[3482] インプリンティング 10 投稿者:迷人 投稿日:2005/08/16(Tue) 16:19
旅行について妻は。
「気晴らしに旅行にでも行きたいが、1人では余計に滅入ってしまうので付き合って欲しいと誘
われ、2人で旅行に行きました。でも支店長に特別な感情は無いし、特別な関係では有りません。
当然部屋も別々で身体の関係も有りません。今になって冷静に考えれば軽率な行動でした。疑わ
れても仕方のない非常識な行動でした。ごめんなさい。許して下さい。」
「既婚者同士が隠れて旅行に行く関係が、特別な関係ではない?その上何度もあのアパートに泊
まっておきながら、旅行の時だけ部屋を別にしたのか?あいつがホモでも無い限り、そんな事を
信用する奴なんていないだろ。なのにおまえは、それを俺に信じろと言うのか?おまえが逆の立
場なら信じられるのか?」
男と女の間にも恋愛関係でなく、親身になって相談に乗ってやるような、友情だけの関係も存在
するでしょう。
また、服の趣味も心境の変化で変わって行く事は考えられますが、妻の身形は変わり過ぎで、何
か余程の事が無いとあれほどの変化は考え難いです。
何より、あれらの下着を持っている説明がつきません。
これだけの疑惑が有りながら、身体の関係は無いと言い張る妻の心理が分かりませんでした。
考えられるのは離婚の時の条件を少しでも良くすることか、離婚して稲垣と再婚した場合の生活
を考えて、稲垣の銀行での地位を守っておきたいという事ぐらいです。
嘘をつき通したまま、私と結婚生活を維持して行く事は無理だと分かっていると思います。
残された道が有るとすれば、それは正直に全て話して謝罪し、何年掛かっても償っていく以外無
いと思うのですが、妻はそれをせずに、稲垣と自分の保身に走っているとしか思えないのです。
もしかすると、この問題を何とか穏便に済ませ、暫らくしてから性格の不一致とか何とか他の理
由を付けて、離婚を切り出すつもりかも知れないという思いまであり、1番肝心な身体の関係を
未だに隠そうとする、妻の話しは何一つ信用する事が出来ませんでした。
私は強気の態度に出ていますが、それとは裏腹に心の中は心配で仕方がないのです。
今まで幸せだった家庭が、壊れていくのが怖くて仕方がないのです。
妻はまた泣き出したので。
「もういい。俺は遠い所から帰って来て疲れている。勝手にいつまでも泣いて、この事から逃げ
ていろ。俺は寝る。」
口では強がりを言っていましたが、この問題をどうしたら良いのか分からずに、眠る事など出来
ません。
次の日、会社に行ったのですが、そんな事情を知らない上司は私の疲れきった様子を見て、気候
の違いや疲れから体調を崩しているものと思い込み、早く帰ってゆっくり休めと言ってくれたの
で銀行に急ぐと、着いた時は閉店間際でシャッターが閉まる直前でした。
銀行に飛び込んで、最初に目に入ったのは妻が書類を運んでいる姿です。
〔どうして智子がいる?まさか、あいつに逢いたいからなのか?それとも、携帯を取り上げたの
で、あいつと会って今後の事を相談をする為か?〕
私が出勤する時には出掛ける素振りも無く、何の用意もせずに時々思い出した様に、ただ泣いて
いたので当然仕事は休んでいて、こんな事になった以上、銀行を辞めるものだと思い込んでいた
私は一瞬唖然としましたが、何とか気を取り直し。
「支店長にお会いしたいのですが。」
その言葉で妻が私に気付いて不安そうに立ち尽くしていると、一番奥のデスクにいた稲垣が、横
目で妻を見ながら早足でこちらに歩いて来ました。
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