洋子 4/10(木) 12:54:31 No.20080410125431 削除
主人を追いかけて夜行で帰ってきた事を説明します。主人は細かい事を私に尋ねます。
ー どうして佐伯と腕を組んで歩いていたのか? ー
ー 何故、主人の電話に出なかったのか? ー
私は主人からの電話には出なかった。いいえ、佐伯に携帯の電源を切るように言われて
いたのです。仕事の時は私用の携帯の電源は切るべきだと、そう佐伯に言われていた
のです。主人から指摘されます。俺が死んでも娘の明子が死んでもお前には連絡が
出来ないのだと、佐伯に抱かれている間に俺に明子に異変があってもお前は平気
なんだと。佐伯とこう言う関係になっても明子の事は考えた事はなかったのです。
明子の名前を聞いてあらためて現実の世界に引き戻されました。今頃、事の重大さ
に気がついたのです。
主人にはそんな細かい事はどうでも良い筈です。確証が無いと行動しない主人の事です。
大阪まで来たのは何か証拠を掴んでの事だと思います。主人が核心に触れないのは
私が言い出すのを待っているのでしょうか?でも私の方から言い出す勇気はありません。
そんな時、佐伯から家に電話があります。主人に出てもらいます。佐伯の電話で主人は
納得したわけではないでしょうが、解ったと言って主人は電話を置きました。
主人は2階に上がり封筒を持ってきました。
「これを見てみろ」
封筒には興信所の名前がありました。中身を見るまでもありません。私と佐伯の不倫
の記録です。この封筒を見た時に瞬時に過去の色々な事が頭を駆け巡りました。
ー A亭での食事の帰りにどうして佐伯の車に乗ってしまったのでしょうか?タクシーで
帰れた筈です。ー
ー 初めての大阪出張の帰り際に佐伯から渡された写真をどうして主人に見せ、説明
を聞かなかったのか? ー
ー 2度目の大阪出張を一旦断ったのに、佐伯に脅され受けてしまった。この時点なら
主人に相談出来た筈です。ー
今考えても仕方の無い事が浮かんで来ます。その時そうしなかったのは主人とでは経験
出来なかった性の快楽を知りたかったのです。主人に解らなければといいと思ってしまった
のです。
興信所の報告書を見せられて、私に反論出来る術はありません。せめて写真を見せる
だけです。バッグから写真を取り出し主人に見せました。
「この写真がどうかしたか?」
「貴方と松下さんが写っているわ」
「Uホテルに食事に行った時の写真だな。たまには松下さんを誘って外食する事
がある。それがどうかしたか?」
「入る時と出る時の時間が」
「時間?この写真では3時間ホテルに居た事になってるな」
ホテルを出る時、由美子さんは嬉しそうに主人を見上げています。主人は私が何を
考えていたのか解ったようです。
「洋子、君は私と松下さんに食事以外に何かあったと思っているのか?」
「3時間も居て、松下さんはあんなに嬉しそうな顔をしてる」
「馬鹿な。僕は浮気なんかした事もない。しかも松下さんは内の社員だ。そんな人に
手を出すわけがないだろう」
「・・・・・」
「つまり、君はありもしない僕の浮気に復讐したわけだ」
主人は2階からノートパソコンを持ってきます。パソコンには主人の過去の行動も全て
記録されています。
写真の日付の7月11日には主人は台湾にいた事、由美子さんとUホテルで食事をしたのは、
7月10日である事、しかもその日は台北行きのフライトに乗る為にホテルは13時前に
出なければならなかった事を説明されます。しかも11日には私は台北のホテルに電話
をかけ主人と話しをしているのです。主人に指摘されるまで忘れていました。
「佐伯が偽造したんだな、お前の気を引く為にな。お前もお前だ、どうして
俺に聞かなかった?」
「・・・・・」
「そうか、聞く必要もないか。佐伯の言う事は全部信用できるからな。
元々お前は佐伯に抱かれたかったんだ、写真を言い訳にしただけだ。違うか」
私には主人に答える言葉がありません。馬鹿だった私、ただ黙って泣いているしか
ありません。
「洋子、お前は俺との事は全て忘れているようだな。めったにくれない電話をかけて
くれた事も、10月17日の事も。もう俺との事はどうでも良くなったみたいだな」
「・・・・・」
「佐伯の事は何でも聞けるんだ。携帯の電源を切れと言われれば切る、スカートを
はけと言われればはく、髪を短くしろと言われれば短くする。お前はもう佐伯の
女なんだな」
「違います。許してください、私が悪かったんです」
「私が悪かった?それで済むのか?佐伯は悪くないのか?」
「いいえ、そんな意味ではありません」
暫く沈黙がありました。主人の次の言葉が怖いのです、別れると言う言葉が怖いのです。
「この写真は預かっておく、それと携帯もよこせ」
佐伯に専用の携帯を渡されていた事を主人が知っているとは思いませんでした。自分の
携帯を渡します。
「これではない。佐伯との連絡用の携帯だ」
「そんな物ありません」
この携帯だけは主人に渡せません。テレビ電話の内容が記録されていると佐伯に言われ
ています。佐伯に命じられての犬のような私のオナニー、佐伯とのやり取りの記録、
全て主人に見られてしまうかも知れないのです。佐伯との関係が主人に知れてしまっても
その全てを知られたくありません。それは私の恥の記録です、メス犬の記録です。
「まあいい、お前達にはもう用なしのものだ」
主人はもう携帯の事には触れません。
主人はテーブルに2つの小さな箱を置きました。
「お前達がいつも使っていたものだ」
「・・・・・」
「解らないのか?経口媚薬と塗布媚薬、しかも非合法のな。全くお前達は、
セックスに狂った変態だな」
「知りません、私そんなもの知りません」
「塗られて知らないわけがないだろう?」
本当に知らなかったのです、こんなに気持がいいのは佐伯が上手だから、佐伯が私の
事を思っているから、そして私の気持も佐伯にあるからだと信じていました。薬を
飲まされていた事は、この時初めて知りました。卑劣な佐伯に愚かな私は、そんな事
を知らずに、溺れてしまったのです。佐伯を殺して自分も死ぬ、そんな気持も湧きました。
愛しているから抱いてくれる、愛されているから抱かれる、ずっとそう思っていました。
いいえ、そう自分を思い込ませていただけかも知れません。そう思わなければ佐伯との
関係を続けられなかったのだと思います。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)