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北原夏美 四十路 初裏無修正

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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/13(Thu) 01:06

ホントウニソレデイイノカ?

タバコを消そうとした時に頭の中でそう声がした

(何を考えてるんだ、これでいいに決まってる)
〈本当にそうか?〉
(そうだ)
〈お前は恐がっているだけだろ〉
(恐がっている?俺が?馬鹿な事を言うな)
〈いやお前は恐がっているだけだ、今の状況に甘えているんだ〉
(何を訳のわからない事を・・・)
〈お前が今まで浮気をしなかったのは、付き合っていた女を裏切りたくなかったんじゃない、ただその居心地の良い立場を壊したくなかっただけだろ、誰かの為じゃなく自分の為にな〉
(たとえそうだとしても別にそれでいいじゃないか)
〈よく考えろ、今のお前の立場はたとえその女を抱いてもけして悪くなる立場じゃない、抱いたとしても何の問題もないんだぞ〉
(そんな事はわかっている、既に妻と吉崎は俺と理香がそんな関係だと思っているだろ、しかし実際に俺はそんな事は・・・)
〈出来ない、と言いたいのか?本当にそう言えるのか?あんなに良い女は滅多に抱ける事じゃないんだぞ、しかも女から抱いてくれと頼んでる〉
(でもそれは・・・)
〈それは?何だ?抱く理由なんか気にする必要はないだろ、今のお前は何も気にする必要がない立場なんだよ〉
(何も気にしなくていい・・・)
〈そうだ、何もな、だから遠慮なんかしてないで抱けばいいんだよ、お前は洋子と吉崎からそれだけの事をされたんだぞ?、お前は今まで十分良くやってきたんだから〉
(俺は良くやってきたのか?)
〈あぁ十分な〉
(抱いても・・・問題ない?)
〈そうさ何も問題ない〉
(そう・・・だよな?俺は今まで良くやってきたよな?)
〈ここら辺でお前も良い思いをしても罰は当たらないよ〉
(あぁその通りだ、俺は今までしっかりやって来た、それを妻と吉崎が踏みにじったんだ、だから俺だって好きにやる権利がある、そうだろ?)
〈やっと理解したか〉
(あぁ理解したよ、アリガトウ・・・)

そうだ私は今までしっかりやって来たじゃないか、どうして私がこんな思いをしなきゃいけないんだ、なぜ私が我慢しなきゃいけないんだ、そう思うとタバコを消し服を脱ぎ捨てバスルームに向かった、ドアを開けるとちょうど理香が体を洗っている最中だった、私が急に入っ来た事に理香は「キャッ」と驚き、両手で胸を隠した

理香「もうすぐ終わるので待ってて下さい」

しかしその声を無視し私そのまま理香の方に近づいて行く、近くで見た理香の裸体は本当に美しかった、胸を隠す理香の両手を広げ体をまじまじと見る、理香は恥ずかしいのか少し俯いていた「理香」と呼び捨てて呼ぶと理香は驚きコッチを向いた、その瞬間に私は理香の唇を奪う、とてもやわらかい唇だ、味わうように感触を確かめ、舌を入れる、最初は堅く閉じていた理香の唇が徐々に開き、私の舌を受け入れた。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/12(Wed) 02:32

その日も理香を迎えに行く為に吉崎の家に車で向かった、いつもなら明るく笑顔で出てくるのだが、その日の理香は少し暗い表情だった、車に乗り走り出すが車内では無言、その事がどうしても気になり車を停車させ理香に「何かあったのか?」と聞いてみた。

私「今日はいつもと違って少し暗いけど、どうしたの?何かあった?」
理香「・・・・・・・」
私「大丈夫?気分でも悪いの、もしそうなら今日は辞めて家に送ろうか?」
理香「・・・違うんです、あの・・・」

理香は私の方を少し見てまた俯いてしまった

私「何か悩み事があるなら、こんな関係になった間柄だしさ俺でいいなら聞くよ」

私がそう言うと理香はゆっくりと顔を上げ再び私の方を見る、理香の口から出た言葉は私の予想もしない事だった

理香「私って魅力がないんですか?」
私「えっ魅力?」
理香「はい、魅力です」
私「いや、そんな事はないよ、君は綺麗だしスタイルもいい、初めて会った時からそう思っている」

理香はまた俯き少し何かを考えているみたいだった、そして顔を上げ

理香「・・・じゃ私を抱いて下さい」

私は理香から「抱いてくれ」と言われ驚いてしまった。確かに不倫にセックスは付き物だ、しかしそれは本物の不倫での事、私達がやっているのは仕返しという名の不倫の真似ごと、なぜ突然そのような事を言い出したのか理香に聞いてみると、実は理香と吉崎はセックスレスだったらしい、それも随分前から、理香がこの悩み持ち出したのは吉崎の一度目の不倫が発覚した時からだった、「なぜ私(理香)という妻がいるのに夫は不倫をするのだろうか?」「なぜ私とはセックスをしてくれないのか?」そう考えるようになったらしい、しかも今回2度目の不倫が発覚しさらにその悩みは大きなものになったのだと理香は言う、私も疑問に思った「どうしてこんなにも綺麗な妻が居るのに吉崎はセックスをせずに不倫をするのだろうか?」と

私「本当に・・・いいんだね?」
理香「はい、お願いします」

車は進路を変えホテルへと向かう、ラブホテルなんか何年ぶりだろうか、そんな事を考えながら車で入っていく、部屋を決めるパネルの前で出来るだけ清潔感がありそうな部屋を選びボタンを押す、出てきた鍵を手に持ちエレベーターに向かう、理香は無言で私の後ろを付いて来る、部屋の中はキングサイズのベットに大型の液晶テレビという普通のホテルとなんら変わりのない部屋だった、理香は部屋に入ると上着をハンガーにかけ「シャワーを浴びてきます」と一言声をかけバスルームに入っていった。私はソファーに座りタバコに火を着ける、正直まだ私は迷っていた「このまま不倫をしてしまっていいのか?」と、勿論このまま理香を抱いてもなんら問題はない、当然だが私は結婚してから不倫をした事がない、いや結婚する前からも浮気などの行為はした事がない、別にモテない訳じゃなかった女性からも何度か告白された事もあった、しかし私はその時に付き合っている彼女を裏切るような事はした事がない、「つまらない男」そう思われるても仕方が無い、しかし何故かそのような行為をしようとも思わなかった、風俗にも行った事がない、理由は興味がないからそれと病気が怖いからと、妻には不倫をされたが私にはどうしても妻を裏切ることは出来ない、だから理香がシャワーを浴びて出てきたら謝りこのまま理香を家に送ろう、そしてこんな関係も今日で終わりにして妻と向き合おう、そう思った。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/11(Tue) 01:19

そう仕返しただの仕返し、だから実際に不倫をする必要はないし、それに不倫をしようとも思っていなかった。妻と吉崎に同じ苦しみを味あわせたかっただけ、だから最初に理香に会いに行った時にした説明でもあくまで「不倫をしてる振り」と言って理香の協力を得た。その仕返しの最初の日はあの話し合いから日から一週間後にやってきた、車で理香を自宅まで迎えに行く、自宅の前に到着すると車から降りチャイムを鳴らす、理香が出て到着した事を告げると「今行きます」と返事をする、本当は電話でもいいのだが直接自宅のチャイムを鳴らすことにより吉崎に私の存在を確認させる為である、外で待っていると少しして玄関の扉が開き理香が出てきた、「綺麗だ」そう思った、しかしこんなに綺麗な妻がいるのに不倫をする吉崎の神経がますますわからなくなった。そんな事を考えながら理香を車に乗せ走り出した、車を30分程走らせた所にある繁華街に行く、理香とは時間を決め別れ別行動を取った、そして時間がくると待ち合わせの場所で理香と落ち合い自宅まで送る、車から降りる時に理香の服装を少し乱れた感じにして降ろす、後はすぐに風呂に入るように伝え別れた。そんな仕返しを3ヶ月程続けた、変わった事といえば理香と会った日は必ず妻が夜に求めてくるようになった、しかも理香と「どんな事をしたのか?」と聞きながら、勿論理香とはそのような行為自体をしていないので適当に言っていた、すると妻は私が適当に言った理香との行為以上の事をするようになった、よく自分の妻が他の男とセックスするのを見たり聞いたりして興奮する人間がいると聞くがまさに妻はそんな感じで今までに見た事のない乱れっぷりだった。そんな感じの事が繰り返され仕返しを始めて4ヶ月目に入った時その出来事は起こった。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/09(Sun) 02:44

吉崎の家に7時過ぎに到着し私達が話し合いを終えたのは2時間後の9時過ぎでした、最後に私と理香は携帯の番号とアドレスを妻と吉崎の目の前で交換しました、その時に妻はしっかりと私と理香を見つめていました、一方吉崎は余程この約束がショックだったのか、うなだれてぐったりし俯いていました、自らが犯した過ちのせいで自分の妻が不倫をする、確かにこれ程自尊心を砕かれる事もそうはないでしょ、しかし形は違えど私と理香もこの似たような苦しみをこの二人に味合わせられたと思うと、吉崎には一切の同情は出来ません。交換し終えると理香が口を開きました。

理香「それじゃ、楽しみに待ってますね」
私「えぇ、私も楽しみですよ、それじゃ私達はこの辺で」

そう言うと妻の方を見ました、妻は理香に深々と頭を下げ私の後ろに付いて玄関に向かいます、吉崎は本当にショックのようで座ったまま私に頭を下げその場に残りました。
玄関で再度理香の方を向き「それじゃ」と言って私は玄関の扉を開けました、妻は理香に最後に深々と頭を下げながら「本当に申し訳ありませんでした」と言っていました。

帰りの車の中で最初に話しかけてきたのは妻の方でした

妻「本当にスイマセンでした・・・ゴメンなさい」
私「・・・別に今更謝られても過去が変わるわけじゃないしな」
妻「ゴメンなさい・・・本当にゴメンなさい」
私「そんなに謝るなら最初からこんな事をするなよ、お前は不倫がバレた時の事は考えなかったのか?俺が笑って許すとでも思っていたのか?それともバレなければ良いとでも思っていたのかっ」

やはりどうしても怒りが込み上げてきてしまいます。

妻「本当に私が馬鹿でした、どんな事をしても償わせて下さい」
私「あぁそのつもりだ、でもお前に耐えられるのか?吉崎は既に理香さんと俺が約束を交わしただけであんなにショックを受けてたみたいだぞ、それに例え約束の1年が過ぎたとしても、それで終わりじゃない離婚するかもしれないんだぞ?つまり1年間が無駄に終わる可能性もあるって事だ」
妻「・・・はい、それでも私は待ちます、それでもその時に貴方が離婚だと言うのなら私は・・・私は従います」
私「なんなら今すぐにでも離婚してもいいぞ、今なら何も言わずに離婚してやるぞ、どうだ?」
妻「嫌っ嫌です、こんな事は私が言える立場じゃないですが、貴方と離婚したくない、お願いします1年間耐えます、だから離婚なんて・・・離婚なんて言わないで・・・」

そう言うと妻は泣きだしました、しかし私も疑い深い人間になってしまいました。以前なら妻の涙を見たら「なんて事をしたんだ」と後悔していた事も「今のは演技なのか?」と無粋な考えが頭の中をよぎります、不倫の影響はこういった事にも及んでしまうものなんでしょう、そんな事を考えながら車を運転し自宅に到着しました。自宅に着くと妻はすぐに風呂を沸かしました。

妻「あの、何か作りましょうか?何も食べてないと思うので」

時間を見ると10時を過ぎていました。

私「じゃカップラーメンでも作ってくれ」

二人でラーメンを食べ、それぞれ風呂に入りその日は寝ました、隣には妻が寝ています、本当なら別々に寝た方がいいのでしょうが、そこまでは余り気にしませんでした、ふと隣を見るといつもと変わらない寝顔で妻が寝ています、今日は泣き疲れたのかグッスリと眠っています。私はゆっくりとベット抜けるとリビングに向かいました、そこで自分の携帯を開け中を見るとメールが届いていました、それは理香からでした。

(初めてメールを送ります、理香です。今日はありがとうございました、本当に○○さんの仰ってた通りになりましたね、私も主人のあんな顔が見れて少しスッキリしました)

〈○○です、こちらこそ私の勝手な仕返しに理香さんを巻き込んでしまってスミマセンでした、早速なんですが来週の日曜は大丈夫ですか?〉

(はい、大丈夫です、思いっきりお洒落していきますからね、そうそう読んだ後のメールもしっかり消去しておきますね、それと携帯にはロックをかけておきます)

〈えぇ期待してますよ、携帯の事も事前に言った通りでお願いします。後は1年間二人の前で言った通りに不倫をしましょう勿論「不倫をしてる振り」ですけどね・・・〉
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/08(Sat) 02:00

私「もう結構ですよ、単刀直入にお伺いします、私達は離婚しません、そちらはどうなさるのかよろしければお伺いさせて下さい」
理香「私達も離婚はしない事にしました」
吉崎「あの、慰謝料の事なんですが、出来る限りお支払いさせて下さい、勿論お金で解決出来る事ではないとわかっています、しかし・・・」
私「ですが私の妻も奥さんに対して払うわけですから、意味が無くなってしまうでしょ、それに私はそんな金を貰ってもちっとも嬉しくもないし、今回の事を簡単に水に流すことも出来ない、奥さんもそうじゃないですか?」
理香「えぇ、私もご主人と同じ気持ちです」
妻「本当にスイマセンでした、どんな事をしても償いをさせて下さい」

少し沈黙が流れた後、私は妻の方に向き妻に話かけた

私「不倫の期間はどれくらいだったんだ?」
妻「・・・半年です」
私「そうか・・・慰謝料も相殺になる、どんなに詫びられても今回の事を簡単に水に流すことは出来ない、むしろこの気持ちをお前達二人にも味合わせてやりたい」

そういうと妻と吉崎がこちらを見つめました

私「もし奥さんが良ければ私達も同じ事をしませんか?」
理香「えっ同じ事?」
私「そうです、同じ事です勿論期限は決めます、そうですね倍の1年、この二人にはその間私達と同じ苦しみを味わってもらうんです、そしてその後でそれでも夫婦でいたいと思うのなら離婚はせずに夫婦を続けていく」
吉崎「いや、それはちょっと待って・・・」
理香「・・・はい、私もそうしたいです、この二人には苦しんで欲しい」
吉崎「いや、お前何を言ってるのかわかってるのか?」

吉崎は先程までのが演技かと思うほど、相当弱った顔をしています

理香「何?嫌なの?それが嫌だと言うのなら私は今すぐアナタと離婚します」
私「・・・私もそのつもりだ、お前が嫌だと言うのなら離婚を考える」

妻の方を見ると既に俯き泣いてるようでした、少し酷いことをしてるなとも思いましたが、今はそんな気持ちよりも仕返しがしたいという気持ちの方が勝ってました、すると妻が

妻「わかりました、それでいいです」
吉崎「えっおい、ちょちょっと待ってくれ、そんな・・・馬鹿な・・・」
理香「どうするの?、嫌なら今すぐに離婚しましょう」
吉崎「いや、だからそんな・・・」
理香「ハッキリしてっ」
吉崎「・・・・・・・・わかった、私もそれで・・・・・」

理香の迫力に吉崎も押されたようで渋々納得しました、そこで決まった事は1.期間は1年 2.その間妻と吉崎はGPS携帯を持ち必ず居場所を特定させていなければいけない 3.その約束を1回破る事に期間は1ヶ月増えていく事 4.そしてそれが終わった時に離婚かこのまま夫婦を続けるか決める 以上の事が決まりました。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/08(Sat) 02:00

金曜日

妻の携帯に吉崎からメールが届いた、既に妻には携帯は返してある、妻の携帯にはメール自動転送を仕掛けたので私の携帯に届くようになっている

(今日会う日だけどそっちは離婚するの?こっちは離婚しない事になったよ)
(そう、そっちも離婚しないんだね、それじゃ慰謝料も相殺になるね、この事が終わったらまた付き合わないか?)

懲りない男だ、まぁこれぐらいの馬鹿の方が仕返しのやりがいがある

仕事を終え妻の職場に向かった、向かってすぐに妻の携帯を取り上げた、そこには吉崎に返信したメールが残っていた。

(こちらも、離婚はしないみたいです)
(もう、主人を裏切る事はしません、もう連絡はしてこないで下さい)

私「ふ~ん懲りない男だな、まぁお前がやりたいならやればいいんじゃないか」
妻「いいえ、もう馬鹿な事はしません、スイマセンでした」

吉崎の家に向かう車中では終始無言だった、吉崎の家に着きチャイムを鳴らす、すぐに返事があった。

理香「はい、どちら様ですか」
私「あの、私は○○と申します、本日は・・・」
理香「お伺いしてます、少々お待ち下さい」

玄関の扉が開き理香が現れた

理香「初めまして吉崎の妻の理香です」
私「こちらこそ初めまして○○です、こっちは家内の・・・」

と、言ってる途中で妻が理香に謝りだした

妻「今回は本当に申し訳ありませんでした、本当にスイマセンでした」

理香は落ち着いた感じで冷静に妻を見ている

理香「まずは家に入って下さい、どうぞこちらです」
私「お邪魔させてもらいます、行くぞ」

妻は俯いたままの状態で頷くだけだった

リビングに案内されると既にそこには吉崎がいた、私を見るなりいきなり土下座をしてきた。

吉崎「ご主人本当に申し訳なかったです、本当に・・・」

白々しい男だ、まさかあのメールを私が見てるとは思ってもいないのだろう

私「まずは話をしましょう、顔を上げて下さい」
理香「どうぞ、こちらに座って下さい」

理香に言われ私と妻はソファーに座った、私の正面に理香
妻の正面に吉崎という形で4人が向き合った、私が妻の方を見ると何を言いたいのか理解したのか、妻は理香に謝りだした先程と違い理香の妻を見る目はまるで格下の人間を見るような冷たい目に変わっていた、一通り妻が理香に謝り終えると今度は吉崎が私に対して謝罪してきた。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/07(Fri) 01:11

家に帰ると妻が暗い表情で待っていた

妻「どこに行っていたの?何度も連絡したのに出ないから心配してた」

何が心配だ白々しい、誰のせいだと思ってるんだこの女は

私「ちょっと用事があってな、そうだお前の不倫相手と話がある今すぐ連絡しろ」
妻「えっ・・・あのそれは」
私「あぁ今回だけは関係ない、早く連絡を取れ」
妻「・・・はい、わかりました」

取り上げてた妻の携帯を渡し、連絡を取らす

妻「・・・あっもしもし私、洋子です、あの・・・その・・・」
私「貸せ」

携帯を取り上げる

私「もしもし、吉崎さんですね?私は洋子の旦那です、なぜ私が電話に出てるかお分かりですか?」
吉崎「・・・・・・・・・」
私「黙っていても意味ないですよ、全てわかってるんですから、それに証拠の写真もありますから、何か言う事はないんですか?」
吉崎「あっ・・・その、申し訳ありませんでした」
私「今更謝られてもね、実際に会ってお話がしたいんですが、勿論そちらの奥様も呼んでいただいて」
吉崎「いや、会いますからこの事はその妻には・・・」
私「会います?随分偉そうですね」
吉崎「いえ会わせて頂きます、ですから妻にはこの事は話さないで下さい、お願いします」
私「何言ってるんですか?アナタの意見なんか聞いてないんですよ、今日家に帰ったらこの事を奥さんに話して下さいね、会う日ですが・・・」
吉崎「おっお金ならいくらでも払います、ですから妻には」
私「そう、なら1億」
吉崎「いっ1億はちょっと・・・」
私「ふっ冗談だよ、アナタが奥さんに言うのが嫌だと言うのなら私が直接アナタの自宅に伺いますよ、既に調べてありますから」
吉崎「・・・わかりました、自分で伝えます」
私「そう、それでいいんですよ、それじゃ会う日は今週の週末の金曜にしましょう」
吉崎「そ、その日はちょっと・・・」
私「はっ?さっきも言いましたがアナタの意見は聞いてないんですよ、いいですか、今週の金曜、場所は・・・そうですねそちらの自宅に伺わせて頂きますよ、時間は7時頃に、それじゃ」

そう伝えると吉崎の返事を聞く前に電話を切った

私「そういう事だからしっかり空けておけよ、まぁその日は俺がお前の職場まで迎えに行くよ」
妻「・・・・・・・・・」
私「自分のした事だろ、ケジメを付けろ、わかったな」
妻「はい、わかりました」

さぁ下準備は全て終わった、これから本当の仕返しを始めよう。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/07(Fri) 01:10

次の日私は吉崎の自宅の前に来ていた、会社には事前に有給休暇を取っている、興信所に頼み吉崎の住所と勤務時間は調べてあった、この時間吉崎は仕事に行っており家には吉崎の妻の理香が一人でいるはずだ、チャイムを鳴らすとすぐに応答があった。

理香「はい、どちら様でしょうか」
私「あの私は○○と申します、本日はご主人の事で奥様にお話があり参りました」
「主人の事ですか?あのどういうお関係でしょうか?」

下手に隠しても仕方がない、いずれ理香も知ることになるのだからと思い切って言ってみる

私「実は家の妻とお宅のご主人が不倫してまして、その事についてです」
理香「・・・少々お待ち下さい」

玄関のドアが開いた、中から出てきたのは想像してた以上に美人な女だった、確かに私の妻もそこそこの顔をしているがここまで美人ではない、こんな美人な妻がいるというのに吉崎はなんて贅沢な男なんだと心の中で思った。

理香「あの・・・本当なんでしょうか?その・・・」

持ってきていた証拠の写真を見せる、それを見た理香は落胆の表情に変わった、その時に本当に小さな声で「また」と理香が言ったのを私は聞き逃さなかった。

理香「家の主人が本当にスイマセン・・・」
私「いえそんな奥さんが謝らないで下さい、家の妻だってしたんですから、こちらこそ申し訳ないです」

滑稽な話だ、なぜ不倫をされた人間同士が謝らねばいけないんだ

理香「あの、それでお話というのはこの事についてでしょうか?」
私「はい、そうです、しかし他にちょっと聞いてもらいたい事がありまして・・・」
理香「あっそうですねスイマセンこんな所で、立ち話もあれですからどうぞ家に入って下さい」
私「はい、それではお邪魔します」

家に入る事に成功した、問題はこの後であるこの仕返しには理香の協力が絶対に必要だ、その事を話すと以外にも理香は引き受けてくれた、理香と話してわかったのは吉崎という男は実は前にも一度不倫をしてたみたいだ、そんな事も関係し理香が私の仕返しに協力をしてくれた。勿論理香がこの仕返しを手伝わないと言った場合には、慰謝料や「取引先の女に手を出す男を働かしているのか」などの事を旦那の仕事先に言うぞ、と脅してでも協力させようと思っていた。理香に仕返しの説明をしその日は家に帰った。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/05(Wed) 01:00

私は33歳、妻の名前は洋子32歳の共働きの夫婦です。興信所に依頼して不倫相手の男を調べてわかったのは、男の名前は吉崎豊35歳、どうやら妻が勤める会社の取引先の人間のようだ、吉崎は既婚者で理香(31歳)という妻がいる。


家に帰ると既に夕食の用意がされていた

私「ただいま」
妻「おかえりなさい、お疲れ様」

いつもと変わらない妻がいた、しかしこの女は既に私の知っている女ではなくなっていた、いや最初からそういう女だったのかもしれない、私はずっと欺かれていたのかもしれないと今は思っている。

私「なぁ昨日電話で言ってた、友達って学生時代の友達?」
妻「えぇそうよ、久しぶりだからついつい朝まで飲んじゃって」
私「へぇ、洋子は友達と遊ぶのにラブホテルに入るんだな」

妻の顔色が確かに変わった

妻「えっ何いってるの?」
私「吉崎豊って、洋子が働く会社の取引先の男だろ」

言うと同時に興信所が撮ったラブホテルに入っていく写真と出てくる写真を妻に見せた。写真を見るなり妻の顔は血の気が引いたみたいに顔面蒼白になっていった。

私「いつからだ、いつから不倫をしていた、俺を騙して楽しかったか?」
妻「ごっごめんなさい、ごめんなさい」
私「誰が謝れと言った、俺の質問に答えろよ、いつからだ、いつから俺を騙していた、ハッキリ答えろっ」

ゆっくりと妻が話し始めた、不倫が始まったのは半年前からだそうだ、取引先に妻が行った時に吉崎と一緒に昼食を食べたらしい、その時は他にも何人かいたみたいだ、そこで仕事の事や趣味の話をし吉崎と意気投合し、そしてアドレスを交換したらしい最初は普通に仕事や趣味のやり取りをメールでするだけだったのがいつの間にか昼食を一緒に食べる中になっていたみたいだ、そこからはもう転げ落ちて行くように不倫関係になったらしい。

私「何故だ何故そんな事をした?俺に何か不満があったのか?」
妻「いいえ、不満なんかありませんでした、ただ・・・」
私「ただ?ただなんだ?」
妻「ただ、貴方以外の人に久しぶりに女として見られて嬉しかった、それで浮かれていたんです」
私「お前はそんな事で簡単に股を開く女だったんだな、どうせバレて離婚してもいいと思ってたんじゃないのか」
妻「そんな事はありません、離婚なんか考えた事なんてありせん」
私「なら俺と離婚したくないって事か」
妻「はい、許して下さい私が馬鹿でした、どうか離婚はしないで下さい」
私「なら当分は俺が洋子の携帯を預かる、それと吉崎との連絡は今後一切取るな、もし連絡を取ったらその時点で離婚だ、いいな」
妻「はい、わかりました」

妻は私と離婚する気がないとなぜか最初から確信を持っていたので面白いほどに予定した通りの事を言ってくれる、一先ずはこれで成功だ、次は・・・
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/04(Tue) 02:42

1日目

私「じゃあ行ってくるよ」
妻「えぇ気をつけて行ってらっしゃい」

一先ず荷物は会社近くのコインロッカーに預け会社に向かった、昨夜妻が寝た後に携帯のロックを解きメールを見る。どうやら罠に嵌ってくれたようだ会う約束がされていた、万が一私の自宅で会う場合でも大丈夫なように興信所の方には自宅の鍵を渡し、勝手に上がり込む許可を出しておいた。
仕事が終わり予め予約しておいたホテルに向かった、部屋に入り興信所からの今日の報告を待った、報告は電話であっけないものだった。

興信所「奥さんと不倫相手がホテルに入りその撮影に成功しました」
私「そうですか、わかりました」

どうやらあちらも今日はホテルに泊まるようだ、普段は飲まない酒を軽く飲み寝ることにした。

2日目

ホテルから会社に向かう、いつもと同じ様に仕事をこなしまたホテルに戻り、興信所からの報告を待った。

興信所「どうやら二人はホテルに泊まったようですね、今朝二人が出てきたところも撮影出来ました、それと頼まれていた不倫相手の男の調査も終わりました」
私「どうもご苦労様でした」

興信所の人間と話し終え家に電話をかけた

妻「はい、○○です」
私「あぁ俺だけどなんとか仕事も片付いて予定通り明日に帰るよ、そうそう昨日家に電話したら出なかったんだけどどこかに行ってたの?」
妻「お仕事ご苦労様、ゴメンなさい昨日は友達と久しぶりに朝まで飲んでいたの、だから家の電話にも気付かなくって」
私「そう、久しぶりだし楽しめたかい?」
妻「うん、楽しかったわ」
私「なら良かった、じゃ明日に帰るからオヤスミ」
妻「えぇ待ってるわ、オヤスミ」

至って普通の会話、女はこういう時も冷静なもんなんだな
その日も酒を少し飲み寝た。

次の日は仕事を早めに終え興信所に向かった、そこでビデオと写真を見させられ妻と不倫相手を確認した、写真とビデオを手に家に帰る、さぁここからが仕返しの始まりだ。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/04(Tue) 02:41

なぜ私がこんな事を始めたのか、それは2ヶ月前の出来事が原因である。それは妻の不倫だ、妻の不倫相手は私が抱いていた人妻の旦那である、「まさか自分の妻が?」私にとってそれは晴天の霹靂みたいなものであった、夫婦仲が悪いわけでもないし、セックスレスでもない、むしろ私の方に何か原因があったのならいくらかはこのショックを和らげたのかもしれない、しかし今まで私達夫婦にはそんな事は無縁と思っていた事が起こっていると知り想像以上のショックを受けた。妻の不倫を疑いだしたのは妻の不審な行動からだった、今までなら決まった位置に置いていた携帯を常に肌身離さず持ち歩く、ロックをかける、残業が増える、私の予定を頻繁に聞いてくる、そして意を決して妻の携帯のロックを解除し中を見ると、男との情事を匂わすメールが残されていた、そのメールを見るまでは「いや私の思い過ごしだ」とそれを望むように思っていたがそのメールを見た瞬間に私の中で何かの糸が切れたように脱力してしまった、それと同時に「仕返し」という子供染みた考えを持ってしまった。不思議な事にモヤモヤと悩んでいた事が悪い結果にも関わらず冷静な私がそこにいた、まずはこの不倫の証拠を掴まなくてはならないと思い、妻の隙を狙いその日からメールを盗み見る様になった、そしてわかったのはお互いの時間がなかなか合わないために最近会っていないという事、なら私自身がその会うチャンスを作ってやる事にした。

私「あぁそうだ、明後日から2日間出張に行くことになったから」
妻「そうなの?わかったわ、大変ね」
私「まぁ仕事だしね」

勿論そんな出張などはない、私はこの2日間のうちに妻が不倫相手と会うことに賭け興信所に依頼することにした。
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投稿者:Retaliation 投稿日:2006/04/03(Mon) 00:48

あっあぁいいっもっと・・・もっと突いてぇ・・はぁん
いっあぁもっともっとお願い・・・すごくいいのぉ・・・・・・・・・

寝室のドアが開く気配がした、ふとドアに目をやると外から覗く男と目が合った、しかし私はそんな事は気にせず女を抱き続けた

いいっ逝っちゃう・・・もう少し・・・あぁイクッ

女が逝くと同じに私も限界に達し女の中に熱いものを流し込み、そのまま二人はベットに倒れこんだ、横目でドアに目をやるとまだそこから男はこちらを覗き込んでいる。

私「なぁ旦那とどっちがいい?」
女「アナタよ、アナタの方がいい」
私「そうか・・・だってよ旦那さん」

そう言いながらドアの方を見る

私「入ってこいよ、ここはアンタの家なんだし遠慮する事ないだろ?」

ゆっくりと男が寝室に入ってくる

男「・・・ただいま」
女「あらおかえり、なんだ帰って来てたの、じゃ見られちゃったの?」
私「そうみたいだな、まぁ別にいいんじゃないの」
女「それもそうね」
私「そうだあの事はもう言ったの?」
女「あぁまだだったわ、ねぇあなた私今度の連休に○○(私の名前)さんと旅行に行ってくるから」
男「えっ旅行?」
女「そう旅行、何?何か言いたい事があるの?まさか行くな、なんて言わないでよ」
男「いやぁその・・・」
私「まぁそういう事だから宜しく、あっそうだ俺達が居ないからってハメを外さないようにな、まぁそんな事は出来ないと思うけど」
女「そうそう、私達はしっかり見てるからね」
私「じゃ今日はもう俺は帰るよ」
女「えっもう帰るの?」
私「あぁ今度の土曜日にまた」
女「そう残念、楽しみにしてるわ、気をつけてね」
私「あぁそれじゃ」

起動中だったノートPCを電源を落としカバンに入れる、身支度を整え寝室を出る、男はボーっとした顔でこちらを見ていた。
玄関のドアを開け外に出る、時間は夜の7時を回ったところだ、私は自分の家に帰る

私は別に寝取りが趣味なわけでもないし不倫がしたかったわけでもない、勿論あの旦那に頼まれてあの人妻を抱いてるわけでもない、一言で言えば復讐、いや仕返しと言った方が当てはまるのかもしれない、そう子供みたいな考えで始まった仕返しだ。
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桐 11/10(土) 17:50:24 No.20071110175024 削除
『妻物語』では夫の一人称が王道で、三人称、それも女性視点は物語への感情移入の点では相当不利になりますが、今回、第一部はあえてそれに挑戦してみました(途中から夫視点に戻りますが)。

昔、『存在の深き眠り』という解離性人格症候群を取り上げた、ジェームズ三木脚本によるドラマの名作がありました。ヒロインの人格交代の様子を迫真の演技で表現した大竹しのぶが印象的でした。

もう一つ影響を受けたのはヒッチコック監督による『レベッカ』です。知らずに先妻の髪型をしてしまう江美子のエピソードなどは、『レベッカ』から引いてきたものです。

解離性人格症候群は軽々に取り上げてよいテーマではないとは思いますが、これもどうしても挑戦したくなりました。交代人格であるマリアが単純な悪役にならないよう気をつけたつもりです。

『二人の妻』というタイトルから、もっと早くネタバレになるのではないかと思っていました。実際にはおそらく気づかれた方は多かったと思うのですが、好意から見逃してくれたのだと思います。

蛇足ですが『二人の妻』のタイトルには、麻里とマリアという二つの人格を持つ妻、隆一にとっての麻里と江美子という二人の妻、そして隆一と有川「二人の」妻としての麻里、そして江美子という複数の意味があります。

終盤は一度に大量のアップをしてしまい、他の執筆者の方にご迷惑をおかけしました。一応ミステリー仕立てでしたので、謎解きの場面で途中できるわけにもいかず、大変失礼しました。お詫びいたします。

また、掲載中はたくさんの感想・応援を頂き有難うございます。ひとつひとつにレスをつけることが出来ず、誠に申し訳ありませんでした。ここに改めて、厚く御礼を申し上げます。
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桐 11/10(土) 17:49:16 No.20071110174916 削除
身体を洗い終えた江美子は、裸のままダイニングテーブルの上であお向けになっている。有川は冷蔵庫から生クリームや苺を取り出すと、テーブルの上に並べる。

「今日は何時までに帰ればいいんだ」
「……10時までです」
「それならまだたっぷり時間があるな。後でもう一度抱いてやろう」
「……」
「どうした、返事をしないか」
「はい」
「江美子をたっぷり抱いてくださいと言うんだ」
「江美子を……たっぷり抱いてください」
「そうか、抱いて欲しいか」

有川は楽しそうに笑う。

「その前に腹ごしらえだ。足を開け」

江美子は言われるがままに足を開く。有川の指が江美子の秘裂をなぞる。そこは愛液でしっとりと潤おっている。有川は小さく嘲るような笑い声を洩らすと、江美子の繊毛を指でつまむ。

「ケーキに毛が生えていると邪魔だな」
「……」
「剃ってやろう」
「それは……」
「隆一に説明できないか」

江美子はしばらく沈黙するが、やがて口を開く。

「剃ってください」

有川は少し驚いたような表情になるが、すぐに平静に戻り、浴室から剃刀とシェービングクリームを取ってくる。有川は江美子の淡い繊毛を丁寧に剃りあげていく。たちまち江美子のその部分は童女の趣を見せていく。

「ここだけ見れば理穂のほうが大人っぽいかもしれないな」

有川は翳りを失った江美子の恥丘をポン、ポンと叩く。

「有川さん……理穂ちゃんには……」
「心配するな。俺はロリコンじゃない」

有川は江美子の白い内腿をピシャッと叩く。

「それじゃあ始めるぞ」
「はい」

有川はチューブに入った生クリームをとり上げ、江美子の乳房を飾り付けていく。

「クリスマスらしい趣向を凝らしてみた」
「……」
「どうだ、嬉しいだろう」
「嬉しいです」
「江美子のオッパイは小さめだから、ボリュームをつけてやろう」

有川は江美子の乳房に生クリームを盛り上げていくと、その上に苺を飾りつける。

「マンコもクリームを塗って欲しいか?」
「……塗ってください」

有川は江美子の陰裂に沿うようにクリームを塗りつけ、頂点に苺を置く。

「随分立派なクリトリスだな」

有川はそうからかうが、江美子はじっと耐えるように目を閉じている。

「最後の仕上げはローソクだ」

有川はデコレーション用の細いローソクを江美子の女陰に次々につきたてていく。7、8本の色とりどりのローソクが江美子の股間を埋める。

「余ったのはケツの穴に入れてやる。いいな」
「はい」

一本、二本……江美子の排泄器官にローソクが挿入されていく。やがて江美子の裸身は完全に人型のクリスマスケーキに変貌する。

(今頃隆一さんは……)

理穂と麻里と、家族三人でのクリスマスイブを楽しんでいるだろうか。江美子と御揃いの白いマフラーを贈られ、顔をほころばせる麻里の姿が江美子の目に浮かぶ。

「隆一はこれから毎月一回、理穂と一緒に麻里と会うんだろう」
「はい……」
「寂しいか」

江美子はゆっくり首を振るが、目尻から涙が零れ落ちる。

「寂しくないように、面会日には俺が必ず抱いてやろう。どうだ、嬉しいか」

江美子は「はい、嬉しいです」と答え、そっと目を閉じる。

有川は江美子の乳房に舌を這わせ、クリームを掬い取る。歯の先で苺を加えると江美子の唇に運ぶ。江美子はうっとりした表情でそれを受け取るとゆっくり噛み潰す。赤い果汁が江美子の頬を流れる。それを舌先で拭った有川が唇を求めると、江美子は切なげに呻きながら唇を合わせるのだった。


(了)
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桐 11/10(土) 17:46:51 No.20071110174651 削除
「それにしてもマリアもおめでたい奴だ。江美子を自分の力だけで調教したと思っていやがる」
「あ、ああ……」
「本番は絶対なしで、なんて情けをかけたつもりだろうが、女がそんな手ぬるいやり方で落ちるものか。やっぱり肉棒でハメてやらないと、欲求不満がたまるだけだ。そうだろう、江美子」
「は、はいっ、そのとおりですっ」

江美子はもう訳がわからなくなって有川に問われるままに返事をする。

「麻里だってそうだ。隆一は麻里が俺とセックスしたのは、マリアが悪戯心を起こしたたった一回だけだと思っている。麻里もそんな風に隆一に説明しているだろう」
「あ、ああっ……いいっ……」
「しかしそれは嘘だ。マリアは何度もその最中に麻里と交代しているんだ。始めのうちは麻里は、必死で感じないようにしようと頑張っていたが、俺にはバレバレだったぜ。そのうちに堪えきれなくなり、自分からケツを振り出した。麻里の人格のままでだ。そうさ、俺は何度も麻里を犯してやった。麻里も隆一に隠れて、数え切れないほど俺に気をやらされたんだ」
「ああっ……」
「K温泉で江美子を見たときから、必ずこうやって抱いてやろうと心に決めていたんだ。だってそうだろう、有川は麻里も江美子も自分の妻にした。俺も二人とも抱かないと不公平だろう」

江美子はこみ上げる快感を必死で堪えながら、そんな有川の言葉をぼんやりと聞いている。

麻里は隆一を愛し、マリアは有川を愛している。そんな単純で綺麗な話ではなかったのだ。隆一を愛しながら有川に抱かれ、快感の絶頂を極める麻里。麻里を抱いているつもりで実は奔放なマリアをも愛していた隆一。

マリアという交代人格を愛してしまった有川。永遠に満たされることのない有川の気持ちは、麻里を、そして江美子を隆一から寝取ることでつかの間ではあるが癒される。

(麻里を完全に得ることが出来ない有川、隆一の心を独占できない私。私と有川は似たもの同士なのか──)

頭に浮かんだそんな考えを、身体の裡からこみ上げてきた快感が吹き飛ばしていく。江美子は「い、いきますっ」と悲鳴のような声をあげると、裸身を電流に触れさせたようにブルブルと震わせた。


江美子は裸のまま有川と浴室に行き、自分の身体の中に精を放ったばかりの有川の肉棒を舌先で丹念に清めていく。

「どうした、江美子。黙ったままか」
「……」
「こんなときはどんな風に言うのか、教えておいただろう」
「……な、なか……」

江美子はさすがに屈辱に声を震わせる。

「ちゃんと言わないか」

有川はだらりと垂れた肉棒で江美子の頬をぱしっと打つ。

「中出ししていただき、ありがとうございました」

江美子がそう言うと、有川は満足そうに頷く。

「ピルはちゃんと飲んでいるか」
「はい……」
「子供が欲しければ、作ってやってもいいんだぞ」

江美子は悲しげに首を振る。

「遠慮するな」
「遠慮なんて……」
「江美子は俺の何だ」

江美子は顔を俯かせて躊躇う。

「言ってみろ」
「……江美子は」

江美子は顔を上げ、有川の目をじっと見ながら答える。

「江美子は、有川さんの妻ですわ」
「そうだ」

有川は満足げに笑う。

「だが忘れるな。江美子は二番目の妻だ。一番目はマリアだ」
「わかっています」

江美子はそう言うとたまらなくなって顔を伏せ、嗚咽し始める。
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桐 11/10(土) 17:46:13 No.20071110174613 削除
「それじゃあ、すまないな。江美子」
「江美子さん、ごめんなさい」
「もう、二人とも何度も謝らなくていいわ」

身支度を整え、玄関でしきりに恐縮している隆一と理穂に江美子は笑いかける。

「ゆっくり買い物でもしてきます」
「10時には帰ってくる。だから……」

隆一がそう口にすると、理穂が「それからは大人の時間ね」と口を挟む。

「理穂」

江美子の頬が忽ち赤くなり、隆一は理穂を睨むが、理穂がきょとんとしているので思わず二人で噴き出す。

「行ってらっしゃい」


隆一と理穂を送り出した後、江美子は着替えると自宅を出る。横浜から快速の湘南新宿ラインに乗ると40分ほどで渋谷に着く。そこからタクシーに乗り、10分ほど走る。中層マンションの前で江美子は降りる。

エントランスでテンキーを押すと「はい」と男の声がする。

「江美子です」
「入れ」

オートロックが開錠され、江美子は中に入る。エレベーターに乗り8階で降り、目的の部屋の前に立つ。ドアが開けられ、男が顔を出す。

「来たか」
「はい」

有川はにやりと笑うと江美子を招きいれる。

「ちゃんとつけてきたか」
「はい」
「見せてみろ」

江美子は頷くと白いコートを脱ぐ。セーターとスカートを脱ぐとその下はノーブラ、赤いバタフライのようなパンティだけの裸だった。バタフライの下、股間にはピンクのローターが挟まれており、低い機械音を立てている。

「裸の上にセーターを着ると、肌がチクチクするだろう」
「はい、チクチクします」
「だが、それが気持ちいいんじゃないのか? ローターの相乗効果もあるからな」
「……」

江美子は羞恥に頬を染めて俯く。

「どうなんだ、言ってみろ」
「それは……」
「こんなに乳首を立てやがって、気持ちいいんだろう」
「はい……」

江美子は顔を上げる。その大きな瞳は情欲に潤んでいる。

「気持ちいいです」

江美子はそう言うと有川の腕の中に崩れ落ちていった。


1時間後、江美子は素っ裸で有川に騎乗位で跨り、激しく腰を上下させながら快楽の喘ぎ声を上げていた。

「あっ、ああっ、気持ちいいっ……」
「どこが気持ちいいんだ、言ってみろ」
「ああ……言えない、言えません……」
「言わないかっ」

有川が江美子の豊満なヒップをパシリッと平手打ちする。

「ああ、お、オマンコっ」
「誰のオマンコだ」
「江美子の、江美子のオマンコ」
「よし」

有川は満足げに笑う。
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桐 11/10(土) 17:45:41 No.20071110174541 削除
「今日はクリスマスイブだからお休みなの?」
「馬鹿だな、振替休日だ」
「パパは冗談が通じないんだから」

理穂は昨日横浜で、江美子と一緒に選んだばかりの大人っぽいワンピースを身につけ、玄関でこれも新しいブーツに必死で足を入れながらはしゃいでいる。隆一はツイードのジャケットにパンツという姿である。

「理穂ちゃん、これ、忘れちゃ駄目よ」

江美子は理穂に白い紙袋を手渡す。理穂がはにかみながらその小さな紙袋を江美子から受け取る。そこには麻里に対するプレゼント──江美子に贈ったものと同じマフラーが入っている。

「江美子さん……ごめんなさい」
「気にしないで、久しぶりの家族三人のイブを楽しんできて」
「それだけじゃなくて……」

理穂は江美子を真剣な目で見つめる。

「いいのよ、理穂ちゃん」

理穂は決して江美子を疎んじていたわけではなかった。むしろ江美子の中に母、麻里の面影を認め、ずっと惹かれていたのだ。しかし、心のままに江美子に甘えることが母親に対する裏切りのように思えて、理穂は素直になれなかったのである。

理穂は自分のブログに、江美子に対する愛憎半ばした気持ちを書き連ねていた。理穂は、それが麻里の交代人格であるマリアに利用されたことまでは気づいていない。

麻里の解離性人格症候群については、隆一は理穂に対してゆっくり時間をかけて説明していくつもりらしい。

マリアが受けた精神的外傷をどうやって癒していくのか、そして麻里の解離性人格症候群をどうやって治療していくのか。解決しなければいけない問題はたくさん残っている。有川との不倫が「麻里」の罪ではなかったことが分かった今、これから隆一はそれらの問題にどうやって臨んでいくのか。

とりあえず隆一は、これから月一回、麻里が隆一の同席の上で理穂と面会することについての許可を江美子に求めた。


「もちろんかまいません、隆一さん」

江美子は隆一にきっぱりと頷く

「江美子、すまない……」
「いいんです」

江美子は隆一に微笑みかける。

「私こそ馬鹿なことをしてごめんなさい」
「いや、江美子が悪いんじゃない。江美子はむしろ被害者だ。俺がぼんやりしていたばかりに、すっかり巻き込んでしまった」
「麻里さんは隆一さんを裏切っていなかったんですね」
「ああ」
「やっぱり、隆一さんが選んだ人です。それに引き換え私は……」

江美子は俯くと声を震わせる。

「……醜い不倫女です。隆一さんの妻にはふさわしくありません」
「馬鹿な、そんなことはない」

隆一は首を振る。

「いいんです。隆一さんの心の中に麻里さんが住んでいても……でも、二番目で構いませんから、私も隆一さんの妻でいさせてください」
「俺の妻は江美子一人だ」
「いいじゃないですか」

江美子は顔を上げて微笑む。大きな黒い瞳は涙で濡れている。

「妻が二人いたって……隆一さんは贅沢者ですわ」

そう言うと江美子は隆一にキスをした。
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桐 11/10(土) 17:45:10 No.20071110174510 削除
「そんな勝手なことが許されるのか」
「何が勝手なの?」

隆一の言葉にマリアは気色ばむ。

「いい? あの男に組み伏せられているとき、麻里はずっと部屋の中で隠れていたのよ。私があの男から代わりに犯されたの。毎日、毎日、来る日も、来る日も、私は麻里に代わって痛み、苦しみ、恐怖、そして屈辱を引き受けた……」
「……」
「そのおかげで麻里には、そのときの辛い記憶はない。でも、これ以上犠牲になるのはごめんだわ。私は麻里と一緒に心中するつもりはないわ。隆一と別れたこと、理穂と離れ離れにならなかったこと、それがどうだって言うのよ。私が受けたのとは比べものにならない程度の苦しみで、私を道連れにしようだなんて、その方が勝手じゃないの?」

隆一は返す言葉を失い、マリアを見つめている。

「結局私と麻里の人格を統合することに無理があるのよ。私は私、麻里は麻里で自由に生きればいいのよ」

そう言い放ったマリアは急に頭を抑え、「ううっ!」と悲鳴を上げる。

「どうした、マリア」

有川が駆け寄ろうとすると、マリアは金切り声を上げる。

「出てこないでっ!」
「マリア!」

マリアの悲鳴のような声は、有川に対するものではない。

「そんなことはさせないわっ!」

隆一は呆然として激しく苦しむマリアを見つめている。

「人格交代だ」

有川が呟く。苦悶するマリアは黒髪をかきむしる。サブリナカットのウィッグが頭から剥がれ落ち、ウェーブのかかった栗色の髪が姿を現す。やがてマリアは一声、獣のような悲鳴を発し、はあ、はあと荒い息を吐きながら顔を上げ、隆一を見るが、その顔つきはそれまでとは一変している。

「隆一さん……」

険しさの消えたその顔は麻里のものだった。

「隆一さん、私……」

麻里は不安げに辺りを見回す。素っ裸のまま横たわっている江美子の姿を認めた麻里は、驚愕に目を見開く。

「私、何てことを……」

麻里はそこで、マリアが江美子に対して何をしたのかを悟る。麻里は悲鳴をあげると立ち上がり、発作的にキッチンへ駆け込む。

「麻里っ!」

隆一が麻里の後を追う。麻里は食器棚の引出しから包丁を取り出すと、自分の手首に当てようとする。

「やめろっ!」

隆一は必死で麻里を押さえ込み、包丁を奪おうとする。

「死なせてっ! 隆一さんっ」
「馬鹿なことをするなっ。理穂が悲しんでもいいのかっ」
「理穂……」

麻里の力が抜け、包丁が手から落ちる。麻里はわっと声をあげて泣き出し、隆一の胸にしがみつく。

「あなた……隆一さん……ごめんなさい、ごめんなさい」
「麻里……」

隆一は麻里の背中に手を回すと、ぐっと抱き寄せた。

「俺こそすまなかった……お前の苦しみを何も知らないで……」
「隆一さん……」
「自殺なんか絶対に駄目だ。理穂が悲しむ……それに……」

隆一はいったん言葉を切り、麻里を見つめる。

「俺も悲しいんだ。死なないでくれ、麻里」
「ああ……」

いつまでも隆一の胸の中ですすり泣いている麻里の姿を、有川が少し離れたところでじっと眺めていた。
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桐 11/10(土) 17:44:05 No.20071110174405 削除
「私が医者から処方されているものや、『A』のお客からもらったものを少しね。ほら、隆一も横浜で会ったそうじゃない?」

隆一は横浜駅近くで江美子にからみ、また月曜の夜にバー「A」で見かけた中年男の顔を思い出す。

「江美子、しっかりしろ」
「あなた……」

隆一が抱き起こすと、江美子は惚けたような顔で隆一を見る。

「麻里さんに教えてもらっていたの……どうやったらあなたの好みの女になれるか」
「江美子……こんなことをやる必要はないんだ」
「あなた……隆一さん……まだ麻里さんのことが好きなんでしょう……」

江美子は潤んだ瞳を隆一に向ける。隆一は言葉を失い、江美子を見つめ返す。

「分かっていたわ……私、ずっと……K温泉であなたが麻里さんのことを見る目……それを見て以来……」
「それは……」
「私、怖かった……いつかあなたが麻里さんのところへ帰っていくんじゃないかと……あなたを失うのが嫌だったの……だから私は……」

江美子はもどかしげに裸身を隆一に押し付ける。

「……ああ、あなた……不倫女の江美子をお仕置きして……」

江美子はそう言うと隆一の腕の中で崩れ落ちるように気を失った。

「江美子、江美子、しっかりするんだ」

隆一は江美子を抱きしめ、声をかける。マリアはそんな二人の様子を皮肉っぽく眺めていたが、やがて口を開く。

「もうちょっとで淫乱女の完成だったんだけれど……惜しいことをしたわ」
「麻里、いや、マリア……お前は……」
「あら、怖い顔ね。隆一」

マリアはくすくす笑う。

「私をマリアと呼ぶということは、誠治から解離性人格症候群のことを聞いたのね」
「なぜこんなことを……」
「偉そうなことを言っても、隆一が結局淫らな娼婦のような女、つまり私のような女が好きだからよ」
「なんだと」

隆一はそこにいるのが麻里の交代人格であることも忘れ、かっと頭に血がのぼる。

「俺が好きなのはお前じゃない。主人格の麻里だ」
「あら、あなたと麻里との結婚生活の間、私が一度も部屋から出なかったとでも思っているの?」

マリアは妖艶な瞳を隆一に向ける。

「私たち、何度も愛し合ったじゃない。わからないの」

隆一はマリアの言葉に愕然とする。時折昼間の清楚な姿が信じられないほど、娼婦のように淫らに振舞った麻里、それは交代人格のマリアが現れていたからだったのか。

それなら翌日になって麻里が不安そうな態度を示していたことも納得できる。麻里はマリアに交代したときに生じる記憶喪失に悩んでいたのだ。

(俺はよく、セックスの最中はあんなに乱れていたのに突然我に返ったように恥ずかしそうにする麻里をからかった。それが麻里をたまらなく不安にさせていたのか)

隆一の顔色が変わったのを認めたマリアは、勝ち誇ったように続ける。

「隆一には私のような女が必要なのよ。だけど、たまにするセックスの相手が隆一だけなんて生活、もうたくさんだわ。だからその役割をここにいる江美子に代わってもらおうと思ったのよ。江美子は隆一のためなら何でもするみたいだし、私の代わりにはぴったりだわ」

「そして私も解放される。麻里が隆一と結婚している間、私はずっと部屋の中で息を潜めていなければならなかった。もちろん自分でそうしようと決めたことだけれど、無理は続かないわ。結局私は外へ出てきてしまった」

マリアは低い声で話し続ける。
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桐 11/10(土) 17:43:35 No.20071110174335 削除
「もっとも、江美子は分からなかったみたいだけれどね。あの女、最近全然周りが見えていないから」
「江美子はどこにいる?」
「寝室よ」

有川が「こっちだ」と指で示す。隆一は寝室へ向かうとドアを開けようとするが、鍵がかかっている。

「江美子」

隆一は江美子の名を呼ぶが返事がない。ドアに耳を近づけると、中から複数の男と江美子の声がする。

(あーん、お尻が、お尻が、裂けちゃいそうっ)
(もうちょっとで根元まで入るんだ。我慢しないか)

パシッと肉を叩く音。

(あっ、い、いやーん)
(ギャアギャア煩いから俺のチンポでも咥えてな)
(うっ、ううっ、うぐっ……)

「江美子っ!」

隆一がドアのノブを必死でひねるが、びくともしない。

「落ち着け、北山。この手の内鍵は外から開けられるんだ」

有川はポケットから硬貨を取り出すと、ドアノブの中央の溝に当て、ぐるりと回す。ドアは解錠され、隆一と有川は部屋の中に入る。

「江美子!」

素っ裸の江美子がベッドの上に四つん這いになり、若い男二人が江美子の前後に取り付いている。一人は豊かな臀部を抱え込むようにしながら、淫具で江美子の肛門を嬲っている。もう一人の男は江美子の口に怒張した逸物を咥えさせ、ゆっくりピストン運動を行っている。

江美子の痴態に唖然としている隆一の背後からマリアの声がする。

「間違えないでね、隆一。これは互いの合意の上でやっているのよ。この男たちには絶対本番はしないという条件で江美子の調教をお願いしているの。江美子も了解していることよ」
「調教だと……」
「隆一好みの女になるためよ」
「どういうことだ」

隆一はマリアを睨みつける。マリアは挑みかかるような目を隆一に向けている。

「とにかくすぐにやめさせろ」

マリアは静かな笑みを浮かべながら沈黙している。苛立った隆一は男たちに向かって「やめろ、貴様ら。江美子から離れろ」と怒鳴りつける。男たちはそこでようやく隆一に気づいたような顔になる。

「何だ、おっさん」

一瞬男たちは凶暴な顔付きになるが、マリアが男たちに声をかける。

「悪いけど、今日のところはこれでおしまいにして」

男たちは隆一の必死な表情を見ると「ちっ、シラケるな」と捨てぜりふを吐き、江美子の身体から離れ、服を着る。

「ごめんね、今度埋め合わせをするわ」
「よろしく頼むよ、マリア」

若い男たちはマリアにそう声をかけると部屋から出て行く。

「ああーん、ねえ、もう終わりなの?」

江美子は素っ裸のままベッドの上に座り込み、痴呆のような表情を浮かべている。

「気にしないでね、ちょっとクスリをやっているから普通じゃないのよ」
「クスリだと?」
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桐 11/10(土) 17:43:03 No.20071110174303 削除
「いらっしゃいませ」

バーテンダーは隆一の顔を見ると緊張した顔付きになる。

「だいぶ前に出られました。もう一時間くらいたつでしょうか」
「一時間……」
「なかなかお客が切れなくて、連絡が少し遅れました。すみません」
「いや、いいんだ。ありがとう」

隆一は1万円札をバーテンダーに握らせると店を出る。有川が後から続く。路上でタクシーを止め、麻里のマンションに向かう。

「マリアがこの店で会っている男たちに心当たりはないか?」
「いや、知らないな。俺がマリアに会うのはもっぱら休日だ。それにここのところ、会ったのはK温泉くらいだ」
「有川」
「なんだ?」
「本当のことを言ってくれ。俺がK温泉で会ったのは麻里とマリアのどっちだ」

有川はしばらくためらっていたがやがて口を開く。

「あれは……麻里だ」
「それなら露天風呂では、麻里を俺の前で抱いたのか?」
「すまん……麻里にそうしてくれと頼まれたんだ。そうすると隆一の自分に対する未練が消えて、江美子さんと仲良くやっていけると」
「麻里が……そんな……」

隆一は胸が衝かれるような思いになる。

「理穂ちゃんのためでもある。理穂ちゃんを江美子さんに託そうとしたんだ。マリアはそんな優しい麻里が歯痒かったんだろうな」

タクシーは麻里のマンションにつく。隆一は料金を払い、車を降りてエントランスへ向かう。

「俺が鍵を持っている」

有川がオートロックを解錠する。

「806号だ」

隆一と有川はエレベーターに乗り込む。麻里のマンションに到着し、有川がドアのロックを開ける。

「マリア、いるか」

有川はマリアの名を呼びながら部屋に入り、隆一がその後に続く。リビングに入るとしどけない下着姿の麻里――マリアがソファに横座りになっていた。

「あら、誠治じゃない」
「無事だったのか」
「なんとかね。でも間一髪だったわ。あの馬鹿女、K温泉の吊り橋の上から飛び降りようとしたのよ。交代人格の私が部屋から飛び出すのが遅ければ、岩場へ真っ逆さまだったわ」

マリアはそう言うと苦笑する。

「でも、落ちる寸前に気を失っちゃったのよ。あの女、いつも詰めが甘いんだから。必死でロープにしがみついたけれど、おかげでこのざまよ」

マリアは有川に向かって広げた手を見せる。そこには無数の擦り傷があった。

「身体もあちこち打撲があって……でも、ちょうど温泉にいたのでいい湯治になったわ。麻里を部屋の中に押し込めるのにも時間がかかって、今日ようやくこっちへ戻ってきたところよ」

マリアはそう言うと、隆一のほうを見て微笑む。

「隆一も久し振りね。いえ、この前渋谷のバーであったかしら」
「気づいていたのか」
「あんな下手糞な変装。気づかない方がおかしいわよ。何年の付き合いだと思っているの」

マリアはくすくす笑う。
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桐 11/10(土) 17:13:19 No.20071110171319 削除
「俺は麻里を少しでも癒してやりたかった。K温泉に行ってお前と江美子さんに会わせたのも、麻里の気持ちに区切りをつけさせることと、出来れば江美子さんを交えてでも、理穂ちゃんと定期的に会うことがの出来ればと思ったからだ」
「俺と江美子がK温泉に行くことは、理穂から聞いたのか?」
「理穂ちゃんは江美子さんがお前と結婚してからは、江美子さんに気を使って麻里とは連絡をとっていない」
「それなら、どうして?」
「理穂ちゃんがブログを開いていることを知っているか?」
「ブログだって?」

隆一は有川の意外な言葉に聞き返す。

「理穂はパソコンはやらないが」
「ブログは携帯でも更新出来る。マリアが偶然理穂ちゃんのブログを見つけた」
「そんな偶然があるのか?」
「結構人気のあるブログらしい。両親が離婚した女子中学生のブログってことでな」

隆一がショックを受けているのを見て、有川は「悪かった」と声をかける。

「俺が原因をつくっておいて、無神経だった。とにかくそのブログの存在を俺が麻里に教えた。さっきも言ったが、マリアの記憶は麻里は共有出来ない。だから必要に応じて俺はマリアから麻里への仲介役になった」

「麻里は理穂ちゃんのブログに匿名で書き込みをするようになった。自分が母親であることを明かさずに理穂ちゃんの悩みに色々とアドバイスをするのが麻里にとっての唯一と言って良い楽しみになった。理穂ちゃんが普段は強がりを言っているが本音では母親と会いたがっていることを知ったのもそのブログを通じてだ」

「麻里はお前と江美子さんがK温泉へ行くことを知った。理穂ちゃんは家族の思い出の場所へお前達二人が行くことを否定はしていなかったが、お前と麻里の三人で言った旅行のことを思い出すと寂しくてたまらないと……」

(麻里……理穂……)

隆一の心の中に深い後悔が湧き起こる。

(俺はなんて自分勝手だったのか。俺の知らないところで麻里が、そして理穂がそんな深い悲しみに苦しんでいたとは。二人の苦しみも知らず、江美子という新しい伴侶を得た俺だけが浮かれていたのか)

「理穂はコメントの相手が麻里だとは知らなかったのか」
「まさか……」

有川は首を振る。

「中学生とはいえ、女の勘を甘く見るもんじゃない。お互いに気づかないふりをしていただけだ。しかしそれが結果として、マリアにお前達、特に江美子さんの行動を把握させる手段となった」

「隆一、マリアは父親から、言葉に出来ないほどのおぞましい仕打ちを受けている。それが江美子さんに対する加虐性に向かっている危険性がある。俺がマリアを制御出来なかったために江美子さんに何かあったら――」
「わかっている」

隆一はうなずく。

「そうならないように、麻里、いや、マリアを止めなければ」

ようやくタクシーは目的地につく。隆一と有川は車から降りると、地下のバーへ向かう。
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桐 11/10(土) 17:12:45 No.20071110171245 削除
「隆一の方だって同じ。自分が江美子を抱いているのなら、交代人格の私が身体を支配しているときに、あなたに抱かれる麻里を責めることはできないわ」
「そんなことがうまく行くものか。だいたいそれでは江美子さんの感情はどうなる」
「それをうまく収まるように色々と細工をしているんじゃない。江美子が私と同じように、色々な男に抱かれることに喜びを感じる、娼婦のような恥知らずの女になれば何の問題ないわ。つまり隆一はよき妻、よき母としての麻里と、欲望のはけ口としての江美子の二人の妻を得ることになるのよ」

マリアはそこまで話すと再びクスクスと笑い出す。

「理穂ちゃんがそんな不自然な関係を受け入れることが出来るものか」
「少なくとも理穂には、交代人格の私になった麻里の姿を見せずにすむわ。江美子はもともと慎みのない不倫女。理穂が気にする相手じゃないわ」
「マリア……」
「とりあえず麻里の馬鹿な行動を止めないとね」

マリアはそこで電話を切る。

----------------------------------------------------------------------

「……それ以来マリアと連絡が取れない。マンションを訪ねてみたが、帰っていない」

有川の話を聞き終えた隆一はしばらく呆然としていたが、やがて口を開く。

「ひょっとしてK温泉に行っていないか?」
「実は俺もそう思ってTホテルには連絡してみたが、来ていないそうだ」
「ホテルが守秘義務の関係で隠しているということはないか?」
「この前泊まった時は俺の妻ということにしておいたから、それはないとおもうが」

有川は首をひねる。

「理穂も連絡が取れないそうだ」
「そうか……」

隆一の不安が極限まで高まった時、携帯がメールの着信を告げる。ディスプレイには、渋谷のバーのバーテンダーの名前が表示されている。

「麻里が、いや、マリアが渋谷に現れた。おそらくは江美子も一緒だ」
「何だって?」

隆一が立ち上がると有川も後に続く。

「俺も一緒に行く。麻里のマンションの合鍵を持っている」
「わかった」

隆一は喫茶店を出るとタクシーを拾う。渋谷に向かうが、年末の金曜日だけあって道は混んでいる。

(電車で行くべきだったか……)

隆一は苛々しながらすっかりクリスマス一色になっている街並みを眺める。

「有川」
「なんだ」
「お前はマリアのカウンセリングにずっと付き添っていたのか」
「ああ」

有川はうなずく。

「とは言っても、マリアはお前と麻里が結婚している間はずっと部屋の中に閉じこもっていたし、その後も出現するのは週に二、三度、それも夜だけだ。カウンセリングはあまり進んでいない」
「麻里の方はどうなんだ」
「解離性人格症候群の原因となった精神的外傷があるのは交代人格のマリアの方だから、麻里のカウンセリングはそれについてはあまり意味がない。ただ……」

有川は口ごもる。

「ただ、何だ?」
「麻里はひどく傷ついている」
「どうしてだ」
「決まっているだろう。お前と別れなければならなくなったからだ」

有川の激しい口調に隆一は言葉を失う。
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桐 11/10(土) 17:12:13 No.20071110171213 削除
「交代人格であるマリアが持っている心的外傷を治癒していくしかない。それは長く、今期のかかる作業だ。お前はそれを、マリアといっしょにやっていくことが出来るのか」
「……出来るかどうか、やってみなければわからないだろう」
「いや、わかる。マリアのことは俺が一番分かっている」

有川は首を振る。

「北山、麻里の気持ちを分かってやれ。麻里がどんな思いでお前との別れを選んだのか。お前を苦しめたくなかったんだ」
「麻里……」

隆一は頭を抱える。

「そして、何よりも理穂ちゃんを苦しめたくなかった。マリアの人格に変貌したところを、娘には絶対に見せたくなかった。また、自分の存在が娘の将来の重荷になることを恐れた。そんな麻里の気持ちを分かってやってくれ」

(俺はなんていうことを……)

有川の説明から、すべてのことが腑に落ちる。どうして麻里が有川と不倫をしたのか、どうして「二度と繰り返さないと約束することは出来ない」といったのか……。

あの言葉は麻里の誠意だったのだ。麻里はたった一人で苦しんでいたのだ。

「有川、お前は電話で麻里の命がどうとか言っていたが」
「そのことだ。水曜の夜に麻里からメールが入った。マリアではなくて、麻里の方からだ」

有川は表情を引き締めて話し出す。

「マリアが江美子さんに接触するのを止めてくれ、と言っていた。自分もできるだけのことをすると。俺はそのメールを見たとき、麻里が自殺する気なのではないかと思い、慌てて麻里に電話をした。しかし出たのはマリアだった」

----------------------------------------------------------------------

「自殺ですって?」

マリアが聞き返す。

「あのバカ、何を考えているのかしら。こっちが折角、色々と骨を折ってあげているというのに」
「マリア、お前はいったい何をしているんだ」
「麻里を隆一のところに返してあげようとしているのよ」
「返すだと?」

マリアの言葉に有川は耳を疑う。

「そんなことが出来るはずがないだろう。北山にはもう江美子さんという妻がいるんだぞ」
「だからいいのよ」

マリアは楽しそうにくすくす笑う。

「理穂が母親を欲しがっているのよ」
「理穂ちゃんが……」
「私の悪ふざけで麻里が離婚することになったのことは、これでも責任を感じているのよ。理穂のことも嫌いじゃないし。麻里の娘ってことは私の娘でもあるからね」
「馬鹿な」

有川は耳を疑う。

「北山が今さら江美子さんと別れて、麻里と復縁するわけがないじゃないか」
「別に別れなくてもいいのよ。麻里と江美子、両方自分のものにすれば良いでしょう?」
「……どういう意味だ?」
「その時には江美子は私の役割を演じてもらうわ」
「マリアの役割?」
「いい、麻里はもう一度隆一のものにする。麻里の交代人格である私は以前のようにあなたにも抱かれ、他の男にも抱かれる。江美子も私と同じように隆一にも、娼婦のように他の男にも抱かれる。これで麻里は隆一に対しても、江美子に対しても罪悪感を持つ必要はなくなるのよ」

マリアは声を弾ませながら続ける。
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桐 11/10(土) 17:11:36 No.20071110171136 削除
「せっかく希望の職場に転職出来たのに、プレッシャーかしら。麻里は真面目すぎるのよ。理穂のことももっと手を抜いてもいいのに」
「おかげで私が急遽代打で登場。でも、このところずっと部屋に閉じこもりっぱなしで、麻里のことも観察していなかったから仕事の会話もチンプンカンプンだわ。誠治、昔の誼みでちょっと手伝ってくれない?」
「マリア……」

有川は10年ぶりに会った「恋人」の姿を呆然と見つめている。

「もちろん無料奉仕とは言わないわ。ずっと部屋の中に閉じこもりっぱなしの禁欲生活でイライラしているのよ」

マリアはそう言うと意味ありげに足を組み直し、妖しく有川にほほ笑みかける。

----------------------------------------------------------------------

「俺はひさしぶりにマリアを抱いた。お前には申し訳なかったとは思っている。しかし、俺は10年以上マリアを待って、ずっと独りでいたんだ。言い訳をさせてもらうなら、お前から麻里を奪うつもりは全くなかった。俺が好きなのは一貫してマリアだけだ」
「しかし、ある時マリアが悪戯心を起こした。俺に抱かれている最中にいきなり部屋に閉じこもったんだ。当然主人格である麻里が現れた」
「何だって?」

隆一は耳を疑う。

「人格交代の様子をこの目で見た俺も驚いたが、麻里はもっと驚いただろう。気がつけば俺の上で素っ裸のままつながっていたのだからな。麻里は混乱してパニックのようになり、次に激しく俺を責めた。俺が無理やり麻里に酒か薬でも飲ませて正体を失っているときに抱いたと思ったのだろう」

「俺はしょうがなく、必死で麻里を落ち着かせようとした。麻里はひどく興奮していたが、俺が解離性同一性障害のことを説明すると、徐々に落ち着きを取り戻していった。麻里はマリアとは違って自分がそれだとは知らなかったようだが、ある程度思い当たるところはあったのだろう。過去、頻繁に記憶がなくなるのは酒のせいだと思っていたようだ」

「マリアはほんの冗談のつもりだったらしいが、麻里にとっては大変なショックだったようだ。その後はマリアもそういった悪戯はやめるようになったが、俺との関係は続いた。しかし麻里はずっとそのことに罪悪感をもっていたのだろう」

「麻里にとってもっとも堪えたのは、自分がマリアの行動を制御できないということだ。そしてマリアが再び部屋から出るきっかけを作ったのが、無意識的ではあったが自分の弱さがそうさせたことだった」

「麻里は治療のためカウンセリングに通ったが、解離性同一性障害が極めて治療が困難な人格障害だということを知ってショックを受けた。また、カウンセリングの過程で自分が過去、父親から悪戯されている時、その肉体的・精神的苦痛は交代人格のマリアが引き受けていたこともわかり、マリアに対して罪悪感を抱くようになった」

「一方、マリアはタガが外れたように俺との関係に溺れた。そんな麻里の異常にお前が気づかないはずがない。そしてあの破局が訪れた」

隆一は苦しげな表情で有川を見る。

「どうして俺に言ってくれなかった」
「解離性同一性障害のことをか?」
「そうだ」
「麻里から堅く口止めされていた」
「なぜだ」
「事実を告げたら、お前は絶対に麻里と別れないだろう?」
「当たり前だ。そんな麻里の苦しみを放っておけるか」
「それを麻里は恐れたんだ」

隆一はいきなり頬を殴られたような顔付きになる。

「麻里と一緒に暮らすということは、彼女の中のマリアも許容するということだ。マリアには貞操観念はない。お前は自分の妻が他の男に抱かれても耐えることができるのか?」
「俺が……一緒に麻里を治す」
「お前はこの障害のことを良くわかっていないからそんなことが言える。解離性人格症候群はいまだ確立された治療法すら存在しないやっかいなものだ。以前は人格統合が最善の治療法だと考えられていた。しかし、麻里とマリアの人格は違いすぎて統合は極めて難しい。また、マリアが持っている心的外傷体験を下手に麻里が共有してしまうと、麻里までが壊れ、パニックや自殺の原因になることもある」
「自殺……」

隆一は有川の言葉に息を呑む。
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桐 11/10(土) 17:10:51 No.20071110171051 削除
「人はあまりにもつらいことが起きると、それは自分ではなくて自分の中の他人、別の人格の身に起きているんだと思い込むことによって自分を守ろうとする。そうやって麻里の中に生まれたのがマリアだ。マリアは不道徳で、性に対してもだらしなく、父親からそんな悪戯をされても仕方がない女だ。しかし、俺はそんなマリアにどうしようもないほど恋をした」

有川の告白は続く。

「これは絶対にかなえられない恋だ。麻里の身体はほとんどの時間を主人格が支配している。交代人格のマリアが現れるのは週に二、三日ほど、それも主に夜だけだ。マリアにはそもそも一人の男を守ろうという貞操観念はないから、俺だけではなく他の男とも付き合う。それが俺には耐えられないほど苦しかった」

「誤解を恐れないで言えば、俺が好きなのはあくまでマリアであって麻里ではなかった。しかし、マリアとそっくりの女が――本人なので当たり前だが――昼間お前と親しげに話しているのを見るのもつらかった。また、清楚で貞操観念の強い主人格の麻里は、真面目な北山とお似合いなのも分かっていた」

「交代人格は主人格が出現している間も、主人格の行動を観察し、その体験を共有することが出来るらしい。逆に主人格は、交代人格が支配している間自分が何をしていたか覚えていない。麻里とお前が親しくなっていくにつれて、それを観察しているマリアに変化が生じて来た。ある時マリアが俺に、関係を終わりにしようと告げた」

----------------------------------------------------------------------

「お前まで隆一が好きになったのか」
「そうじゃないわ」

マリアは苦笑する。

「このままいったらいずれ修羅場になるわ。私、そういうのは苦手なのよ。それに交代人格は主人格があっての存在よ。隆一と結婚することが麻里の望みなら、それを叶えた上でうまくやっていくしかないのよ」
「それならこれからも俺と付き合ってくれればいいじゃないか」
「だから、そうすると修羅場になると言っているでしょう?」

マリアはくすくす笑う。

「俺と別れて、マリアはどうするんだ」
「そうね、しばらく『部屋』の中に閉じこもっているわ」
「部屋?」
「人格の中に部屋があるのよ。表に登場しない人格はそこで静かに暮らしているの。色々な仲間がいるから退屈しないわ。男だっているのよ」

有川は寂しさに胸が締め付けられそうになってマリアに尋ねる。

「もう帰ってこないのか」
「そんなことはないわよ」

マリアは優しげに笑う。

「また会いましょう、誠治。色々な男と付き合ったけれど、あなたが一番好きよ」
「隆一よりもか」
「隆一よりもよ」

マリアはそう言うと、有川に軽く接吻をした。

----------------------------------------------------------------------

「それが俺とマリアの別れになった。その後麻里はお前のプロポーズを受け入れた。お前は、俺とマリアが付き合っていたことを薄々知っていた。もちろんそれが麻里の交代人格だとは気づかなかっただろうが」

「俺がお前と麻里の結婚式の司会を引き受けたことに驚いたかもしれないが、そのこと自体は俺にとって大したことではなかった。俺はマリアを失う事で十分辛い思いをしていた。お前と結婚するのは麻里であってマリアではない」

「その後約束どおりずっとマリアは現れなかった。俺は麻里の解離性同一性障害がこういった形で治るのなら、寂しいことだがそれはそれでしょうがないと諦めかけたころ、突然マリアが俺のところにやってきた」

----------------------------------------------------------------------

「麻里の馬鹿が職場放棄したのよ」

マリアは有川が勤めるオフィスの応接間のソファに腰をかけると、うんざりしたような声で有川に告げる。
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桐 11/10(土) 17:09:43 No.20071110170943 削除
隆一は驚いて有川の顔を見る。有川は深刻そうな表情を崩さず隆一をじっと見つめ返している。

「冗談を言っている訳ではない」

有川は続ける。

「解離性同一性障害には基本人格と呼ばれる元からの人格と、後で生じたいくつかの人格がある。よく二重人格という言葉があるが、この症状で人格が二つしかないのはむしろ珍しいらしい。また主に発現するものを主人格、それ以外を交代人格というが、麻里の場合は基本人格が主人格になっている」
「交代人格のうち最も多く発現し、一時的には主人格をしのぐほどのものがある。麻里のそれは自分ではマリアと名乗っている。主人格の麻里は純情で慎み深く、性に対しては臆病だ。一方交代人格のマリアの方は奔放で、麻里とは対照的な性格だ」
「ちょっと待て、有川」

隆一が有川の言葉を妨げる。

「どうしてお前は麻里がその解離性同一性障害だということを知っている?」
「本人から聞いた」
「本人からだと?」
「ああ、学生の頃、本人に聞いたんだ。マリアからな」

有川の言葉に隆一は再び驚く。

「ずっとおかしいと思っていた。女には二面性があるというが、お前に対する麻里の態度と、俺に対する態度がまるで違う。お前を出し抜いて夜、麻里とデートしたことがあるが、翌日の朝そのことを話題に出しても、まるで覚えていないという顔をしている。そして昼間はお前に親しげにしている。俺には訳が分からなかった」
「ある夜、麻里と一緒にいた時、我慢出来なくなって問いただした。どうして昼間は俺に冷たい態度を取るのかと。すると麻里はあの大きな目を一瞬見開いて、次に笑い出した──」

----------------------------------------------------------------------

「あれは私とは別の人間。夜のことを覚えていないのは当たり前よ」

麻里は有川に向かって悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「どういう意味だ?」
「区別するために夜の私といる時はマリアと呼んでちょうだい」
「マリア……」
「聖母様の名前よ」

麻里はそこでもう一度ほほ笑んだ。

----------------------------------------------------------------------

「──最初俺は麻里、いや、マリアからからかわれているのだと思った。しかし、ずっと付き合っているうちに、マリアの言っていることは比喩でも冗談でもないことがわかった」

有川はそこでいったん言葉を切り、隆一を正面から見る。

「北山、解離性同一性障害というのは、何が原因で起こるか知っているか?」
「いや……」

隆一は首を振る。

「多くは幼少期の虐待だ。性的なものを伴うことが多い。お前に心当たりはないか」
「あ……」

隆一は麻里の父親のことを思い出す。

麻里は幼いころに母親を亡くし、ずっと父と娘の二人暮らしだった。麻里の父は暗くなよっとした男で、隆一はどちらかというと苦手なタイプだった。二人の披露宴の際も言葉は少なく、花嫁の晴れ姿を見ても無言で皮肉っぽい笑みを浮かべているような男だった。

隆一と麻里が結婚してから五年ほど後に癌で亡くなったが、その時の麻里はさほど悲しみも見せず、淡々としていたことを覚えている。

「麻里は小学校高学年から中学生くらいまで、父親から日常的に性的な悪戯をされていたんだ」
「何だって?」

隆一は耳を疑う。
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桐 11/10(土) 17:08:51 No.20071110170851 削除
青山のイタリアンレストランで麻里と別れてから一週間以上が経った。

バーテンダーからメールは届かない。江美子の様子も落ちついている。「水」という男からのメールもその後はない。

(麻里のやつ、諦めたか)

クリスマスイブを含む三連休を控えた金曜の夜、溜った仕事にようやく区切りをつけた隆一はひとまずほっとした心地になる。

(あんなにきつく言わなくても良かったのかも知れない)

きっと江美子にも隙があったのだ。そしてもしそうだとしたら、俺との関係に自信がもてなかったのがそうさせたのだろう。裏切られることに臆病になって、根拠のない猜疑心が江美子を追い詰めたのではないか。

このまま麻里との接触がなくなれば江美子は落ち着くだろう。今度のことはそれで終われば、男たちとの間に何があったのかなどと、江美子を追求するつもりはない。

隆一がそんなことを考えていると、突然携帯が鳴った。ディスプレイには「理穂」という名前が表示されている。

『パパ!』
「どうした、理穂」
『ママが、ママがいなくなっちゃった』
「何だって? どういう訳だ」
『ママが死んじゃうかもしれない。どうしよう、私……』
「理穂、落ち着いて話せ。どういうことだ」

理穂は泣きじゃくるばかりで会話にならない。その時、審査部のアシスタントが隆一の名前を呼ぶ。

「北山審査役!」
「取り込み中だ」
「すみません。どうしても大至急話したいという方が」
「誰からだ」
「有川さんという方です」
「有川?」

隆一は理穂に「いったん切るぞ」と声をかけ、携帯をオフにすると電話をとる。

「北山、俺だ。有川だ」
「こんな時に何の用だ」
「こんな時? 麻里がいなくなったことか」
「麻里の居場所を知っているのか?」
「知らない。しかしお前に話したいことがある」
「今はそれどころじゃない」
「今じゃなきゃだめだ。麻里の命にかかわる」
「何だって?」

有川のただならない口調に隆一は驚く。

「すぐ近くの○○ビルの喫茶店まで来ている」
「わかった。今から行く」

隆一はアシスタントに「悪いが今日はこれで上がる」と告げるとオフィスを出る。有川が指定した喫茶店はオフィスから五分ほどの場所である。有川は店の奥で深刻そうな表情をして待っている。

「挨拶は抜きだ。お前にずっと隠していたことがある」

隆一が席に着くなり有川は口を開く。

「北山は解離性同一性障害というのを知っているか?」
「なんだ、それは」

突然の有川の言葉に隆一は面食らう。

「昔はよく多重人格と言われたものだ」
「多重人格? 一人の人間の中にいくつもの人格が存在するってやつか」

いったいそれが今、麻里にどういう関係がある、と隆一は苛立つ。

「麻里がその解離性同一性障害だ」
「何だって?」
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桐 11/10(土) 17:08:01 No.20071110170801 削除
「それもいつも同じ男という訳ではない。周りから見たら男漁りそのものだ」
「……」
「別にそのことを非難するつもりはない。しかし、そんな自堕落なお前の行為に江美子を引きずり込むのはなぜだ?」
「……隆一さん」
「おまけに江美子の写真を撮らせて、ご丁寧に江美子の昔の男の名前で送ってくる。なぜそいつが俺のメールアドレスを知っているのかと不思議だったが、ようやく分かった。麻里が送っていたのだな」
「……違う、隆一さん、聞いて」

麻里は必死な表情を隆一に向ける。

「江美子がどうしてお前の男遊びに引きずり込まれたのかは分からない。暴力や脅迫を使ったという訳でないのなら、江美子のことはある程度は自己責任だ。もしそうならこのことについて麻里も江美子もそれほど責めるつもりはない」
「……」
「しかし、許せないのは理穂を使ったことだ」

麻里の表情が青ざめる。

「理穂を……」
「お前は理穂を通じて俺達の情報を得ていたのだろう? 俺達がK温泉に行くことも理穂から聞いていたか?」
「そんなことは……」
「おまけにお前は理穂を使って江美子の心を操ろうとした。江美子の不安感をあおりながら。白いマフラーはお前の差し金か?」
「白いマフラー?」
「理穂が結婚一周年のプレゼントに江美子にプレゼントしたものだ」

麻里は再び強い衝撃を受けたような顔になる。

「携帯メールを送って江美子が俺を裏切るのを見せつけ、俺が江美子に愛想を尽かすのを待っていたのか? それなのに俺がいっこうに行動に移さないから、理穂を使って探りを入れさせたか? 残念だったな。麻里の思ったようにはならないぞ」

言い過ぎているかもしれない。しかし、隆一はもはや言葉が激烈になるのを止めることができない。麻里はじっと顔を伏せ、隆一の次の言葉を待っている。

「俺がお前と別れたのは、お前が有川と不倫をしたからではない。お前が俺に対して裏切りの事実を詫びながらも、二度と繰り返さないとは約束出来ないと言ったからだ」
「……」
「あれでもう駄目だと思った。一緒には暮らせない。麻里と夫婦としてやっていくことは出来ないと」
「……わかっていました」

麻里は小声で呟く。

「何だと?」
「そのことが理由だと分かっていました。私は結婚すべきではなかったのです。でも、あなたと結婚しなかったら理穂は生まれて来なかった」

顔を上げた麻里の頬を幾筋も涙が伝え落ちている。

「あなた……隆一さん、お願いです」
「何だ」
「江美子さんに、二度と私に近づかないように言ってください」
「何だと?」

隆一は思わず聞き返す。

「何を訳の分からないことを言っている? 麻里が江美子を誘わなければ良いだけだろう」
「それが、あの時と同じなのです」
「あの時?」
「隆一さんとの別れの原因になった時です。二度と繰り返さないとは約束できないのです」

麻里は苦しげにそう言うと、隆一を見つめる。

「私も、自分の出来る限りのことはします」
「麻里……」
「隆一さん、理穂をよろしくお願いします。江美子さんとお幸せに暮らしてください」

麻里はそう言うと立ち上がり、深々と頭を下げる。そして白いコートを身に纏い、クリスマスソングの流れる青山通りへと姿を消して行った。
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桐 11/10(土) 09:29:42 No.20071110092942 削除
(何をとぼけているんだ)

隆一は皮肉っぽい気分になる。

(結婚している時は分からなかったが、これほど裏表がある女だったとは――。やはり俺の感覚は間違っていない。俺は麻里に裏切りを許せないから別れたのではない。麻里が人を裏切るような女だから別れたのだ)

「でも、折角のクリスマスなのに、私と食事なんて良いの?」
「イブはまだ10日以上先だ」
「まあ、その日は江美子さんと予定がありということね。ご馳走様」

麻里はくすくすと笑う。

「お前だって有川と過ごすのだろう」
「さあ、どうかしら。彼とはずっと会っていないから」
「そうなのか?」
「ええ、この前のK温泉以来会っていないわ。あの旅行だって本当に久しぶりなの。それまでも2年近く会っていなかったかしら」
「それなら、ずっと一人で暮らしているのか?」
「ええ」

それで寂しくなって頻繁にマンションに男を引き入れているのか。隆一はしげしげと麻里の顔を見る。

「どうしたの、私の顔に何かついているかしら?」
「いや」

隆一は首を振る。

食前酒と前菜が運ばれてくる。イタリアンとしては値段もかなりのものだが味は悪くない。しばらく世間話をしながら二人は食事を楽しむ。

いや、少なくとも隆一には楽しむ余裕はない。自分が江美子を陥れようとしていることなど素知らぬふうに、屈託なげに話す麻里が信じられない。

(麻里、いつからお前はそんな化け物のような女になった?)

聖母のような顔をして江美子を食い殺し、その後釜に座ろうとする。そんなことを隆一が許すと思っているのか。理穂を抱き込めばそれが可能だと思ったのか。

(有川とはもう切れている、と言いたいのもそういうことか? お前をずっと待っていた有川はどうなるんだ?)

隆一はたまらず麻里に切り出す。

「麻里」
「はい?」
「最近、江美子と会ったことがあるか?」
「えっ?」

フォークにパスタを巻き付けるのに夢中になっていた麻里は顔を上げ、怪訝そうな表情を見せる。

「いえ、K温泉以来会っていませんけど」
「本当か?」

隆一が念を押すと、麻里の顔が見る見る青ざめる。

「隆一さんはどこかで、私と江美子さんがいるのを見かけたのですか?」
「質問しているのは俺だ」
「まるで尋問ね」
「冗談を言っているんじゃない」

麻里はぐっと押し黙る。しばらく答えを待っていた隆一は沈黙したままの麻里に焦れて口を開く。

「渋谷のAというカウンターバーだ。そこで週に二回は江美子と会っているだろう」
「……」
「そこで男二人と待ち合わせ、四人でお前のマンションへ行く」

隆一の言葉を聞いた麻里は衝撃を受けたような表情になる。

(何をいまさら驚いている。自分がやっていることだろう)

隆一は麻里のわざとらしい演技に苛立つ。
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