洋子 4/8(火) 18:12:08 No.20080408181208 削除
10月17日、それは25年前主人と私が始めて会った日です。主人と私の大学での対抗
水泳大会の初日でした。忘れていたわけではありません。佐伯とこうなってしまって
思い出す事がなかったのです。主人と出合った大切な日が遠くに行ってしまったのです。
主人は覚えていてくれました。私の事を疑いながらもこの日を大切に思っていてくれた
のです。それなのに私はテレビ電話で佐伯に指示されながらオナニーに耽っていました。
主人の思いが嬉しくて、私の行為が情けなくて涙が出てきます。押さえ切れなくなり、
テーブルにつけふして泣き崩れました。
「どうかしたのか?」
「嬉しいんです。それなのに・・・」
「特別な記念日でもなんでもない、君はこのところ忙しかった。
忘れる事もあるさ」
こんな私を主人は気遣ってくれます。こんな時でも時間が気になります。佐伯との
約束の10時にもう直ぐなります。私は決心します。電話に出てもう断ろうと。
トイレに行きます。
「佐伯だ。もう四日も洋子を生の洋子を見ていない、
今日も君のオナニーが見たい。善がるところをたっぷり見せてくれ」
「出来ません。昨日もうしないと言ったわ」
「昨日は昨日だ。今日は気が変わった」
「絶対に出来ません」
「まあ仕方がないか、今日のところはいい。
その代り月曜日にたっぷり可愛がってあげよう。
それから火曜日と金曜日は出張だ」
「もう出来ません、出張にも行けません」
「来週は都合が付かないのか?」
「いいえ、違います、もう止めたいのです。もう会社も辞めます」
「それは困ったな、ご主人にお伝えしなければいけないな。それに
録画してあるテレビ電話のファイルを会社の皆に流さなくてはな」
「そっそんな酷い事しないで下さい」
「みんな喜ぶぞ、洋子の善がる顔は絶品だからな」
「酷いです。止めてください」
「じゃ来週はいいんだな。予定通りだぞ」
「解りました」
以前も録画してあるテレビ電話を楽しんでいると言われていました。佐伯の持って
いる携帯は私のものと同じです。取扱説明書を読んでもテレビ電話の録画機能の事
はどこにも書いてありません。でも何か方法があるのでしょう、佐伯はそれを録画
していたのです。断りたかった。主人に言われるのは仕方がありません、私が主人
に責められて離婚されても仕方の無い事です。でも会社のみんなに知らされるのは
耐えられません。主人も後ろ指を指されて生きてゆく事になります。これからも佐伯
に抱かれるしかないのです。
私は佐伯を愛している、佐伯も私を愛してくれている。だから抱かれている、そう
思っていました、そう思い込ませていました。でもそれは脆くも崩れてしまいました。
佐伯は私の事など何とも思ってはいなかった。只の遊び相手、それだけの事だったの
です。私の中にいた佐伯が嘘のように消えていきました。
トイレのドアー越しに主人の声が聞こえます。今日は疲れたからもう寝る、そう言った
主人は寝室へと階段を上がっていきました。一人リビングに残された私はただ茫然
としているだけです。何故こんな事になってしまったのでしょう、私にはもう明日が
ありません、主人との未来がなくなってしまったのです。浮かんでくるのは死ぬ事
でした。でも自殺する勇気もないのです。
日曜日の朝、いつも主人が用意してくれる朝ご飯がありません。当たり前の事です。
主人はもう気が付いています。こんな妻に食事を用意してくれる夫がどこの世界に
居るでしょうか。私が用意しました。でも手をつけてくれません。主人は自分で
コーヒーを煎れ、新聞を少し読んだだけで席を立ちました。
「どうされたのですか?具合が悪いのですか?」
「いや何でもない、見たい映画があるから見てくる。
体が鈍っている、その後水泳に行ってくる。晩飯も要らない」
「昨日の夜の事、怒ってるんですか?」
「いや。それから来週は台湾のメーカーが来る。朝も夜も食事は要らない」
主人は休みの日はいつも私に時間を作ってくれました。朝から晩まで私と一緒に過ごして
くれました。私はもう主人から見放されたのかも知れません。私は勝手な女です、淫乱で
エゴイストで、どうしようもない女です。主人は由美子さんと楽しくすごしているのかも
知れない、そんな事を思ってしまうのです。
主人は7時ごろ戻りました。ただいまの声も掛けてくれません。バスに入った後、リビング
で少しお酒を飲んで直ぐに自分の部屋に行きました。私にはおやすみも何の言葉も掛けて
くれません。
月曜日の夜、佐伯に抱かれます。主人には残業で遅くなると言ってあります。
止めたいと言った筈なのに、抱かれると安堵感に包まれます。中に精を放たれ何度
も絶頂に達します。心では止めようと思っても、体が佐伯の愛撫に反応してしまう
のです。完全に佐伯の女に成りきっていたのです。佐伯の本性が解っても次を期待
している私がいるのです。
「洋子、口ではもう止めたいと言っても、体はこの通りじゃないか。
もっと素直になれ、ばれたら俺のところに来ればいい」
「・・・・・」
その夜遅く帰っても、主人はまだ帰っていません。
11時頃主人が帰ってきました。険しい顔をしています。
「貴方、どうかされたのですか?」
「ああ、少し疲れただけだ」
「あのぅ、貴方、今日急に出張が決ったの。明日、大阪で一泊、
それから金曜に金沢で一泊なの、行っていいですか?」
「仕事だろ、勝手にしろ」
こんな険しい言葉を聞いたのは初めてでした。寂しさがつのります。
もう主人は私の事に気がついている、でも主人の気持を思いやれないでまだ佐伯に
抱かれようとしている私。主人がベッドについた後、睡眠薬を飲んで眠ります。
火曜日の朝、私が起きた時にはもう主人はいませんでした。主人に打ち明ける事も
出来ず佐伯に抱かれる為に大阪に行く私、主人に申し訳無いと思っている私とメス犬
の私、どちらも私です。死と言う言葉が大きくなってきます。でもメス犬のままでは
死にたくありません。そんな事を思っても、佐伯の腕の中にいると私のメス犬は目を
覚まします。帰りの新幹線の中では佐伯の肩に頭を預けて眠っていました。
水曜日8時頃帰宅しました。ベッドの支度をしようとして二人の寝室に行きました。
主人のベッドがありません、主人のものは仕事部屋に移されていました。
主人は2時頃帰りました。一言もなく仕事部屋に行きました。私から声を掛ける事は
出来ません。せめて出来る事は主人より早く起きて、主人より遅く寝る。朝晩の食事
を作らなくていいと言われていても用意する事でした。
木曜日、朝5時に起きて朝ご飯を作ります。主人は一瞥もせずに出かけました。木曜日
の夜、主人はついに帰宅しませんでした。もう私達は終ってしまったのかも知れません。
いいえ私が壊したのです。
金曜日に佐伯に抱かれ土曜日の夕方家に帰りました。主人はベッドで寝ています。
「ただいま、お疲れのようですね、大丈夫ですか?」
「いや、昨日徹夜で少し眠かっただけだ」
お粥を作りダイニングのテーブルに用意して主人に声を掛けます。
「いや、要らない」
主人から返ってくる言葉はそれだけです。今日もまた、最近常用するようになって
しまった睡眠薬を飲んで眠りました。
月曜日、主人が12時頃帰宅しました。私の顔をじっと睨みます。そのまま仕事部屋に
行きました。
『解っているのなら、責めて下さい。早く打ち明けさせて下さい』
いつもより沢山の睡眠薬を飲んで眠りました。
火曜日、課長から明日大阪へ出張してくれと言われます。佐伯と一緒です。
私には断る気力も理由もありません。
その夜、主人に伝えます。
「そうか、勝手に行けばいい」
一瞬、主人の顔色が変わりました。いつもの口調と違います、何か怖い感じがしました。
仕事で来た出張ではありません。私を一晩中抱く為に佐伯が作った空出張です。
6時過ぎ着替えをすませて、佐伯と二人でホテルを出ます。ホテルのエントランスを
出て佐伯と腕を組んで歩いていました。通りの向こうから横断歩道を横切って一人の
男の方が走ってきます、そして二人の前に立ちはだかりました。
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