にします。
許そうと思っても、浮かんでくるのは10月17日の妻の痴態、変わっ
てしまった妻の女陰、着けていた下着。そこから連想できる佐伯と
の絡み。打ち消しても打ち消しても出てきます。佐伯のものが機能
を果たしていても、妻は受け入れなかっただろうか?佐伯はもう来
週には大阪へ発ちます。しかし佐伯が居なくなっても、あれだけ変
わってしまった妻は他に男を求めないだろうか?きっかけがあれば
又、他の男に走ってしまうのでは?
ふと自分の気持ちに気がつきます。妻との別れを考えていないので
す。妻と暮らした場合の心配事ばかり考えています。娘の明子の事
もあります。明子は私たち夫婦の出来事は知りません。このまま知
らせずに済ませたい。夫婦の過去20余年の暮らしがあります。共に
笑いもし、泣きもしました。破産しても愚痴一つ言わず一緒に頑張
ってくれました。
明くる朝、6時に目が覚めました。そのまま妻の居る家に向かいま
す。6時半、家に着きます。
『洋子はまだ寝ているかも知れないな』
家には入らず、庭の花を眺めています。何やらクリスマスローズも
元気がありません。妻も暫く忘れていたのでしょうか。軒先にある
水撒きで水をやります。
妻が自転車で帰ってきます。籠にはパン屋のレジ袋が入っていま
す。近所に朝早くから開いているパン屋さんがあるのです。出来立
てのパンの香りが漂っています。私の腹の虫もグゥと鳴いています。
「貴方、水遣りして頂いているのですか」
「ああ、何にでも水遣りは必要だ」
これから妻を許せる日が来るのか、妻の痴態はいつ消えるのか?今
の私には解りません。解らないまま別れるより、解らなくとも一緒
に暮らす事を選びました。正しい選択であったどうかは、妻が答え
てくれると思っています。アパートを解約し、家での妻との暮らし
が再開されました。
読んで頂いた皆様へ
長い間、有難う御座いました。皆様のご感想で、どれ程励まされた
事か。私の勇気になりました。妻と別れずにすんだのも、皆様のご
感想が一助になっていると思います。
管理人様へ
長い間、紙面をお借りしました。有難う御座いました。
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