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北原夏美 四十路 初裏無修正

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[3464] インプリンティング 5 投稿者:迷人 投稿日:2005/08/12(Fri) 19:13

私の動揺を察した若者は1万円札をテーブルに置くと。
「本当は、おっさんがあの女の旦那だろ?そんな血の気の引いた顔をされたら、可哀想でこれは
貰えない。」
「ありがとう。でもこれは取っておいてくれ。また何か聞きに来るかも知れないから、その時は
頼む。本当にありがとう。」
まだ若者と話していた時はよかったのですが、彼が出て行った後1人になると足が震え出し、意
識すればするほど、震えは大きくなってしまい止まりません。
怒り、悔しさ、絶望感。
水を飲んで落ち着こうと思うのですが、グラスを持つ手までが震えて水を溢しそうです。
私は2階のあの部屋をずっと見詰めていましたが、中で行われている事を想像すると重機を借り
てきてでも、今すぐこのアパート自体を壊して無くしてしまいたい衝動に駆られます。
頭の中では、透けた小さなパンティーだけを身に着けた妻が、男の物を美味しそうに嘗め回して
から口に含んで、頭を前後に動かしている姿が浮かびます。
男が我慢出来なくなり、妻を押し倒して豊満な乳房にむしゃぶり付いている姿が浮かびます
若者に頼んで、ドアの中に入れてもらえばよかったと悔やんでも、もうどこに行ったのか分かり
ません。
私は悔しさで、妻がいる部屋をずっと睨んでいましたが、前の道を携帯電話で話しながら歩いて
いる人を見た時、妻の携帯に電話すれば良いのだと気付き、慌てて携帯を出しました。
しかしそこには何も登録されておらず、スーツケースに手帳を入れてきてしまい、携帯番号が分
かりません。
日本に着いてから暇な時間は沢山有ったので、妻の携帯番号ぐらいは入れておくべきでした。
今にして思えば、実家の電話番号は覚えているので、妻の携帯番号を聞くという手段も有りまし
たし、部屋番号は分かっていたので、オートロックのドアの横に付いているインターフォンで呼
び出すという手段も有ったのですが、そんな事すら気付かないほど気が動転していたのです。
若者が出て行ってから1時間もすると我慢の限界が来て、2人のいる部屋をじっと見ているだけ
の自分が惨めに思え、家に帰って妻が帰ってきてから殴ってでも説明させようと思ったのですが、
ここから離れる勇気が有りません。
スーツケースを預けたロッカーの有る駅まで戻り、妻に電話をしようと思っても、妻が男と愛を
確かめ合っているので有ろう部屋が見える、この場所から離れる勇気が有りません。
その時、見詰めていた部屋からサングラスをかけた妻が出てきて、それに続いて出てきた男はド
アに鍵を掛けています。
私は慌てて喫茶店を出ようとしましたが、こんな時に限って前のおばさんが財布の中の小銭を探
していて、レジを済ませる事が出来ません。
「釣りはいらない。」
おばさんを押し退けるように喫茶店を出ると、2人は車に乗り込むところです。
エンジンが掛かったばかりの車の前に立ちはだかると、じっと助手席の妻を睨みました。
妻は最初、状況が飲み込めずにキョトンとしていましたが、私だと分かった瞬間、驚きで顔が引
き攣り、声も出せずに私を見ています。
私は怒りから両手を思い切りボンネットに打ち据えると、ボンネットは少しへこみましたが、興
奮からか手に痛みは感じません。
状況の分からない男はサングラスを外し、怒った顔で左の運転席から降りて来て。
「何をする。警察を呼ぶぞ。」
私は何も言わずに思い切り男を殴ると、男はよろけてボンネットに手を付き、私を精神異常者と
でも思ったのか、殴られた左頬を手で押えたまま、脅えた目をして固まってしまっています。
妻への怒りが大き過ぎて自分の中で処理し切れずに、妻を引き摺り出して殴りたい気持ちを通り
越し、逆に冷静になっていく自分が不思議でした。
今私が何か言ったり行動を起こしたりするより、この後どう出るか任せた方が返って2人は困
るのではないかと思い、その場を黙って立ち去ると大通りに出て、タクシーを捕まえて乗り込み
ました。
いつもの習慣で私のキーホルダーに付けたまま、赴任先まで持って行ってしまった家のスペアキ
ーが、駅のロッカーに預けたスーツケースに入っているのを思い出し、途中駅に寄ってもらって
から我が家に帰り、私が最初にした事は妻の服や下着を調べる事でした。

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