管理人から

管理人

Author:管理人
管理人がおすすめするカテゴリに★印をつけました。



アダルトグッズのNLS








最新記事


カテゴリ

北原夏美 四十路 初裏無修正

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
道明 12/11(木) 18:45:23 No.20081211184523 削除
翌朝の電算室長席での一郎の様子がいつもと違うことを
美恵子は敏感に感じ取っていた

「室長、おはようございます」

「ああ・・おはよう」

「どうかされましたか?東京のシステム開発は難航しているのですか?」

「うん・・・それもあるんだけど・・・」
一郎が再び考え込む様子を見て、美恵子は一礼して部屋を出た


一郎は昨夜の知子との話を思い出していた

「あなた・・ごめんなさい。あなたに心配をかけたくなくて親睦旅行に行くということにしていたの」

「私に心配をかけたくない?」

「ええ、そうなの・・・実は私、学校の先生方とくに女性の先生方と人間関係が上手くいってないの・・それで気晴らしに中学の時の友達と旅行をしていたの・・・ちゃんと話しておけばよかったんだけど・・こんなこと、あなたに相談できないし」

「ふーん・・中学時代の友達と旅行?・・で、その・・女性の先生方と上手くいかない原因は何なの?」

「・・それは、蓬莱先生を私が庇ったから・・・あの先生にもいいところはあると」

「蓬莱先生って?あの変人教師と言われている先生かい?」

「うん・・確かに一般的な教師の仕事はいい加減だけど、保護者には人気があるし、地域の人たちとの揉め事なんか逆に上手く裁いてくれているの。私のクラスの保護者が怒鳴り込んできた時なんか、私を助けてくれたりして」

「そうかい・・・でも、大勢の先生方が同じ見方をしているんなら、そちらの方が一般的かもしれないよ。突っ張っていくのはストレスも溜まるし、職場で孤立する・・辛い道を選択したかもしれないなぁ」

「そうなの・・・職場で話ができる先生があまりいなくなってしまって」

「でも・・その蓬莱先生とばかり話をしたり、行動していると周りから変な目でみられているんじゃないか」

「??・・あなた、学校から何か言われたのね」

「うーん・・・それに蓬莱先生は離婚されたらしいじゃないか」

「そ、そんなことまで・・・あなたに」

「周りのことも考えろよ知子、正義感や親切心も仇になってしまうこともある。旅行のこともそうだ・・・・正直に話してくれるほうが、私は安心だしアドバイスできることもあるかもしれない」

「あなた・・本当に心配かけてごめんなさい」

一郎は知子の話に納得してはいない
親睦旅行の土産だといって帰ってきた妻、それが友達との旅行だった?
卒業の集合写真での蓬莱の仕草の違和感、そして、蓬莱の離婚・・妻との親しい関係?
この時まで、一郎は知子を愛しているし、疑ったりしたことはなかった
だが、胸の中では結婚以来初めて、妻に対して疑いの心が這い回わりだしていた
関連記事
道明 12/10(水) 19:23:02 No.20081210192302 削除
「どうしたの?あなた・・・なんかおかしい」
一郎は知子の裸体を観察し、匂いを嗅ぐ

「知子・・・横になって・・・」
知子を床に寝かすと両腕を万歳させる
一郎の目は小ぶりだが形のいい美乳を見つめている
(何も形跡はないが・・・・)

知子のパンティを剥がすと、鼻を女陰に当てる
何度も匂いを嗅ぐ
(うーん・・・)

「やっぱり・・・変、あなた、どうしたの?まるで私の身体を調べているみたい・・」

一郎は、知子の自慢の白い美脚を太腿から足先まで手で摩りながら探る
(無い・・何も無い、男の痕跡が・・・・)

「あぁぁ御免・・東京で神経を使って大変だったんだ、それで急に知子を抱きたくなったんだ・・・でも、先にお風呂に入ったほうがいいよな、本当に御免」

一郎は、バスに向かう華奢な白い女体を見送った
知子の肢体は二児を出産した女性特有の丸みを帯び、女ざかりの見本のようだ
夫でさえ見ているだけで勃起してしまう

(なにも怪しいところは見当たらないが・・・うん、知子がいつも持っているバッグか)

一郎は知子が今夜のお稽古に持っていったバッグを手に取り、そして開けようとした
・・・そして、思い直して止めた
一郎は、今まで一度も妻を疑ったことはない
・・・どうかしている・・阿部先生の話しを真に受けて・・知子の話しも聞かずに酷いことを
一郎は妻の知子を疑う自分の心を恥じた
関連記事
道明 12/9(火) 19:49:23 No.20081209194923 削除
一郎は自宅に戻った
今夜は知子がフラワーアレンジメントを習いに行く日
電気も灯さずに、応接の椅子に腰を掛け、一郎は今までの話を整理している
互いに相手を尊重し、共に働き、信頼し合っていた二人・・・それが崩れる

知子は去年、学校の親睦旅行だと言って夏・冬とも出かけた
それが嘘だなんて・・
そして今度も・・・確か山陰へとか
どうする一郎・・・どうするんだ一郎
それに、確か幸子先生があの変人先生もフラワーアレンジメントに行きだしたと言っていた・・・・その変人先生と仲が良くて、周りから疑われている?

一郎は時計を見た・・・・午後11時前
知子が帰宅する時刻だ

知子は帰宅すると、今夜は今日の作品を玄関に飾った
そして、いつものように居間に入る
一人で珈琲を飲んでそれから風呂を使う
いつもなら、夫の一郎はもう寝ている

「えっ!あなた起きてたの」

「疲れすぎて、寝付けないんだ・・・あれ、今夜はフレアースカート?」

「ええ・・・スラックスより涼しくて」

「そうなんだ・・・」
一郎は知子に近づくと優しく抱きしめ、右手で知子の髪を、左手でお尻を撫でる

「ああ、そうそう今日の出張帰りに阿部先生に出会ったよ」

「阿部先生に」

「ああ、それで阿部先生の学校は親睦旅行に韓国に行くらしいよ。海外だって」

「へぇ・・・韓国に」

「知子の学校は、確か今年は山陰への旅行だったね・・・」

「ええ、そうよ・・・あなたは仕事で大変なのに本当に御免なさいね」

知子は申し訳無さそうに、一郎の顔を見た
一郎は知子を力いっぱい抱きしめる・・・そして、耳元で問いかける

「いいんだよ、知子・・・・でも、その旅行いったい誰と行くのかなぁ?」

「えっ?」

「それに・・去年の夏と冬の親睦旅行も誰と行ったのかなぁ?知子」
知子の目が大きく見開き、一郎の腕の中で身体が固まっていく・・・

「待って、あなた・・学校の親睦旅行なんですよ・・・」

「親睦旅行ね?知子・・本当に、親睦旅行なのか?」
知子の顔が青ざめる

「うーん・・・あなた、お願い・・もう、12時だし先にお風呂に入るわ・・その後でちゃんとお話します。先にお風呂、ね、いいでしょ?」
知子は一郎に甘くねだった

「そうだな・・先にお風呂に入りたいか?・・・いいよ、・・だけどその前に」

「いや!なにをするの?」
一郎は、いきなりスカートを捲りだした

「やめてあなた!私、汗かいているんだから・・ねぇ、お風呂の後で・」
知子を無視して服を脱がしにかかる

「どうしたの・・あなた・・ねぇ・・・あなたっ!いやよ・・やめて」

一郎は、蛍光灯の真下に知子をパンティだけの裸体した
関連記事
道明 12/8(月) 00:20:36 No.20081208002036 削除
今、二人はデパートの屋上のビアガーデンで乾杯をしたところだ
会話は大学時代のスポーツ大会の思い出で盛り上がった

「ところで、阿部先生。学校の親睦旅行って色んなところに行かれるのですね」

「ええ、それは・・幹事の先生が旅行業者と相談して良いところを探すんですよ」

「で・・先生の学校はどちらに」

「ええ・・今年は韓国です」

「はぁ?韓国ですか?」

「一応、近いですが海外です・・・はははは」

「でも、みなさん行かれるんですか?小学校の先生は女性が多いですし・・」

「ちょっと都合がつかない先生も出てますね・・・ああ、そういえば知子先生も昨年から参加されてないようですね・・・ご家族のお世話かなんかで」

「はぁ・・・???」

「知子先生の学校の教頭が私の大学の先輩で、残念がっていましたよ・・・なにしろ、知子先生美人だから男性の先生方から人気があって、一郎さん気をつけていないと」

「へぇ・・教頭先生が阿部先生の先輩なんですか・・うーん、知子が参加しないのが残念と?・・・・・・他に何か、知子のことおっしゃってましたか?」

「うーん・・言っていいのかなぁ」

「なんですか言ってくださいよ、阿部先生」

「実は・・・去年から特定の先生と二人きりで話しをすることが多くなったと」

「・・・特定の先生と?」

「ええ・・あの変人の蓬莱先生となんだそうです・・・それが、二人で話を始めると他の先生を無視して会話を続けていると・・・放課後も一緒だって」

「そ、そうなんですか・・・・でも、それはなんか変ですね。知子は家ではそんなことは何も言いませんが・・・」

「それが、あまりにも二人でいることが多いみたいで・・・同僚の先生が仲を疑ったりしているらしい・・・・知子先生に限ってそんなことは無いと否定しときましたが・・」

「ええ!仲を疑う先生がいる?・・・そんな感じを周りに与えているんですか」

「・・らしいです。それともうひとつ・・その蓬莱先生が今年の5月に離婚されたようで、その原因が知子先生じゃないかという先生もいるらしくて」

「ええええっ!そ、そんなことに・・・」
一郎の顔から血の気が引いた

「一郎さん、知子先生がそんなことするはずはないと思いますが、でも、複数の同僚の先生からも聞きましたよ、知子先生は男性教師からは人気がある反面、女性教師とはコミュニケーションが上手くいっていないとも・・・とにかく一郎さん、人の噂は厄介です。早いうちに知子先生に注意されたほうが・・」

一郎は天を仰いだ・・・そして
4月に真一の妻、幸子先生から聞かされた親睦旅行での話が蘇ってきた
関連記事
道明 12/7(日) 11:11:13 No.20081207111113 削除
一郎は自宅に戻ると、知子を居間に呼んで転勤のことを告げる

「あなた、それで何時から東京へ」

「うん・・まずは明日から日帰りで出張して向こうでの準備をしてくる。会社は急いでいるらしいが、住居の手配なんかで8月からと思っているだけど」

「そうですか来月から・・・あなた、くれぐれも健康には気をつけてね」

「心配するな・・陸上競技で鍛えてある。大丈夫だ・・それより、知子は一人で大丈夫か?」

「大丈夫なもんですか・・・寂しい・・とても寂しい・」

「おい・・大阪と東京だ、何時でも帰ってこられるし・・・直ぐに片付けてみせるさ」

「ほんとよ、頑張ってね・・・・ああ、そうそう、また学校の親睦旅行が今月22日、23日の予定なの・・今年は、山陰の玉造温泉と出雲大社めぐり・・あなたが大変なときだから、キャンセルしようかな?」

「いや、行ったらいい・・・知子は知子の職場で頑張らないと、先生方の親睦を図る機会なんだから、キャンセルしなくていいよ。しっかりと温泉に浸かっておいで」
知子はにっこりと笑った

翌日、一郎は東京本社へ出張し、夕方には大阪駅に帰ってきた
その顔が厳しい
東京のスタッフの話を聞いただけだが、腹を括って取り組まないと大変なことになると一郎の本能が知らせていた・・・

「奇遇ですね、山本さん・・・・・ああ、ちょっとお顔がきつそうですね」
声をかけてきたのは阿部真一だった

「やぁ・・阿部先生、あなたも出張でしたか?ちょっと出張先のことを考えてしまって」

「それはそれは・・・どうです気分転換に、そこらで暑気払いにビールでも」

「いいですね。行きましょう」
この二人は共にスポーツマン・・・肌が合っている
関連記事
道明 12/6(土) 08:10:16 No.20081206081016 削除
電算室の慰労会の後、二人は洒落た喫茶に来ていた

一郎が美恵子へ語りだした・・・
本社で開発中のシステムは、会社機能を網羅する人事管理システムで、その成否が社運を左右しかねないほど巨費を投じているという
しかし、システム開発の進捗が思わしくなく、大阪での実績を踏まえ、その開発責任者として一郎が選ばれた
そして、応援に大阪の電算室からも人材を連れて行っても良いこととなり
その人を美恵子にしたいとの話だ・・・

「室長、なぜ私なんですか?私には情報処理の知識なんて・・・・」

「美恵ちゃん、室長はやめてよ。一郎でいいよ」

「でも、仕事の話ですから」

「ああ、わかったよ・・君を選んだのは、コンピュータのシステムエンジニアは向こうでも優秀な社員がいるだろう・・・たぶん、トラブルの原因は人間関係にあると私は思っているんだ。本社のプロジェクトだ、唯でさえシステム開発は神経が参ってしまうだろう。向こうに君のような存在の人がいたらと思ってね。だめかなぁ?」

「うーん・・それはちょっと無理があると思いますが・・」

「無理が?」

「はい、社長は室長の仕事を助ける腹心を一人連れてとのお考えだとしたら、それが情報処理の知識のない女性の私では・・非常識と思うのではないでしょうか」

「うーん・・でも、君が居てくれて本当に私は助かっているんだよ」

「そうおっしゃって頂けるのは嬉しいです。でも、男と女ですよ・・会社は室長と私の関係を疑い、まともに理解しないのではないでしょうか」

「そうかなぁ・・・・プロジェクト推進の真のエネルギーを会社は理解できないか・・」

美恵子は一郎の顔を見つめている
一郎はこんな人だ・・・昔も今も
仕事は素晴らしく出来るが、人の事となると鈍感だ・・特に男女のことは
でも、それが一郎の良いところでもあり強さである
決してへこたれる事のない一郎の本分なのだ

「室長。ここは・・大阪にも迷惑はかけられない。一人で東京で頑張ってみるということにして・・・・・」

「えー???」

美恵子は笑って続けた

「もしも・・もしもですよ。こんな私の顔でも見たいとのことでしたら、お知らせ頂いたら、何をおいても駆けつけますので・・・」

「美恵ちゃん・・、本当に君は私のことをよく理解して・・・・・有難う」
一郎も元気に笑った
関連記事
道明 12/5(金) 20:43:51 No.20081205204351 削除
翌日、一郎は何時になく緊張して出勤した
午前10時から取締役会が開かれる、その場でシステム開発の状況を報告することになっていたからだ
一郎たちが開発した「総合販売管理システム」は受注・発注・在庫引当がオンラインで検索・更新できるシステムで、同業他社との競争を勝ち抜くための戦略的なシステムだった・・・・そのテストランの完了報告なのだ

「室長・・・」
電算室を一郎が出ようとしたとき、美恵子が声をかけた

「どうしたの?藤崎さん・・・」
一郎は室員の前では美恵子を苗字で呼ぶ

美恵子は一郎に近づくと、一郎の肩に手を伸ばしてスーツに着いていた糸くずを摘んだ

「ああっ・・・有難う、藤崎さん」
一郎は優しい微笑みを美恵子に投げた・・そして、こちらを見ている室員の顔をひとり一人に目線を合わせた・・

「今度のシステムの完成は、みんなの英知と努力の結集の賜物です。みんなを代表してしっかりと役員の方々に報告してきます・・・みんな、有難う」


2時間後、一郎は意気揚々と電算室の扉を開けた
その姿に、室員全員が立ち上がった

「みんな・・聞いて。完成したシステムについて役員全員からお褒めを頂いた。そして、社長が大変感心され、私たちの苦労をねぎらいたいとおっしゃった。それで、今夜は社長のおごりで、みんなで慰労会をすることになった。もちろん社長も出席される」
よっしゃ!!・・・室員の誰ともなしに声が上がった

一郎は自室に入ると、美恵子を呼んだ
「美恵ちゃん・・今夜の慰労会の後で少し付き合ってくれないかなぁ」

「何かお話でも?」

「ああ・・詳しくはその時に話すが・・・実は、私が東京本社に異動になる」

「室長・・それはご栄転ですね」

「うん・・向こうで開発しているシステムの進捗が上手く行ってないらしい。それで私に指揮を執るようにとのことらしい」

「おめでとうございます・・・・室長」
美恵子はこころからお祝いを言った
関連記事
道明 12/4(木) 18:32:49 No.20081204183249 削除
その年も7月になった
一郎は相変わらず、システムの開発に没頭し、知子は学校に勤めながら、子育てと家事をこなす良妻賢母の見本のようであった

今夜は妻がフラワーアレンジメントを習いに行っている
妻は午後11時に帰宅、フラワーアレンジメントの作品を最近では珍しく玄関に飾りつけ、夫婦の寝室に入ってきたのは午前1時を回っていた

知子は、一郎に声をかけることなく自分のベッドに滑り込む・・・・

その日、一郎は開発中のシステムのテストランが成功し、気分が高ぶっていた

「知子・・・もう、寝たのか?」

「いいえ・・・」

一郎は妻のベッドに移動する
そして、妻のパジャマのボタンを外していく
小ぶりの乳房をいきなりしゃぶり始める・・・・
手を何時ものように、妻の女陰に這わす

(おや?今夜は濡れるのが早いな?)
陰核を嬲りだすと、妻はしがみついてくる

「知子・・私のものを舌と口で・・・」
この前、シックスナインで嫌、嫌させたのは相当前だ・・・・

一郎はベッドの縁に腰をつき、妻を足元に座らせて怒張を顔に近づける
今夜の妻は素直だ・・・
知子が口に含み始めると、乳房を揉みしだく

(あれ・・嫌がらない・・・・それに???)
一郎に快感が走る
知子の顎に手を添えると、口の奥へぐっと押し込んでいく
そして、一郎がゆっくりと怒張を引き抜いた

「うっ!・・・はぁ、はぁ・・」
その怒張は知子の唾の糸を幾重にも絡ませ天を突く

「知子、今夜はバックスタイルだ・・・いいだろ?」

「・・・ええ」
妻をベッドに上げ、四つん這いにさせる
自然と妻は、頭を下げ尻を高く上げた・・・・

(いやに、今夜は積極的だなぁ・・・・)
これまではクリニングスで女陰がべとべとになってからでも、したがらないポーズ

「あん・・」
妻は性交中に声は出さないが、バックスタイルの時はこのような声をたまにあげる・・

「・・知子はこのスタイルを嫌がるが、本当はいいんじゃないのか?」

「あぁぁぁん・・・」

知子はまだ逝くと言ったことが無い
しかし・・・鈍感な一郎も、今夜の妻は何時もの知子とは少し違うような気がした
そして、一郎自身も精力が漲り、ゆっくりと怒張を妻の女陰に打ち込み続ける
妻のものが絡んでくる・・・ああ、いい気持ちだ
関連記事
道明 12/3(水) 23:13:17 No.20081203231317 削除
一郎は妻となる知子とデートをするようになって、必然的に美恵子と疎遠になっていた
社内で一郎が結婚するとの噂がたった
上司が一郎に見合いを勧めたが、一郎が付き合っている女性がいるとのことでことわったためだ

こんな噂は美恵子にも届く
美恵子は勇気を振り絞って直接、一郎に尋ねた

「一郎さん、結婚されるんですか?」
美恵子の視線は一郎の目を真っ直ぐに見ていた

「う、うん・・・彼女は大学3年生だから、結婚はもっと先だけど・・・」

「大学生のお嬢さんですか?」

「う、うん・・・・・・・・」

「そうですか・・・」

一郎が切り返す
「美恵ちゃんも、好きな人がいるんだったね・・僕には誰だかわからなかったけど」

「えっ?」

「最初のデートのとき、そんなことを確か言ってたじゃないか」

「???・・・・・」

「僕は君を妻にしたいと思っていたんだ・・だから諦めきれずに、その後もデートに誘ってたんだ、残念だよ」

「私、私の好きな人は・・・・」

「いいんだ、もう・・・僕は結婚をすることになったんだ。君もその好きな人と幸せになれよ。じぁ・・・」

一郎の心に刹那さが走った・・・・親同士が勧めた、もうそれでいい
美恵子には好きな彼氏がいるんだと
そう自分に言い聞かせていた・・・

それから2年後、一郎は知子と結婚したのだ
関連記事
道明 12/2(火) 19:24:28 No.20081202192428 削除
一郎は、席に着くと赤鉛筆を片手に書類にチェックを入れていく・・・
美恵子は毎日必ずその姿を見届けると、一礼をして部屋を出て行く

一郎の精力的な仕事振りのエネルギー源は、間違いなく美恵子の存在だ

彼女にとっても一郎は・・・妻帯者となった今でも特別な存在であった
この会社に就職して1年が過ぎ、それでも業務に馴染めず落ち込んでいた頃
新入社員として配属されてきた男、高学歴それも一流の大学卒、スポーツマンで美男子
社内の女性社員が憧れる存在・・・・・そんな彼が彼女の家に電話をかけてきた

「藤、藤崎さんのお宅でしょうか?」

「はい、藤崎ですが・・・・」

「・・私、山、山本ですが・・・美恵子さん?」

「ええ・・・」

「今どうしてる?・・・もし良かったらドライブにでもいかない?」

「うーん・・」

「行こうよ、ドライブに・・・美恵ちゃん」

「・・・・・ええ・・じぁ」

この一郎との最初のデートを美恵子は今でも覚えている

季節は秋
紅葉が映える坂道を二人で歩いた
一郎は職場の上司のこと、同僚のこと、そして今取り組んでいる仕事のこと
意気揚々と語った・・・
情熱があり誠実で一直線・・・・そして女性には少し鈍感なところ
その背をみながら、美恵子は離れずに歩いた

時々、一郎が振り向き優しい眼差しで語りかける
・・・そして、美恵子が頷き微笑みを返す

一郎が言った
「これからも、美恵ちゃんを誘ってもいいかなぁ?」

「・・・・・うーん、私には・・・」

「えっ!もう?・・・・・そうなんだ・・」

この時、一郎22歳、美恵子19歳

関連記事
道明 12/1(月) 23:14:41 No.20081201231441 削除
一郎の職場の執務室・・電算室長の机には、何時も一輪の花が飾られている
かつて、一郎が妻にしたいと思っていた女性・・・藤崎美恵子が活けている
彼女は職場の男子社員からのプロポーズを断り続け、未だに独身でいる
妻の知子と同じ33歳になっていた

美恵子は、一度人事課に異動し、再び電算室に戻ってきた
就職当時より女性としての魅力を更に増した
周囲の社員への心配り、温かさ・・・
この殺伐としたコンピュータシステムの開発現場では、ときどき悪魔が顔を出す
いつの間にか喜怒哀楽の感情が薄れ、無気力な人間となってしまう社員もでている
・・・そんな職場にあってどの社員にも、人間らしさを失わせない、とても大切なものを振りまいてくれる女性となっていたのだ・・・まさに美恵子は天使だった

「おはよう・・・美恵ちゃん」

「はい・・室長、おはようございます」
朝一番のこの挨拶が・・・一郎を、今日も一日頑張るぞという気分にさせてくれる

「いつもながら、制服が似合っているね」

「有難うございます」

紺色のタイトスカートから同色のストッキングに包まれたしなやかな美脚が目に入る
髪はスポーティに紐で纏め、耳から襟足の肌の白さが際立っている
そこには誠実で清楚な女がいた

関連記事
道明 11/30(日) 16:01:08 No.20081130160108 削除
一郎はスナックをでると酔った足で自宅に向かっていた
酔った頭でふらふらと歩きながら、幸子の話を反復していた

(幸子さんは、ふざけて私を驚かしたかったんだ・・・知子に限ってそんなことが)

知子とのセックスはいたって淡白で、未だにあまり声をあげない
私の愛撫を待っているだけで、いわばマグロ状態だ
夫婦の会話に変化もないし、いつもどおりじゃないか

(もし、事実だとすると・・・幸子さんは転校して1年が経っているからその前の年度中の夏か冬の親睦旅行ということになるが・・・)

夏の親睦旅行は夏休みに入って直ぐ・・・確か道後温泉
うーん、その後何か妻に変化は・・・・・・
冬は北陸だったかな

妻に変化か・・・うーん

(事実だとしたら・・・・夏?冬?どちらの親睦旅行?・・・いやいやそんな馬鹿な、知子に限ってそんな・・・・ほんとに、幸子さん意地悪だなぁもう・・あー家に着いちゃった)

「おーい、知子・・・今、帰ったぞ」

「はーい、あなたお帰りなさい・・あら、お酒くさい」

にっこり微笑む知子
その笑顔を見て、一郎は何も変わりはないと思った
関連記事
道明 11/28(金) 21:13:15 No.20081128211315 削除
 ああ、この前の家族旅行での夜行列車内でのあの会話・・「凄いんだから」か・・

 「そんなにその旅行で、知子が羽目を外したんですか?」

 「ええ・・私たち宴会の後、二人でホテルのバーに行ったの。お酒は知子の方が私より何倍も強い。私は酔いつぶれていたんだけど・・知子は大学生二人に可愛いお姉さん・・なんて呼ばれちゃて・・・三人でダンスフロアーで踊っていたわ」
一郎が次第に真顔になっていくのを幸子は気づかない

 「それで・・」

 「気がついたら知子の姿が見えないので部屋に戻ったんだけど・・・部屋にもいないし、私先に蒲団に入っちゃた。でも内風呂からのシャワーの音で目が覚めて、時計を見たら2時だった・・・ふーん」

 「踊っていっぱい汗かいたんだ・・」
 一郎の口元は強張ってしまった

 「そうかしらねぇ・・・朝、起きたらまた知子がいないの・・で、風呂かと思って女風呂へ行く途中に・・・へへへ、私見ちゃった。あの変人教師と混浴風呂から出てくるのを。あの変人、しっかりと知子の肩を抱いていたわ。暖簾をくぐる時に浴衣の上から知子のお尻を撫でたのよ・・・いやらしい、ほんとにスケベ」
 一郎は唾を飲み込んだ
 
 「へへ・・変人先生と?」

 「まだ他の先生方は気がついていないわね・・・だって、美人で可愛い素直な先生の評判を知子は独り占めだもの、私も親友だから誰にも言わない・・・でも、あなたにはね」
 幸子の手が一郎の太腿から股間に流れ、強く男根を掴む

 「うっ!」

 「しっかりしなさい、旦那様・・・おっと、お迎えだわ、それじゃお先に」

 幸子が帰った後、一郎はオンザロックを口に運びながら目を瞑っている
写真で見たあの変人教師が知子を抱きしめ、いやがる妻を犯している光景が何度と無く脳裏に浮んでいた
関連記事
道明 11/27(木) 19:22:20 No.20081127192220 削除
一郎は36歳の若さで電算室長となっていた
同じ大学の先輩に役員がいてその贔屓もあり、社内でもトップクラスの昇進である
人事異動に伴う歓送迎会の流れで、一郎は一人でスナック街のドアを開けた

「あら、山本さん・・山本一郎さん、お一人?」

「はぁ・・・」
一郎が声のする方を見ると、阿部幸子がカウンターにいた

「さぁ、ここに、ここにいらして」

「やぁ、阿部先生」

「ええ、いいところでお会いしましたわ・・・学校の歓送迎会の流れで今、一人になってしまったところでしたの」

「そうですか、私の職場も今夜、歓送迎会で・・あっ、先生だいぶ酔ってらっしゃるようですね」
幸子は身体と首をしきりに動かしていた

「はぁーい・・一郎さん、ここはちょっと辛くなってきました・」

「はいはい・・マスター、あそこに移るよ」
一郎は幸子を抱えながらボックス席に移動した

幸子は大学のバドミントン部で鍛えたスレンダーな筋肉質の肢体をしていた
妻の知子と同じ33歳だが、色は浅黒く身長も170センチと背が高く、勝気な性格の持ち主である

「幸子先生と二人で飲むなんて、初めてですね・・ご主人がお迎えに来るんでしょう。知子が幸子先生の旦那さんは私と違って優しんだから・・・と、よく聞かされましたよ」

「ははは・・そのとおり・・今、家を出たとするとあと40分かな?」

幸子の目が意地悪そうな目に変わり、そっと一郎の太腿に手を置いた

「一郎さん・・あなた、お強いんでしょう・・あちらのほう」

「ええー・・どうしたんですか、幸子先生?」

 「うーん・・知子は学校では清楚で可愛い真面目な先生をやっているでしょう。でも、本当はねアレが好き・・ふふふ・・・それは、旦那さんの教え込みかなって」

 一郎は今夜それほど飲んでいない
 (幸子さんはおかしなことを言うなぁ・・)

 一郎の知らない知子の意外な一面が聞けるかとカマをかけた

 「えー・・先生には敵わないなぁ・・・・で、どこで、分かりました?」

 「ふふん・・そうね、一緒だった前の学校での職員旅行でね」
 
関連記事
道明 11/25(火) 21:49:55 No.20081125214955 削除
家族旅行を楽しんだ春休みは終わり、学校は新学期を迎えていた

ある夜、一郎は自室で一人パソコンを使い仕事の整理をしたあと居間を覗くと
机の上には、この3月の学期末に撮影したものだろう
無造作に卒業写真が置いてあった
妻の学校の先生方が学年別に全員並んでいる

「ああそうだ・・・話にでていた変人先生とやらはどの人かな」

写真中央に生真面目そうな校長、その横に眼鏡の教頭・・・・妻はライトブルーのミニのスーツで右端にいる
ショートカットのヘアーで斜めに足を揃え微笑んでいる
夫の贔屓目を差引いても、知子は素敵だった

(うん、緊張して表情が少し硬いかな・・)

スカートから流れる足のラインにしばらく見とれていた
妻の斜め2列目にデブで少し禿げていて普段着の服装で立っている45歳位の男がいた
いかにも勉強嫌いの多趣味男・・しかし、人懐っこい感じの男

(この先生だろうな?・・なるほど、いかにも先生らくしない)
そう思った

(あっ・・)
何やら変人先生の左手が、妻の髪かうなじに触れているように見える

(まさか・・な)

一郎は写真を置き、寝室に入ると妻は寝息を立てている
その寝顔を見ていると、先ほどの写真のしなやかな美脚に触れたくなった
そっと蒲団をずらすと華奢な素足にキスを始めた

それにしても妻の知子は、今でもまるで子どものようだ
天真爛漫
ストレスだらけの一郎を癒してくれる

キスが太腿あたりに差し掛かった
妻が気づいた
一郎はもう止まらない、パンティを脱がせ女陰を舐めあげる

妻は声をあげない
しばらく舐め続けると、いきなり指を挿入する
そして、もう一方の手で乳房を揉み立てる・・・一郎のワンパターンだ

「痛い・・・あなた、痛い・・」

「痛いか?ごめん・・・・」
妻の額にやさしくキスをする

先ほど見た写真の禿げた変人教師が
妻のうなじに手を延ばし背後から抱きつく光景が浮ぶ

一郎は妻とのセックスの中で、しばしばこのような想像を自分に挿入する
女陰に挿入した指の動きが激しくなる

「痛い・・痛いわ・・・あなた」

妻の口に吸い付く・・・まるで、女学生を襲っている感覚に襲われる
この声で、一郎の怒張は硬く、更に硬くなった・・・・行くぞ、知子

「うっ・・ああぁぁぁん、あなた・・痛い、痛いの・・」
一郎には妻を気遣う余裕はもうない・・・
関連記事
道明 11/21(金) 20:47:34 No.20081121204734 削除
阿部家族との旅の夜は、妻は少し強引な私に素直に合せてくれる
子ども達が寝静まると
私は妻の蒲団にもぐりこむ
妻は疲れたのか、寝息を立てている
そっと浴衣の襟から手を滑り込ませる
温泉に浸かった肌はつるつると滑らかで、撫でているだけで勃起してしまう
乳を揉みながら裾をはだけ、大腿を擦る

「あっ!あなた・・」

「よく寝ていたね」
妻への愛撫に私の舌が加わる

「あっ・・あっ・・あなた、子ども達が・・」
お構い無しに、妻の手に私の怒張を握らせる

「ああ・・・・あん・・あっ・・・うっ、うむ・・」
今度はディープキスを開始する
片手は乳房・・もう一方は大腿から女陰に滑らせる
妻の浴衣は腰の部分を帯で締められているものの、胸は肌蹴け
熟れた白い太腿はむき出しとなっている
十分に妻の甘い唾液と舌を堪能した私は、白い布切れを一気に剥がすと
淡い繊毛が目に飛び込んできた

「あなた・・まって・・・ここでは、子ども達に・・」

「そうだなぁ」
妻を抱きかかえながら風呂場へ移動する・・その間も剥き出しの乳房を揉み続ける

妻を浴槽に手をつかせると浴衣の裾を捲り上げる
白くて大きいお尻が目の前に現れる
2本の指を口に含み唾を塗すと・・・女陰に沿って陰核を探る
片方の手は乳房を責める

(ああ・・堪らん)
私の怒張は硬く、硬く・・・早くも妻の中に入りたがる

「うっ・・あん、あん・・うん」
妻は声を抑えている

「知子・・・行くよ」

「うん・・あぁ・・」
私はバックから攻め立てる
そう・・エロビデオに出てくるようなシチュエーションだ
両の手で強く乳房を握り締める

「痛い・・痛いわ・・あなた」
壁に備えてある鏡に、声を堪える妻の横顔が映る
何といい顔なんだ・・・・知子
関連記事
道明 11/19(水) 19:58:18 No.20081119195818 削除
私と知子との出会いは・・・
就職して1年が過ぎた頃、母がお見合いをしきりに勧めてきた

(どうやら母は、私が職場の女の子に夢中になっていたことに気づいていたらしい)

そして有名女子大学に在学中のお嬢さんの写真を見せ
「・・・どう、いい娘さんでしょう?会うだけでもいいから、ねぇ一郎、一度・・」

その写真は二十歳の成人式の時に撮影したものだろう
着物姿で優しいまなざしで私を見ていた
今から思うと、私は何といい加減で不誠実な男だったのか・・・・
付き合っている女性がいながら、写真の女性にも興味を抱いた

「相手のご両親はお前をよく知っているし、お嬢さんもその気らしい。とにかく会っておいで」と母から何度も急かされた

私は、とうとう「どうせ断ればいいんだから」と軽い気持ちで会いに行った
当のお嬢さんは、そのような話とはしらず普段着のまま、家の人に促されてしぶしぶデートという感じであった

私は「どうも話がおかしい。母に一杯食わされた」と思ったが
初対面の第1心象がとても新鮮であった
白い服を着ていた
清楚な雰囲気、可愛くてスタイルもいい、優しそうな瞳・・そして、何よりも女子大3年生の自由奔放な性格
それに・・・私に関心を示さない
このことが私のプライド?に火を点けた・・・・・・ああ、私は何と単純か

その後は、母同士が話をどんどん進め、彼女が小学校教師となって就職1年目の秋に結婚・・・それが、妻の知子である

これで良かったのかどうか、親が勧める縁談ということや学歴や釣り合いとかいう世間体を優先して、周囲に流され、妻となる女性を決めてしまったことになる
私は、職場でプロポーズ直前まで思い込んでいた女性が居たにもかかわらず、彼女の気持ちを問うことも無く、自分勝手に感情を抑え込み自分自身だけ気持ちを切り替えた・・・しかし、もう一人の女性、好きだった職場の女性・・彼女はその時既に私を運命の人と決めていたようだ・・
関連記事
道明 11/19(水) 19:29:02 No.20081119192902 削除
赤倉スキー場では、スキー教室に入り、下手な私が先頭、2番手が私の次女、3番手が長女と続き、次に阿部3姉妹、妻、阿部夫婦の順でボーゲン、斜滑降となだらかな斜面を滑り降りてくる
子どもたちの目の輝き、下手な私も仕事のことを忘れて心が躍った

春のゲレンデに雪が降り注ぐ夜景を見ながら子どもを交えて2家族でご馳走をいただくのは愉快で楽しい

子ども達は相互に歌を歌い、物まねをしたりして場を盛り上げ
私の頭の中のぐつぐつとした重石も徐々に消えていくような気にしてくれる


「ねぇ、知子。私はあまり教師には向いていないような気がするの。どうも子どもが好きになれないの。親の相手をするのも疲れるし・・」

「そうなんや、私なんか新1年生のクラスの子がママ、ママと言って抱きついてきて、離れないの。ほんとに可愛いくてたまらないわ」

「やれやれ、知子はそうなんや。ところであの変人教師の噂は私の学校でも有名よ。同学年の先生の送別会の席で、これでお別れですねと頭からビールをかけたんですってね」

「そうそう、児童の成績は他の先生まかせ。自分はコンテストに夢中でしょ。怒るわよね。でも父兄には凄く人気があるものだから困るわよね」

「まったく・・そうそう、あの先生フラワーアレンジメントに通っていると聞いたけど。そう言えば知子も習っているんですって・・・」

「ええ・・・自分なりにアレンジして完成したものを玄関に飾るの、楽しいわ」

妻は、週に1度フラワーアレンジメントに行く
学校が終わると一旦家に戻り、食事をとらずに11時頃帰宅し、その日の作品を玄関に飾る
最初の頃は、私に「どう、いいでしょう、これ見て」と声を掛けていたが、私が反応しないので、この頃は、飾ることはせず空き部屋に置くことが多くなっていた

  (やれやれ・・話は尽きぬか・・・)

関連記事
道明 11/18(火) 19:02:43 No.20081118190243 削除
 赤倉へ向かう寝台特急の窓からの眺めは、遠くの山肌の雪が次第に深くなり、田畑にも雪が降り注ぐ、そして、車窓の外一面が真っ白になっていった

妻の知子は、友人夫婦とワインを飲みながら談笑していた
私は一人、缶ビールを開けたまま窓の外を眺めてる

「山本先生の学校は、今年も交通安全コンテストで優勝して、全国大会へ出場するんでしょう?」

「そうなのよ。ことしも6年生の優秀な生徒を選抜して、熱心にこればかりやっている変人先生がいるからだけど。良いのか悪いのか、ほかの先生もよくやるよって感じでね」

私は山本一郎、妻の名は知子

妻と談笑しているのは、妻の勤めている学校から昨春異動した阿部幸子、夫も教師で真一という
阿部夫婦は職場結婚、妻同士が同期の同僚だったことから、毎年1度、家族旅行をしていた
今回は双方の子ども達が「スキーをしたい」というので信州への夜行列車で、北陸回りの赤倉への旅行である
  
「あなた、前の学校での職員旅行でね・・山本先生はお酒が強いし、凄いんだからびっくりしちゃた・・・私なんかとてもとてもあんなふうには・・」

「ええ?山本先生はやさしくて、可愛い先生だと教師仲間でも評判なんだよ・・何が一体凄いんだ?」

私が談笑する3人に振り向くと、幸子さんの目と会い彼女は話題を変えた

真一は体育系大学を卒業して小学校教諭になって、絵に描いたような良き夫、良き父で、いつもの人柄のよさそうな屈託の無い笑顔でいた

妻はというと、笑顔で聞き流すといった感じであった

私は何時も、この学校関係の話題には着いていけない・・・
「眠たくなったので、ちょっと先に寝台に戻ります・・後は宜しく」
私は、3人から離れて先に寝台へ戻った

(幸子さん・・おかしな事を言っていたなぁ)
妻は、炊事、洗濯など家事一切と子育てをしながら教師を続けている
学期末になると成績をつけることで多忙になり、新婚当時から夜の営みは少なく、私が求めても中々応じてくれなくて、よく不貞寝をしたのを覚えている
お酒を飲むことも稀で、私と酌み交わした記憶も無い
それが「凄いんだから」とは・・・・

その時は、職員旅行で羽目を外した程度に思っていた
関連記事
「卒業」については以上で掲載が止まっています。
しかし、この後に「卒業後」という作品があります。
これが70話以上になる話であり、あまりにも長くなるため
話がずっと続くのは申し訳ないようにも思いますので、
しばらく別の作品を掲載した後に「卒業後」を掲載したいと思います。

※この「卒業」は「因果」という作者自身も救いようの無い話と言っている作品をリテイクしたものです。
当時リアルタイムで読んでいたのですが、よくわからないままだったので
「卒業」「卒業後」と今一度自分なりに整理して読み直そうと思っています。

このサイトの方針としては、基本的に管理人が気に入ったサイト(「妻物語」など)の過去ログの中に
埋もれてしまった未整理の作品を発掘するというスタンスを持っています。
(管理人自身も発掘した未読のものは掲載の際に読んでいます)
そういうこともあり現在連載中の作品については
本家である掲載元のサイトですぐに見られるので掲載はしていない状況です。
(実際に現在連載中で期待している作品もありますが、それについては掲載はしません)
そのような状況の中、過去ログの中には予想以上に「寝取らせ」の要素が強い作品しか残っていないことに直面しています。
このサイトのファンの期待(私自身も同じ気持ちですが)に応えて、
「寝取らせ」ではなく「復讐」「再構築」系の話を掲載したいところでありますが
発掘作業の一環として「寝取らせ」的な話も過去ログから淡々と掲載していきたいと思いますのでご了承いただければ幸いです。

※この記事及びこの記事に投稿されたコメントは一定期間後には削除いたします。
関連記事

卒業 24

BJ 8/17(金) 13:27:11 No.20070817132711 削除

 夏目漱石に『門』という小説があります。
 重い過去に結び付けられ、閉じられた生活を送る夫婦を描いたあの作品を、私は共感と悲哀の念をこめて思い返します。
 閉じられた生活―――それはこの一年間の私たちの生活でもあったのです。
 そんな生活に粛々といそしんでいるような妻を、時にもどかしく思ったことも事実でした。
 もっと自由に、広い世界で生きてくれてもいいのに。
 そう思う私こそ、息苦しくなっていたのかもしれません。
 この世に二人きりのような、濃密な妻との暮らしに。
 そんな私たちの生活には、いつだって陰がありました。
 それは忍び、這いよってくるような一年前の記憶。
 妻はその記憶を恐れ、私も恐れ―――
 しかし、その一方で私は焦がれてもいたのでしょう。
 あの灼けつくような瞬間に。


「くぅ・・・・うぁ・・・っ」
 赤嶺の舌が秘口に入り込み、花びらの奥の膣襞までも舐めあげる度に、妻は身をよじり、熱い息を噴きこぼします。茹だったような火照りに汗ばんだ肌が光り、蹂躙の度に足指の先がくいくいと折り曲げられます。
 妻は長方形の卓の上に寝かされていました。両手両足をそれぞれ卓の手足に結わえ付けられ、身動きすることすら容易にならない格好で妻は固定され、赤嶺の舌の玩弄に晒されていました。

 赤嶺はそんなふうに妻を卓上に縛り付けた後で、まずは冷蔵庫から冷えた日本酒を取り出し、無残な妻の寝姿を眺めやりながら、一杯やりはじめたのです。
 その姿は征服した領土を宮城から見下ろす支配者の姿に似ていました。
 支配―――

「さっきから暴れどおしで瑞希も疲れただろう」
 ふんわりと笑いながら赤嶺は言って、指で妻の繊毛をかき分け、くつろげました。目隠しの上の眉間に皺が寄り、乳房が波立つのが見えました。
「これで舌を潤すといい」
 そう言って―――
 赤嶺は妻の下の口につっと冷酒を注ぎました。
「ひっ!」と悲鳴を上げて、妻は腰を引こうとしました。もちろんその動きは成功しませんでした。
 杯にされた妻の女園を、透明な酒が満たしてゆきました。
 かつて織田信長が、討ち取った敵将の頭蓋を杯にしたというその行為よりも、妻にとって、そして私にとって、赤嶺の行為は蹂躙と呼ぶにふさわしいものでした。
 そして今、赤嶺の赤黒い舌は酒盃を綺麗に舐めとっています。美麗な縁取りも、なめらかな杯の底も、何もかもを。
 しかし、赤嶺はいつまでも酒盃を干すことは出来ません。杯の底には新たな潤いが後から後から生まれ、赤嶺の舌を愉しませることをやめないのです。
 ぴちゃぴちゃ、と―――
 赤黒い舌が、そして妻の秘部が、卑猥な音を辺りに響かせていました。

 これが私の希んだことか。
 これが私の渇望した情景なのか。
 濁り、灼熱した頭蓋の奥で、ただひとつたしかな事実は、私が妻との静かな生活の中に、赤嶺という名の男を呼び込んでしまったことだけでした。
 自ら、門を開いて―――

 しかし、その赤嶺という男は、到底私の手の範疇に留まるような男ではありませんでした。
 この世が支配するものとされるもので分けられるとすれば、赤嶺は確実に前者なのです。 

 その支配者―――赤嶺がようやく妻の紐を解きました。
 先だってからの連続的な刺激と、膣の奥から吸収されたアルコールで妻の肌はいよいよ紅潮しています。
 危ういくらいに。
 紐を解かれた後も、妻は卓から身を起こすことも出来ないほどに消耗していました。ぐったりと横たわったまま、開かされた足も閉じることの出来ないほど。
 開いたままの妻の陰部から雫がねっとりと垂れ落ち、卓の上を濡らしていました。 
 先ほどまで紅い花のように思えたその部分は、拷問めいた長い愛撫に充血し、腫れぼったくなっています。
 散花―――
 そんな言葉を、私は思い出しました。
「仕置きは終わりだ。辛かっただろう。でも、もうこれで素直になれるんじゃないか」
 赤嶺は猫なで声で言いますが、妻は放心したように横たわったまま、ぴくりとも反応しませんでした。
「腰が抜けてしまったようだな」
 苦笑しながら赤嶺は言い、すっと妻の腕を掴んで、畳の上に引き下ろしました。
 ずるり、と音を立てるように、妻の肢体が畳の上に崩れ落ちました。
 赤嶺はそんな妻を四つん這いの格好に這わせました。
 目隠しされた妻の顔は、私の正面を向いています。
 一年前と同じように。
 もはや意識が曖昧模糊としている妻に、そのことを思い出す余裕はなかったに違いありません。しかし、私は赤嶺の意図を感じました。
 ぞわりとするような冷気が総身を走りぬけ、汗が滴りました。
「いい格好だ」
 妻ではなく、私を見ながら―――赤嶺は言い、妻の双臀のあわいから秘園をぽんと叩きました。
「あうっ!」
 限界に近づいて意識を喪失してしまったような妻が、高く悲鳴を上げて、色白の臀部を震わせました。その躯の反応は「仕置き」を受ける前よりもずっと鋭敏で、峻烈で・・・、意識を失ってゆくのとは逆に、躯のほうはいよいよ研ぎ澄まされ、牝に近づいていくようで―――

 ぞっ、としました。

 赤嶺は自身の浴衣の帯を解き始めました。
 ぱさり、と帯紐が、続いて浴衣が落ちて、頑強な赤嶺の裸体が現れます。
 赤嶺のものは天を突くがごとく、高くそびえたっていました。
 妻の躯に、
 私の心に、
 愉悦を、
 引導を、
 破壊を、
 混沌をもたらす肉の凶器。

 私の意識は混線したラジオのように乱れ、ざぁざぁと不穏な音を立てていました。
 過去が、未来が、幻影のように切れ切れに私の現在に入り込み、そのすべては赤嶺の切っ先の先端に集中していくようでした。
 どす黒いその部分に。  

「今度は抑えるなよ」

 赤嶺の囁きが聞こえます。

「思うがままに愉しめ」

 思うがままに―――
 それは―――お前の―――


 赤嶺が腰を落として、妻に近づきます。
 くぐもった声が、妻の喉から漏れました。
 おそらくは意味のない言葉、だったのでしょう。


 日常を守ろうとしたもの。
 日常を壊そうとするもの。
 私に関わる二つの存在が、今、眼前で、一つに繋がろうとしていました。


 ひゅう、ひゅう、と。
 私の喉から、先程の妻のような息がかすれ響いています。


 赤嶺の手が、妻の細腰に伸びました。
関連記事

卒業 23

BJ 8/14(火) 19:34:46 No.20070814193446 削除

 玩弄―――
 としかいいようのない動きで、赤嶺の手指は柔弱な妻のおんなを責めつづけます。
 その手指は妻の秘奥から溶け出した流露で、ぬれぬれと光っていました。
 鼻頭をうっすらと染めた顔を小刻みに振りながら、妻は身悶えを繰り返しています。
 薄布で隠された瞳は、今、その瞼に何を見ているのか。
 いつだって私の真実を揺さぶらずにおかなかったあの澄んだ瞳は―――

 赤嶺の膝に乗せ上げられた妻の裸身が、ひどく覚束ない動きでうわずり始めました。
「うっ、うっ・・・・・」
 断続的に洩れ聞こえる苦しげな微吟が、次第に大きく熱っぽくなっていくのが分かります。赤嶺の手指が蛇の舌のような陰湿さで妻の秘口を撫でまわす度に、細い腰がびくりと跳ね、形の良い椀型の乳房が重たげに揺れました。
 肉芽を弄んでいた赤嶺の掌がその乳房をわしづかみました。
「熱いな。乳房がかたく張っている。動悸もすごく早い」
 黒髪の流れ落ちた妻の耳朶に囁きかける赤嶺。その手に囚われた胸乳は、ぶあつい掌でつよく握られた白餅のように、歪み、たわめられていました。
 乳房を覆う手の人差し指が伸びて、もう一方の隆起の頂点に触れました。
「ん――――っ」
「乳首もこりこりの勃ちんぼ状態だ」
 赤嶺は唇の端を下品に歪めながら、世にも娯しそうな声で囁きました。
「いやらしい―――躯だ」
「ううっ」
 啜り上げるような短い泣き声をあげて、妻の顔が天井を向きました。露わになった白い喉首が、何かを飲み込んだときのようにくっと動くのが見えました。
「今さら羞ずかしがらなくても良い。瑞希の躯がそれだけ女として優秀だというだけだ」
 あからさまにからかう口調で言って、赤嶺は掴んだ乳房をゆるりと揉み上げました。
「感じやすい―――いい躯だ」
 今度は私の目を見ながら―――
 赤嶺は言いました。
 私に答える言葉などないと知りながら、この男は。
 この男は。

 赤嶺の太い腕に抱きしめられた妻の白裸は、薄闇に溶け出してしまいそうなほど、輪郭がぼんやりと霞んでいて―――
 ひどく、不安定で―――
 見ているこちらの心まで、頼りなく不安にさせるほどに。
 ―――いや、本当に私を不安にさせるのは、その白皙の裸身を我が物のように抱いている男の目です。
 不敵で、自信に満ちていて、それでいて底の見えない、
 闇のような目―――

「もう―――許して」

 不意に空気を切り裂くような哀訴の声がしました。
「これ以上はもう―――もう」
 うわごとのように、悲鳴のように、妻は叫びながら、激しく頸を振りたくりました。ほつれた黒髪がばらばらと乱れ、なびく様が、凄艶な舞いのように見えました。
「お願いします―――お願いです」
 普段の落ち着いた口調からは想像もつかないような切迫した響きで、妻は、お願い、お願い、と繰り返します。その様はあまりにも哀婉で、悲痛で、見つめる私のほうも絶叫したくなるほどで―――
 けれども、私はかすれ声ひとつあげることが出来なくて。
「―――近いんだね?」
 代わりに妻の朱に染まった耳朶に囁いたのは、赤嶺でした。
 妻は答えませんでした。答える代わりに、哀訴の声を繰り返すだけでした。
「我慢しなくてもいい。思い切りいけばいい。思い切り声をあげて、悦びに身を委ねればいい。大丈夫、瑞希の羞ずかしい姿を見てを笑うものはいないよ。ここには二人だけだ」
 軽やかに歌うように言った後で、赤嶺はにやっと笑い、口に出したばかりの自らの言葉と矛盾するようなことを平然と続けました。
「そのほうが―――壁もよろこぶ」
 いましめられた両手を揺さぶって暴れていた妻の肢体の動きが、止まりました。
「瑞希はそのために来たのだろ?」
 先程まで徹底的に私を無視しながら、都合のいいときにだけ、私の存在を妻を縛るダシに使う赤嶺に、そのとき、私は燃えるような憎悪を感じました。
 赤嶺の言葉は、両手のいましめよりも、目隠しよりも、妻の力を削ぎ、殺してしまいました。放心したように妻の総身からがっくりと力が抜けるのを見て、私はやりきれなさでほとんど涙ぐみそうになりました。
 聞かなくていい。そんな男の言葉など。
 考えなくていい。私のことなど。
 痛切にそう思う気持ちは真実なのに、彼女を今の運命に追い落としたのは、他の誰でもなく、この私自身であるわけで―――

 何だかひどく悲しくなりました。

 言葉で妻にもう一重の呪縛をかける前も後も、赤嶺の手指だけは妻の縛られた裸身を弄るのをやめませんでした。秘園も、そこに咲く花びらも、白く盛り上がった乳房も、ぴんと張りつめた乳首も、敏感な腋下も、太腿の付け根のくすぐったい部分も―――赤嶺は妻の躯のすべてを知悉しているような迷いのない手つきで、妻の奥深くに秘められたものを煽りたて、炙り出していきます。
「あっ、あっ、あっ・・・・・」
 火を点けられた妻の口から洩れる声の調子が高くなりました。色づいた胸が波立ち、苦しげに喘いでいるのが見えます。
「我慢するな。そうすれば苦しいだけだ。抑えないで声をあげろ。壁を愉しませてやれ」
 冷酷な声で、赤嶺は命じます。

 妻の背筋が反りかえり、鼻腔から抜けるような吟声に啜り泣きの調子が混じりました。
 紅潮した頬、額には玉の汗が浮かんでいます。
 妻が身を震わせた瞬間に、その汗がぽつり、と落ちる様が、スローモーションのように私の目に映り―――


 ああ――――
 私は胸の内で、長く引きずるような叫びをあげました。


 ワルツを奏でるように赤嶺の手指が白と紅の鍵盤を弾きます。


 妻の背がぐっと伸び上がるのが見えます。


 その顔が哀しいほど、きつく歪みました。

 
「―――――――っ」


 妻の喉首が引き攣れるように動き、
 ぱあっ、とその肢体に微光がかがやきました。


 高みに達した妻の肢体が軟体動物のようにぐにゃりと折れ、崩れ落ちるように天上から地上へ―――赤嶺の身体の上へ墜落しました。
 ひゅう、ひゅう、と。
 妻の喉から、苦しそうな吐息が洩れています。
 そんな妻の様子を赤嶺は冷然と眺めていましたが、不意にその手が子供を撫でるように、もたれかかる妻の頭にそっと触れました。
「堪えたね。声を抑えるなと言ったのに。馬鹿だな」
 不思議なほど優しい口調で呟いた後、しかしその口調と相反するようなことを赤嶺は言いました。
「―――お仕置きが必要だな」
関連記事

卒業 22

BJ 8/13(月) 22:30:23 No.20070813223023 削除

 艶々とピンク色に光る妻の身体の中心に押し込まれた赤嶺の左右の人差し指は、これ以上ないほど肉の輪をくつろげ、その微細な中の構造まで剥き出しにさせています。
 幻燈に照らされて濃密に息づいたその紅い花が、瞳に灼きつくようで―――

 くらくらと私は眩暈を感じました。

「あう・・・・うっ・・・・」
 妻はしばらくの間、顔を左右に振りたくって羞恥刑から逃れようとしていましたが、そのうち、がっくりと頸を折って、赤嶺の肩に頭を預けました。
 花弁の奥まで剥き出しにされた花の紅さが広がっていくように、妻の色白の総身は仄かに色づき、特に隠された目元から頬にかけて、きわどく紅潮していました。
「瑞希のここは綺麗な色をしている。形も崩れていない。いいオ**コだよ」
 差し込んだ指でその部分をぴんぴんと広げながら、赤嶺は妻に卑語を囁きかけます。
「言わないで・・・・」
 消え入りそうな声で妻は言い、朱に染まった顔を赤嶺の肩にぐいぐいと押し付けて、隠そうとしました。捻じ曲がった頸や横顔に、乱れた黒髪が幾筋も落ちていました。
「あいにく美しいと思ったものには賞賛を惜しまないたちでね。それにしても瑞希のここは熱いな。指が火傷しそうだ」
 赤嶺のからかいに、妻の喉から短い悲鳴に似た声がしました。もう一度、じたばたとあらがおうとした妻の脚を自らの脚と腕でがっちり押さえつつ、赤嶺は柔肉に差し込んだ指の一方を外して秘口の縁取りをつっとなぞります。妻の太腿が攣ったようにぴくっとふるえました。敏感な反応に、赤嶺はくっと笑いながら、肉の閉じ目の上部に位置する薄桃の突起に指を這わせ、かるく摘み上げました。
「あうっ」
 美しくくびれた細腰から体格のわりに豊かな臀にかけて、妻の肢体に痺れが走ったのが見えました。
「いい反応だ」
 低いのによく響く声で赤嶺は言い、摘まんだ肉芽を抓るように今度はきつく指に力をこめました。
「んんんっ!」
 先程よりも強く妻の総身に雷撃が走り、耐え切れずに大きな声があふれ出ました。
「痛いのか? それとも気持ちがいいのかな? 瑞希の反応を見ていると、どちらにも取れるね」
「・・・・痛い・・・・」
 妻の息はすでに荒く、ようやく絞り出したような声は切れ切れでした。かすかに汗ばんだ胸元が大きく隆起しているのが見えます。
「それは悪いことをした」
 冗談めかして赤嶺は言い、緋色に染まった突起を親指と人差し指の腹で優しくさすりだしました。同時に柔肉に押し込んだ指を微妙に動かします。
「くう・・・・・っ」
 妻の鼻腔から息が吹き零れました。
 女性の快楽の壷を知り尽くした赤嶺の手先―――
 一定のリズムを保って馬を御していくような、憎らしいほど悠然としたその手指の動きに、妻の顔は先程までとは違う苦悶に顰められていきます。寄せられた眉根のあわいが時折、ひくひくと切なげに動きます。
 肉芽をやわやわと揉みあげながら、ぱっくりと開いた性器の外周と花びらの間の溝に、赤嶺は執拗に指を這わせ、撫で回します。同時に、ふるえを止められない妻の細い肩先から、微妙な陰影を刻む美しい鎖骨の線の辺りまで赤嶺の唇は這い寄り、妻の躯に秘められたいくつもの感応を呼び起こしていくのです。 
「ああ――――」
 思わず洩れた妻の吐息に、すすり泣くような響きが混じりました。
 その声はぞっとするほど哀切で、聞いている私までがおかしくなりそうで―――
 だというのに、私は異常に昂っていました。興奮と哀れみが混じりあい、狂おしいほど熱を持った目で、私は赤嶺に嬲られる妻を見つめていました。

 一年前、これとよく似た光景を、私はたしかに見たのです。
 脳髄に染みこむようなそのときの幻影は、あれからずっと私の脳裏に揺曳していました。
 ずっと、長い間―――
 そして、今まさにその光景は、現実に、再現されようとしていました。
 私の眼前で―――

「くっ・・・・・んん・・・・っ」

 赤嶺の指が蠢く度にめくり返される妻の汀。躯中の血が集まったようなその紅の濃淡が艶やかに光り、いつの間にあふれだした透明液が花びらにしたたって、妖しくきらめいていました。
関連記事

卒業 21

BJ 8/13(月) 03:19:15 No.20070813031915 削除

「もう―――やめて」

 細く高い声で、私の意識の空白は破られました。

 濁っていた私の視界に、再び妻が映ります。
 後ろ手に縛られた裸身を震わせるようにして、彼女は赤嶺の胸に顔を埋めていました。
 その肩は、しゃくりあげるように動いていました。
 赤嶺はそんな妻をしばし見つめていましたが、ふっと彼女の背後に回り、縛り合わされた両腕をぐいっと掴み下げました。
「あ・・・・・・」
 白い乳房がかすかに揺れ―――
 小さく声をあげた妻の上半身が上向いて、私の顔を正面に捉えます。
 

 私と妻の視線が―――絡みました。
 先程まで怯え、竦んでいた瞳が、今は放心したように揺れ動きながら、私を見つめています。
 その瞳を、後ろから赤嶺の巻きつけた薄布が隠しました。
 視界を奪われる瞬間、色を失った妻の唇がひくっと震え、白い歯がこぼれました。


 私は無意識に妻の名前を叫んでいました。
 けれども、それは声にならなかったのか、妻も赤嶺も反応を示しませんでした。
 ああ、聞こえないのか―――
 無理もない、と私は思います。
 あの男の言うとおり、私はただの―――


 手の自由も、視界までも奪われた妻は足元をふらつかせました。変色した光が妖しく照らすその下で、白くすべやかな裸身がくらくらと舞い動き、床に倒れる寸前で、赤嶺に背中を受け止められました。
「落ち着いて。心配ない。さっきも言ったように、瑞希はもうわずらわしいことからすべて解放されているのさ」
 瑞希。
 赤嶺は初めて妻の名を呼び捨てにしました。
 いえ、初めてではありません。
 一年前のあのときも、この男は妻のことをそう呼んでいました。
「何も考えてはいけない。悩むこともない。ただ歓びを感じればそれだけでいい」
 赤嶺は執拗に「考えるな」と繰り返し、妻に囁きます。
 何もかも忘れて、歓びだけを感じろ、と。
 それは妻に動物になれ、と言っているのと同じです。
 動物の―――牝に。

 赤嶺は妻を抱きかかえたまま、卓の上に腰掛けました。
 浴衣姿の赤嶺、彼の膝上には半裸の妻、その2メートルばかり離れた場所に壁と化した私が立っています。
 そろり、と赤嶺の手が最後に残された妻の下着に忍び入りました。
 くっ、と呻いて妻はあらがおうとしますが、その両手はすでに封じられてるのです。
 笑みながら赤嶺はそんな妻の細い頸に唇を這わせました。
「う・・・・・」
 かすかな声が洩れ聞こえました。
「敏感だな」
 赤嶺はくすりとまた笑うと、妻の眉間に深い縦皺が寄るのが見えました。
「取り繕うのはよしたほうがいい。ここには―――二人しかいないんだ」
 そう囁く赤嶺の目は、今度はしっかりと私を捉えていました。

 息を―――呑みました。

「今夜はすべてを見せてもらうよ」
 言いながら、赤嶺の手が動き、妻の最後の下着を取り去ろうとします。もじもじと脚を動かして、妻は必死に抵抗しますが、無駄なことでした。
 するすると、ささやかな繊毛の叢が露わになり―――

 妻は、生まれたままの素裸になりました。

 裸に剥かれた瞬間、妻はくうっと啼いて目隠しされた頭をむやみに振りました。
 頬が羞恥の色に染まっているのが、遠目からでもはっきりと見えます。
 薄明かりの部屋の中心。妻の雪白の裸身は暗い背景に映えています。
 闇に咲いた白い百合のように。
 その花に、闇そのもののような男が囁きかけます。
「やっと瑞希の身体で一番見たかった部分を見ることが出来た。身体つきは少し変わったが、ここの毛の生えぶりは少しも変わっていないな」
 からかうように言って、赤嶺の手指が艶のある妻の繊毛を梳きました。
 妻がもう一度、くうっと啼きました。
「いい毛触りだ」
 赤嶺は言い、妻のその部分を指でとんとんと軽くたたきました。
「ん・・・・っ」
 妻の朱唇から声があふれます。
「ふふ、柔らかい。ぞくぞくするね。早くこの中に入りたいと、俺の息子がわめいているのが感じられるだろう?」
 赤嶺の股間に乗せ上げられた妻の臀部がもぞりと動くのが見えました。
 私の腋下に、汗が、つっと伝います。
「でも焦るのはよくないな。極上のワインが手に入ったら、まず目で楽しみ、香りを楽しみ、その後でやっと味を愉しむ―――らしいから」
 自分の言葉を自ら茶化して、赤嶺は両手を妻の膝の下に差し入れました。真白なふくらはぎから太腿にかけての肉をニ、三度淫猥な手つきで撫で回した後、不意に赤嶺はその膝を両手で掴んでぐいっと押し広げました。
「ああ――――!」
 思わず弾き出たような妻の悲鳴、不自由な身での抵抗を、むしろ楽しむようにしながら、赤嶺は無情な手を進めていきました。

 私の真正面、卓の上に腰掛けた赤嶺。
 その男の上で、妻の身体の花芯にあたる部分が露わにされました。
 広げられた内股の眩しさと裏腹な、漆黒の繊毛。
 その繊毛の奥の、鮮やかな紅の裂け目。
 均整のとれた妻の肢体の中心に、そこだけ違和感のある生々しい女の器官。
 性器―――


 非現実的な光景でした。
 自分の目の前で妻が他の男に脚を開かされ、女性器を露出させている、その光景。
 それは幻怪で、狂的で―――
 眼球が割れそうに思えるくらい、
 卑猥、でした。


 妻はもがいていました。網の中に捕らえられた蝶が羽をばたつかせるように、哀れに身をよじって。
 けれども、両手を後ろに縛られた身ではその抵抗は、なめらかな腹から股間にかけてを波立たせるような、むしろより扇情的にさえ見える動作にしかならないのです。
 そして、実際に赤嶺は妻のそんな恥じらいの極みといった動きを、本当に楽しそうな目で見つめていました。
 ゆっくりと、赤嶺は妻の耳元に口を近づけ、その耳たぶを唇でやさしく噛みました。
 妻の総身が硬直します。
 耳たぶを噛んだ赤嶺の唇が、離れました。
「何をそんなに慌てているんだい。さっき予告しておいただろう。今夜はすべてを見せてもらう、とね」
 言い終わると同時に、ねっとりと赤い舌が妻の耳を這い―――
 広げられた太腿の中心に、節くれ立った男の指が伸びました。

「やめ――――」

 その叫びが終わるよりも早く、花弁は摘まみとられ、そして妻の秘部は光の下でくつろげられていました。
関連記事

卒業 20

BJ 8/12(日) 05:16:56 No.20070812051656 削除

 私の心臓はすでに破裂しそうなほど脈動を早めていました。
 死の予感すら感じるほどに。
 いや、それは予感などではなく―――
 今宵、本当に、私の心は死ぬのでしょう。
 それは確信に限りない感覚でした。

「何にそんなに怯えているの?」

 赤嶺の声がして、私ははっと顔を上向けました。
 その言葉は無論のこと私に向けられたものではなく、妻の耳元に囁かれたものでした。

「さっきから、ひどく震えている」

 赤嶺の声は普段の彼からは信じられないほど優しい口調でしたが、私にはそれは悪魔の優しさに思えました。
 そして、今ここでこうして震えている私は、悪魔メフィストフェレスに自身の一番大切なものを差し出したファウストなのです。

 赤嶺の身が妻からわずかに離れ、浅黒い手が妻のなめらかな二の腕を優しくさするのが見えました。

「何も心配することはない。貴女は今夜、愉しむためにここへ来たのだ」

 愉しむ―――

 妻の両手を拘束して自由を奪った人間とも思えぬ言葉を吐いて、赤嶺はくるりと振り返り、私を見つめました。


「―――お前は壁だ」


 出し抜けに、赤嶺はそんなことを言いました。

「だから、動けないし、喋れない。ただそこに在るだけのモノだ」

 まるで事実そのままを告げるように、艶のある低音が響き渡ります。
 炯炯たる眼光が催眠術師のそれのように、異様な力で私を見据えていました。
 催眠―――。実際、この部屋の妖しく変えられた照明の光や、赤嶺の態度はまるで暗示をかける術師のもののようでした。
 頭の片隅でそんなことを考えながら、私はどうしても赤嶺の―――メフィストの視線から逃れられずにいました。

 赤嶺はそんな私をしばし見据えた後で踵を返し、部屋の隅に片付けられていた卓の上から薄い布切れを摘まみ上げ、もう一度妻の背後に戻りました。
「これから貴女の視界を奪う。貴女がより気兼ねなく、この夜を愉しめるようにね」
 赤嶺が囁きかけると、妻は一瞬その意味を考えたようでしたが、すぐにいやいやとかぶりを振りました。
「大丈夫。不安に思うことは何もないとさっき言っただろう。貴女はもう何も考える必要はないし、胸を痛める必要もない」
 言いながら赤嶺は妻の肩を抱き、ゆっくりと降り向かせようとしました。
「いや・・・・」
 そのことで、妻は先ほどよりも強いあらがいを示しました。
「いや? 振り返るのが? どうしてかな。後ろに彼がいるからなのかい」
 芝居がかった口調で言って、赤嶺は酷薄な微笑を浮かべました。


「心配しなくてもいいよ。後ろにいるのは貴女の主人などではない。―――ただの壁だ」


 そう告げられた瞬間―――
 自らの表情がぐにゃりと歪むのを私は感じました。
 なぜなら赤嶺の言葉はただの戯言ではなく、私という人間のすべてを否定し、粉々に打ち砕く言葉だったから―――

 赤嶺の言葉に、いっそう妻は抵抗を激しくしました。けれども、男の腕力は、強引に妻を振り向かせました。

 恐怖―――
 それがその瞬間に私の感じていたすべてでした。今の私という人間を、妻に見られることに対する恐怖、でした。


 怯えた妻の瞳が、私を捉えました。


 私の背筋に震えが走ります。


 妻の瞳が見開かれました。


「ごらん、あそこには何もない。ただの壁があるだけだろう」

 赤嶺の囁き声が、どこかで聞こえました。
関連記事

卒業 19

BJ 8/11(土) 04:07:53 No.20070811040753 削除

 茶褐色の薄布をかけられ、変色した照明の下に赤嶺は妻を引き入れ、立たせました。
 大柄な赤嶺と妻とでは、頭一つ分くらい身長の差があります。
 私の立つ場所から見える妻の後ろ姿は、赤嶺を前にしていつも以上に小さく、頼りないものに見えました。
「戸を閉めろよ」
 それまで私を無視していた赤嶺が、ようやく私に声をかけました。けれども、その視線は相変わらず妻を捉えたままでした。
 妻がどんな表情で立っているのか、私の位置からは見えません。
 私は振り返り、こわばった腕で戸を閉めました。
 戸の閉まった瞬間、異空間は完結しました。私と妻は蜘蛛の巣に絡めとられたのです。

 蜘蛛―――赤嶺はしばらくの間、じっと押し黙ったまま妻を見下ろしていました。
 うつむいた妻の顔はその間にもじりじりと伏せられていき、まるくやさしい線を描く肩も次第に下がっていきます。
 その肩に、赤嶺の両手が置かれました。
「―――綺麗だ」
 誉め言葉というよりも事実をそのまま告げただけのように、短くあっさりした言葉で告げて―――
 赤嶺は顔を寄せて、妻に口づけました。

 私の瞼はその瞬間に白く霞みました。

 私の立つ場所からは、二人の唇が触れ合っているその様は見えません。
 見えたのは―――赤嶺の両手に押さえられた妻の肩が、ひくり、と動いたその動作だけでした。
 今朝のようには、妻はもはや抗いませんでした。思わず動いてしまったような肩の動きの後には、彫像のように身動きもせず、従容と赤嶺の唇を受け入れていました。

 自分を愛していると言う夫。その夫によって他の男に抱かれてくれと望まれる矛盾。当の夫の胸の内ですら未だ乗り越えられないその矛盾を、今の妻が心中でどう処理しているのかは分かりません。けれども静かに赤嶺の唇を受け入れる妻の様子からは、己が身が今夜、眼前の男への供物になるという現実をしっかりと認識しているようでした。
 切り捨てようと決意してした鈍い痛みが、私の中で蘇りました。けれどもその痛みが私の意識の刃を尖らせ、身中にやるせない疼きをもたらすこともまた事実なのです。
 それは私にとって、そして妻にとって、何より残酷な事実、でした。

 しかし、今この瞬間も妻に口づけている男には、妻の痛みも私の痛みも徹底的に無価値なのです。

 ゆらり、と―――
 妻の唇を奪い、離さないままの赤嶺の瞳が動いて、その夜初めて私を見つめました。
 薄暗いこの部屋の中で、そこだけ本当に漆黒のその瞳に貫かれた瞬間、私の身体にぞわりと痺れが走りました。
 そんな私の反応を愉しむように、赤嶺の目元がわずかに光り―――
 同時に、妻の両肩に置かれたままだった赤嶺の手が動いて、妻の浴衣の帯に伸びました。
 手品のようにあっさりと、堅く巻き締められた帯紐は解かれ、するりと床に落ちます。
 赤嶺はそこでようやく妻から顔を離しました。瞬間、妻の後ろ姿がくらりと揺れた気がしました。

 赤嶺は私から視線を離し、妻を見つめてふっと笑いました。
 この男は昔からよく笑う男でした。
 皮肉に、不敵に、或いは底抜けに笑う男。
 彼の眼前に立つ女は、あまり笑わない、物静かな女でした。
 そして時折見せる彼女の笑顔は、いつもどこか淋しげな気配を含んでいました。

 まったく別種の性質を持つ二人の男女。けれど―――


 ―――そんなことは結局関係がないのさ。


 再び赤嶺の手が動き、妻の両肩から浴衣を剥ぎ落としました。
 果実の皮を剥くような簡単さで、下着のみを残した白い裸身が露わになりました。

「貴女の身体を拝見するのは一年ぶりだ」
 低く囁くような声で、赤嶺が言うのが聞こえます。
 妻は答えません。また、うつむこうとするその顎を赤嶺の右の手指がつかまえ、上向かせました。
「けれども、少しも変わっていない。いや、むしろ魅力的になったように感じる。肉付きがよくなったせいかな。昔の貴女も美しかったが、少し痩せすぎだった」
 上向かせた妻の顔を見下ろしながら、赤嶺は淡々と言いました。
 妻の肩がまた、ひくり、と動いたのが見えました。
 今この瞬間に妻がどんな表情をしているのか―――
 狂おしいほどにそれを知りたいと思いながら、私の足は床にべっとりと張り付いたまま微動だにしないのです。
 すっと赤嶺の身体が動き、妻の背後に回りました。
 動けない私と同様に、妻も呪縛されたように顔を上向けたまま、同じ姿勢で立ち尽くしています。
 妻の背後に回った赤嶺は私などには目もくれず、すべやかな背肌を舐めるような視線で眺めやりました。
 やがて、赤嶺の手がすっと妻の背に伸びて―――
 はらり、と妻の胸を覆っていた下着が落ちました。
 私の唇から音のない声が洩れます。同時に、ようやく呪縛が解け、妻はしゃがみこんで両腕で胸を隠そうとしました。
 ―――その腕を、赤嶺の太い手が捕らえました。
 妻の腕を掴んだのとは別の赤嶺の手には、いつの間にか、先ほど解かれた浴衣の帯紐が握られていました。

「さしあたりこれは必要がないから、しばらく封じさせてもらうよ」

 判じ物めいた言葉を吐いた後―――
 赤嶺は素早く動いて、妻の両手首を背中に回し、紺の帯紐を巻きつけました。

 あっという間に、妻は後ろ手に鎖縛られ、自由を失いました。
 縛られた後もなお、妻はさかんに固定された両手を動かして、逃れようとする動きを見せました。今夜、彼女が見せる初めての本格的な動揺。けれども、それは見ていて痛々しくなるような果敢ないあらがいでした。赤嶺はそんな彼女のむなしい動作を目を細めて見やった後、ゆったりとした動作で彼女を背後から抱きしめました。
 赤嶺の厚い胸板に覆われて、妻の身体の動きが鎮まりました。
 私の目には二人の後ろ姿しか見えません。けれど、赤嶺の両手は剥き出しになった妻のまろやかな乳房をすっぽりと握り締めている―――はずでした。
 胃の腑の底が、じわりと熱くなりました。
 妻は一瞬、またあらがう動きを見せました。しかし赤嶺の腕がもぞりと動くと、
「あ・・・・・」
 どこをどうされたのか、か細い声を上げて妻の動きが止まりました。


「この胸に触れるのも一年ぶりだね」


 慣れ親しんだ情人のように囁く声。


「やはり前よりも少し大きくなったかな。綺麗な胸だ。やわらかくて、揉み心地もいい」


 赤嶺の腕がまた動き、妻の背中がかすかに揺れ、私の舌は乾いていました。



妻の入院 70
医薬情報担当 8/10(金) 19:22:19 No.20070810192219 削除
 乳房の形が変わるほどに握りしめられ、指先で、クリクリとつまみ上げるように強く弄ばれていても、妻は、痛みを訴えません。
 誰が、どう聞いても、その声は、快楽を訴える淫声そのものだったのです。
 それでも、妻はわが身の家からわき起こってくる、オンナの本能と懸命に闘っていました。
「あぁ、やめて、とって、とってったら」
 妻の懸命な声が時折聞こえるのです。
しかし、懸命に訴えても、その自分の言葉すら身体が裏切って、腰がゆっくりとうねるように動くのが止まりませんでした。
 男の両手は、絶えず、動き続け、腰から脇を撫で上げ、乳房を絞り上げては、乳首を摘む動作を、しつこく繰り返しています。
 あのローションが妻にどう影響しているのでしょうか。
『たまらなくなる』
 秘唇を圧迫されたまま、ローションをすり込まれるように、嬲られ続けているのです。
  山村看護師が漏らしていた言葉どおりだとするなら、妻の身体中には、オンナの快楽の炎がどうしようもないほど燃え上がっているはずでした。
 懸命にこらえようとする妻の腰が、ともすると男のモノをくわえ込もうと動くのも無理からぬことかもしれません。
 しばらく、味わっていない妻の美肉の感触を思い出していました。
 セックスを始める時は、処女かと思うほどひっそりと閉じたその部分が、ひとたび濡れてしまうと、途方もない柔らかなぬかるみと化すのです。
 私の怒張は、そのぬかるみに包みこまれ、そのつもりが無くとも、奥までズブリと一気に飲み込むように入ってしまうのが、いつものことでした。
 そのくせ、ピッチリと隙間無く包み込む感触は、やわやわと微妙にうねりながら強烈に締め付けてくるのです。
 ことに、妻が恥ずかしがるのを無視して、一気に攻めつけ、脚を思いっきり広げて奥まで入れると、先端がプニプニした子宮に包み込まれるのです。
 軟らかな肉ヒダは、数段に別れてギュッと絞るように締め付けてくるのと合わさって、最高の感触なのです。
 ともすると、自分の怒張がどのように妻に包まれているのかわからなくなるような気さえするのです。
 今、男の怒張は、その軟らかな肉の入り口に押し当てられているのです。
 身体が邪魔して、どのようになっているのかは見えませんが、妻のあの狼狽ぶりからすれば、その先端の丸みが、妻の肉ヒダをかき分けるように、くっついているはずです。
 いえ、あれほど、うねうねと腰が動いていれば、次第に、奥へ奥へと怒張を誘い込むように美肉がうごめいているはずです。
 ひょとして、松ぼっくりのような、その大きな丸みを持った先端が、すでに、半分くらいは埋もれているかもしれません。
 男の身体越しに見る妻の腰は、抑えようとしてもじっとしていられないように見えます。
 その、淫らな動きは、妻の意識がオンナの快楽に飲み込まれてしまったように見えていました。
『美穂、がんばってくれ』
 情けない私は、心の中で、届きもしない声援を送るしかありませんでした。
関連記事

卒業 18

BJ 8/10(金) 04:02:52 No.20070810040252 削除

 ゆっくりと雫が垂れ落ちるような時間が過ぎて、また、夜がやってきました。

 天橋立で迎える三度目の夜は、昨晩のように悪天候に見舞われることもなく、私の外側の世界は穏やかそのものでした。
 やがて朝が来て、この暗闇の結界が力を失う頃に、私はどんな顔を新しい日の光に晒しているのか。
 そして、妻は―――

 妻は夕方に一度駅前の温泉に行ったというのに、夕食後にもう一度、宿の湯へ浸かりにいきました。
 今宵、赤嶺の目に晒す己が身を浄めるために。
 その事実を噛み締めるだけで胸の内にぐずぐずと生じる、この不安と嫉妬の入り混じった気分の高まりはいったい何なのか。
 今まで幾度となく雪崩のように押し寄せてきたこの感情は、ついに私と妻の立っていた場所もろとも突き崩し、押し流してしまいました。
 その先に待つのは―――いったい何なのか。
 私は立ち上がって、窓を開けました。静謐な夜。暑かった昼間の残滓を含んだ空気に、蝉の鳴き声がかすかに響いています。
 そして結局禁煙に失敗した私の吐く紫煙は、吸い込まれるように、べっとりと暗い闇の中へ消えてゆきます。
 その煙を捕まえようとする行為くらい意味もなく、私は窓の外の虚空に手を伸ばしました。
 空には鋭い三日月がかかり、その蒼褪めた光は暗闇に伸びた私の腕を照らしていました。

 戸の開く音がして振り返ると、妻が戻ってきたところでした。
 普段と比べて少し面やつれしたように見えるその顔。装った表情の平静さと裏腹に、その顔は今にも崩れてしまいそうな危ういものを孕んでいるようでした。浄められたばかりの細身は、息苦しいまでにきっちりと着つけられた白の浴衣でよろわれています。
 そんな妻の姿に、私は今しがた見つめたばかりの三日月の幻影を重ねました。
 細く、鋭く、凛として、けれど今にも闇に呑まれてしまいそうな儚い美―――
 彼女の姿を見慣れた目にもそんな感慨を起こさせるほど、今宵の妻は綺麗に見えました。
 しかし、それを口に出すのは、私には出来ないことでした。
 
 しばしの間、私は無言のまま、静かな刻を過ごしました。
 それは私が今の私のままで、妻が今の妻のままでいられる最後の時間―――なのかもしれないのでした。
 けれど―――この瞬間に至っても、私の中にふつふつとわきおこる様々な想いの形は、妻の内面のそれと完全に一致してはいないのでしょう。
 私はそれを思ってひどく悲しい気持ちになりました。けれども、そのことで本当に悲しむべきなのは、悲しんでいるのは、やはり無言のまま座している妻のほうに違いありませんでした。

 言葉のない時間。しかし、私の耳にはあの沈黙の音がずっと流れ続けていました。
 妻の耳にもきっと、その音色は響いていたことでしょう。
 それだけは―――たしかなことでした。


 そして時は―――満ちました。

 私は目で、そのことを、妻に告げました。
 妻は、静かに立ち上がりました。
 私も立ち上がり、妻の前に立って戸を開きます。
 さすが格式の高い宿と言うべきなのか、黎明荘の客で夜中に騒ぐ者はいないようでした。
 だから、磨かれた木の廊下はとても静かでした。
 私はそのことを、ほんの少し、うとましく思いました。

 今度は妻が先に立って、廊下の道を歩み始めました。
 沈黙の音はとうに鳴りやんでいます。
 妻はそれこそ音もなく、ゆっくり歩を進めていきました。
 その粛々とした足取り。
 モノクロームのような光景の中で、薄い照明に照らされた妻のうなじだけが蒼みがかって見えます。
 途中で一度だけ、りん、と廊下が鳴いて、はっと現実に呼び戻されたような心地がしました。

 永遠のように思える一瞬が過ぎて、かすかに翻る妻の浴衣の裾がその動きを止めました。
 妻の前には、扉がありました。
 道行きの途中、妻は一度も私を振り返りませんでした。そのときもそうでした。しかし、私は妻がその瞬間、振り返らずに私を見たのを感じました。
 私はその視線を避けるようにすっと動いて、妻の前に立ちました。
 戸に手をかけるとき、その手が震えるのを私は抑えることが出来ませんでした。


 なぜなら、あの男は言っていたから。
 今夜は鍵をかけないでおく、と―――


 震える私の手で―――
 扉はゆっくりと開かれました。

 部屋の中に目をやったとき、異様な感覚がありました。すぐにそれは照明のせいだと分かります。この部屋の主である私の古い友人は、昔から宿に泊まると、その部屋の照明にスカーフなどをかぶせて自分好みに光を変える癖があるのです。
 そして今夜、彼の部屋の照明には茶褐色の薄布が巻きつけられていました。
 ただそれだけで、純和風のこの部屋はつくり変えられ、妖しい趣に満ちた異空間へと変貌を遂げていました。


 ―――変えてやるよ。


 それがこの男の生まれ持った性なのだ。

 私はぼんやりとそう感じました。


 男―――部屋の主は、部屋の奥に座っていました。

「―――遅かったじゃないか」

 錆のある低音でそう告げて―――
 男は立ち上がり、まっすぐに近づいてきます。
 深い海のようなその瞳は、まったく私のほうを向いていませんでした。

 この部屋に私たちが足を踏み入れた瞬間から―――
 男の目が見つめているのは―――

「さっきからずっと、待ちかねていたよ」

 すっ、と薄闇の中から太い腕が伸びて―――
 傍らの妻の手を掴み、自らの空間に引き入れました。
関連記事

卒業 17

BJ 8/7(火) 18:31:32 No.20070807183132 削除

 赤嶺が出て行った後―――
 しばし私はその場に立ち尽くして、畳の上にしゃがみこんで動かない妻を見つめていました。
 目の前のうなだれた妻の姿が、私の選択したことの結果でした。
 先ほどの赤嶺の行為は、一足先にそれを私に思い知らせるためのものだったのではないか。あの男が真実何を考えているかなんてまるで分からないものの、私は頭の片隅でふとそう感じていました。
 無言のまま、私は畳に膝をつき、妻のもとに這い寄りました。
 妻の前髪は乱れて目元にかかっていましたが、それを払いのけることもせず、妻はぼんやりと座っていました。横向きに倒した膝の浴衣の裾が割れて、真白なふくらはぎが露わになっていました。
 まるで犯された後のような妻の様子があまりにも痛々しくてたまらなくなった私は、正面から妻の肩を引き寄せ、その身体を抱きしめました。
「ごめん・・・瑞希」
 妻の身体の小鳥のような軽さに今さら驚きながら、私は必死の想いで囁きました。
「本当にごめん・・・・」
 文字にすればわずか三文字のその言葉のあまりのかるさ。それに少しでも重みを加えるためにも、私は何度も繰り返しその謝罪の言葉を口にし続けることしか出来ませんでした。
 こうして胸に抱きしめている温かいものの存在は、こんなにも私の心を切なく締めつけずにおかないのに。
 どうして私は彼女を傷つけずにいられないのか。
 なぜこうも罪深い妄執から逃れられないのか。
 赤嶺ならきっと簡単に理屈づけるであろうその答えは、今もって私の中にありませんでした。
 ふと、胸に抱きしめた温かいものが動くのを感じました。
「瑞希―――」
 言いかけた私の唇は、妻の唇で塞がれました。
 驚いたはずみに身を離そうとした私の頸を、妻の腕が抱きしめていました。
 その力は普段の彼女にはありえないほど強く。
 本当に、強く。
 なぜかそのことが私の胸を激しく揺さぶって、気がつくと、私は涙を流していました。
 すっと妻の唇が離れ―――
 曇った私の目に、同じように目尻を涙で濡らしている妻が映りました。
 私は彼女に向かって何かを言いました。おそらくはもう一度、謝罪の言葉を。しかしそれはまともな言葉にならず、私は重くてたまらない頭をがっくりと妻の胸に預けました。

「いいんです。赤嶺さんも仰っていたとおり・・・もう決心はついているんです」
 頭上で妻の声がしました。それはたしかに母親が子供に言い聞かすような、すべてを許そうとする言葉でした。
 私は―――妻の胸から身を起こし、首を振りました。
「駄目だ。瑞希は、俺のことを、決して許さないでくれ」
「・・・許すも許さないもありませんよ」
 妻の涙はすでに乾いていましたが、黒曜石のような瞳の光沢がその名残を伝えていました。
「夫婦・・・なんですから」
 幼いうちに父母と死に別れ、引き取られた叔父夫妻ともあまり折り合いが良くなかったらしい妻が、「夫婦」という言葉にどんな気持ちをこめているのか―――、私にはよく分かりません。けれども、彼女にとって、私が夫らしい夫にはなりきれなかったということだけはたしかでした。
 そればかりか―――
「―――昼御飯まだでしょう? 外へ食べに行きませんか」
 さりげない口調で言って、妻はじっと私を見つめました。
 その唇が動きました。
「あなたが泣くところを初めて見ました」
「・・・・・・・」
「いつも、私ばっかり泣いているのに」
 そう言って―――
 なぜかそのとき、妻はかすかに口元をほころばせ、そして、私の胸はずきりと痛みました。

 ようやく普段着に着替え、宿を出た私たちは天橋立駅へ向かう道を並んで歩きました。
 昨日までの日傘の代わりに、妻の左手は私の右手を握り締めていました。
 駅の前まで来たとき、私たちは笛の音を聞きました。どこかで聞いたことのあるようなメロディーに誘われるように少しだけ出来た人だかりの向こうに目をやると、そこには南米風の民族衣装を着た演奏家らしい男がいて、笛を吹いていました。
 私はそのメロディーをやっと思い出しました。その曲は“コンドルは飛んでいく”でした。
 立ち止まった私に合わせて妻も足を停め、男が流暢に演奏する笛の音色に耳を澄ませていました。
 やがて“コンドルは飛んでいく”は終わり、男は新たな曲に取り掛かります。
 今度の曲もまた耳馴染みの、というより、私と妻にとっては生涯でもっとも思い出深い曲、“サウンド・オブ・サイレンス”でした。
「卒業・・・・・」
 妻の呟く声が聞こえました。


 『卒業』という映画があります。
 1967年に公開されたこの映画は、主演ダスティン・ホフマンの名を一躍有名にした青春映画の古典で、劇中で流れるサイモン&ガーファンクルの主題歌“サウンド・オブ・サイレンス”とともに、日本でも広く親しまれています。
 この『卒業』は私と妻が初めて一緒に観た映画でした。
 私たちは見合い結婚でした。恋人期間を経ずに結婚したこともあって、新婚当初からずいぶん長いこと、私たちはぎこちない関係を続けていました。これではいけない、と気持ちは焦っていたのですが、時間が経っても打ち解ける気配を見せない妻に、私は戸惑っていたのです。
 『卒業』を見たのは、ちょうどその頃、結婚して約半年経過したある休日のこと。私から、妻に「映画でも観に行かないか?」と誘ったのでした。
「どんな映画が観たい?」
 私が聞くと、妻は静かに情報雑誌を眺めていましたが、やがてその視線はあるページで留まりました。そのページに載っていたのが『卒業』で、公開何十周年記念とかいう名目のリバイバル上映でした。
 古い映画を観る趣味はなかったのですが、『卒業』の名前は知っていて、青春恋愛映画のクラシックだということも知識にはありました。
 少しだけ意外でした。その頃の妻は表情も身のこなしも物堅い一方で、青春にも恋愛にもまったく興味がなさそうな女性に見えていたからです。そんな私の気持ちが伝わったのか、妻はちょっと羞ずかしそうな顔になって、「やっぱり、別のもっと新しい映画でいいです。私はもう何回も観ていますから」と言い訳するように言いました。
「いや、これでいいよ。俺はこの映画を観たことがないし、君がそんなに好き映画なら興味あるから」
 私が言うと、妻は、
「別に、そんなに好きな映画というわけでもないんですけど・・・」
 と、よく分からないことをまた言いましたが、結局、外着に着替えるために立ち上がったのでした。

 『卒業』の主人公はダスティン・ホフマン演じる大学生ベンジャミンです。映画の冒頭で、彼は両親の友人であるロビンソン夫妻の妻、ミセス・ロビンソンと不倫関係に陥るのですが、その後、夫妻の娘エレーンと恋に落ちます。しかし、上述の不倫関係がやがてエレーンの知るところとなり、二人の関係は一度破綻を迎えます。
 けれど、ベンジャミンはエレーンのことを諦めきれず、今の感覚で言えばストーカーのようにも感じられるしつこさで、エレーンに追いすがります。そしてやってくる有名なクライマックス、ベンジャミンはエレーンが別の男と結婚式を挙げている教会に駆けつけ、彼女を奪って逃げるのです。
 映画の内容で一番私の記憶に残ったのは、エレーンとの関係が破綻を迎えて以後、数々の惨めな想いを味わってなお、ベンジャミンが彼女のことを追いかけていく場面でした。男の哀れさ、ここに極まれりといった表情で、私だったらあんなふうにプライドも何もかも投げ捨てて、一途になれるだろうか、と、意味もなく我が身を振り返ったりしました。

 その日、梅田の小劇場で『卒業』を観て後、私と妻は近くの喫茶店に入りました。
 相変わらず口の重い妻に、私は今見た映画の感想、つまり上記の内容ですが、そのことを一方的に喋りました。
「君はあの映画のどこが好きなの? もう何回も観ているんだろ?」
 語り終わって妻に訊ねると、彼女は首を振って、
「そんなに好きな映画というわけではないんです。でも、忘れられなくて」
「忘れられない、というのは?」
「私がたぶん生まれて初めてちゃんと観た映画だということもあるんですけど・・・昔から、あのラストシーンが凄く印象に残っているんです」
「ラストシーンっていうと、主人公とヒロインが一緒にバスに乗って駆け落ちするところ?」
「そうです。あのバスの中のシーンで二人は最初笑顔なんですけど、すぐに不安そうな表情になるんですよね。お互い視線もろくに合わせないし、なんだか心配そうな顔をして、二人とも別々のことを考えながら、これから先の未来を憂えているような雰囲気で・・・」
「そうだったかな」
 私は記憶を探りました。言われてみると、妻の語るとおりだった気がしました。それまで、私には単純なハッピーエンドのように思えていたのですが―――
「その場面がずっと忘れられなくて・・・哀しくなるから、もう観たくないと思うんですけど、また観てしまうんです」
 呟くように言った妻の声には、たしかに哀切な感情が滲んでいました。
 そのとき、私は結婚して初めて、妻という女性の内面に少しだけ触れた気がしました。それと同時に感じたのは、同じ人間で同じように暮らしていても、その目に映って見える世界はまったく違うものなんだ、という今さらながらの実感でした。

 
 ―――あのとき、自分が感じた漠然とした感傷を、今こうして笛の音で奏でられる“サウンド・オブ・サイレンス”を聴きながら、私は思いだしていました。
 傍らに立つ妻は、瞳を閉じて笛の音色に耳を傾けています。
 先ほど「卒業・・・・・」と呟いたとき、妻が何を想っていたのか。
 何を想いながら、今もあの哀しげなメロディーに耳を澄ましているのか。
 旅立った先でベンジャミンとエレーンの二人がどんな未来を迎えたのか分からないのと同じように、私には今の妻の気持ちが分かりません。
 分かっているのはただひとつ、私たちもまた旅立ちの時期を迎えようとしているということだけです。
 そして私たちがこれから卒業しようとしているのは、妻がこれまで必死に守ろうとしてきた平穏な日常そのものでした。
 すぐに時間は過ぎ去り、日は暮れ落ち、夜がやってきます。
 あの男の待つ夜に。
 私と妻は今、バスに揺られているのです。
 そして、静かな教会から妻を連れ出し、その手を引いて、彼女をバスに乗せたのは私でした。
 “サウンド・オブ・サイレンス”―――沈黙の音が、終わりを告げました。私は妻の手を握りしめた右手に少しだけ力をこめました。妻がうっすらと瞳を開けて、私を見ました。
「・・・行こうよ」
 小さく告げて、私は歩き出しました。
関連記事

卒業 16

BJ 8/6(月) 18:41:31 No.20070806184131 削除

 赤嶺に連れられて妻が戻ってきたのは、それから一時間も経った頃でした。

 昨夜見た浴衣姿のままの妻は、赤嶺の後ろから伏目がちに、けれどもしっかりした足取りで部屋に入ってきました。すでに外の気温は相当高かっただろうに、妻はその首筋に汗ひとつかいていませんでした。
「どこに・・・行ってたんだ?」
 なんと言葉をかけていいものか迷った私は、そんなどうでもいいことをまず口にしました。
「近くの公園だよ。ここらで早朝に時間をつぶせる場所なんて、あそこくらいしかないからな。すぐに見つけられたよ」
 妻ではなく赤嶺が答えました。そして赤嶺は私を見、それから、ちらりと妻を見ました。
「お前の気持ちは奥さんに伝えておいた」
「――――――」
「奥さんも納得してくれたよ」

 赤嶺がそう告げた瞬間―――
 折れてしまいそうなほど細い頸がかすかに揺れ、うつむいた妻の額に髪が一筋はらりと落ちるのが見えました。
 握りしめた私の掌に、じっとりと汗が滲みました。

「そういうことだから―――また今夜」
 私たちの間に漂う危うい緊張感をものともせず、赤嶺は平然と言葉を続け―――

 ―――不意に。

 左手を伸ばして、赤嶺は妻の顎をつかまえました。

 驚いた妻は身を離そうとしましたが、そんな抵抗などないもののように赤嶺は動き、妻の唇に唇を重ねました。

 刹那の仕業。

 口づけされている間も、妻はしばらく赤嶺から逃れようと細腕で厚い胸板を押していましたが、やがてその腕は力を失い、だらりと垂れ下がりました。
 たおやかな腰を赤嶺の太い腕ががっしりと抱え、ずり上がった浴衣の裾から白い脛が覗きました。

 瞳に焼き付くような、その脛の生々しい白さ―――
 まるで見てはいけないようなものを見てしまったような、そんな気分を起こさせるほどに。
 それは強烈な―――
 酩酊感。
 
 赤嶺に口づけされている間ずっと、地面から離れた妻の踵は引き攣れるような動きを繰り返していました。
 哀しげにさえ見える、その動きの儚さ。
 呆然と立ち尽くしたまま、私はすべてを見つめていました。

 しばらくして、ようやく赤嶺は妻の顔から顔を離しました。

 一瞬、眉間に皺を寄せて苦しそうな表情になった後―――
 ふらり、と崩折れるように、妻はその場にしゃがみこみました。

「赤嶺・・・・」
「契約の手付けのようなものだよ」
 むしろ冷静な口調で言って、赤嶺は身を翻しました。
「じゃあまた、今夜。部屋に鍵はかけないでおく」
 異形の男はそれだけ告げて、私たちの部屋を去りました。

 そして、私たちは取り残されました。
関連記事

卒業 15

BJ 8/6(月) 03:52:43 No.20070806035243 削除

 窓から差し込む陽光で、私は目覚めました。

 傍らに目をやると、妻の姿はありません。布団に手をあててみても、そこに感じられるはずの人肌の温もりはすでに絶えていました。
 私は起き上がりました。
 身体の節々が、痛んでいました。
 昨夜の自分。そして昨夜の妻。そのすべての記憶が蘇り、私は無意識に胸の辺りを手で押さえました。
 眩しいほどの日の光が、昨夜ここで繰り返された私の罪を現実の絵に変えていました。

「瑞希?」
 名を呼びながら襖を開けましたが、そこに妻の姿はなく、私の呼びかけに答える声もありません。
 時計を眺めると、時刻はまだ早朝です。あれからまだ数時間しか経過していない、その事実に私は今さらながら慄然としました。
 そして、これから、私たち夫婦にのしかかってくるはずの時間の重さにも。
 私は窓際の椅子にどさっと身体を預けました。
 窓の外に広がる海は、昨日の夜とうってかわって晴れわたり、眩しく輝いています。
 澄みきった空には、雲のひとかけらもありませんでした。
 私はまたも煙草に手を伸ばし、火を点ける前に、いや、こんなことをしている場合ではない、と思いなおしました。
 妻を―――探しに行かなければ。
 それが今の私のしなければならない責務でした。
 そうしなければ、私は―――

 煙草の箱を投げ捨て、立ち上がったとき、ノックの音がしました。
 この部屋にノックをして入ってくる人物は妻ではありえません。
 妻でないとすれば、それは―――
「入れよ。鍵はかかってない」
 戸の向こうに声をかけました。
 すっと戸が開いて、浴衣姿の赤嶺が姿を現しました。
「よう。いい朝だな」
 眠そうに欠伸をしながら、赤嶺は咥え煙草のままで器用にそんなことを言いました。
 昨夜―――妻を抱いた男。
 その男を前にして、私はどんな感情をこめて彼の顔を見ればいいのか分かりませんでした。自然、私は伏目がちになりました。
「朝からなんて顔してんだよ。お日さんが驚いて空から落っこちるぜ」
 そんな私を見て赤嶺はけたけたと遠慮なく笑い、宙に向かって紫煙を吐きました。
「いつどんなときでも変わらないお前が羨ましいよ」
「変わってるさ。昨日はすんでのところでお預けをくらったんでな。がっかりして一晩眠れなかった。おかげで寝不足だぜ」
 何気ない口調で赤嶺が言うのに、私の耳が反応しました。
「―――お預け、って何のことだ?」
 ゆっくりした動作で煙草を灰皿に捨てて、それから赤嶺は興味深そうに私を見やりました。
「そっか。奥さん、言わなかったのか」
「・・・・・・・」
「昨日、たしかに奥さんは俺の部屋にやってきたよ」畳の上にどっかり腰を下ろしながら、赤嶺は言いました。「でも最後まではいかなかった。つまり寸止め。俺にとっては最悪」
「どうして・・・・?」
「どうしてって言うなら、お前こそなんで来なかったんだ? 奥さんが俺に抱かれるところをもう一度見たくて、奥さんを俺のところに寄越したんだろうに」
「・・・・そうだよ」どんなに認めたくなくても、認めざるをえない事実でした。「そのとおりだ」
「だったらなんで来なかった」
 私は一瞬言おうかどうか迷いましたが、もはや隠しごとをする相手でもないだろうと思いました。
「・・・ショックで腰が抜けたようになってた。動こうにも動けなかった」
「なんだよ、それ。お前が自分で奥さんを寄越したんだろ」
「それがショックだったんだよ。懲りないでお前の誘惑にのってしまった自分と、瑞希に対してああも残酷な態度をとれる自分がね」
「全然わけが分からん」
「お前には一生分からないだろうよ」
 そう言いながら私は考えていました。本当におかしいのは目の前にいるこの男なのか、それとも私のほうなのか―――
「どっちみち、お前がそんな踏ん切りのつかない態度だからこそ、奥さんも余計混乱したんだろうよ。せっかくいいところまでいってたのに、突然泣き出して、これ以上はどうしても駄目だ、駄目だと喚くのさ。そういう普通の女みたいな取り乱し方をしないのが、奥さんのいいところだと思ってたんだけどな」

 ―――どうしても駄目。

 ―――まだ、決心がつかないんです。

 ―――きちんと覚悟が出来るまで、許してください。

 昨晩、妻が赤嶺に告げたというその言葉。
 妻の意識の中では、おそらく、私に向かって告げられていたのであろうその言葉。

 私は―――深いため息をついて、右手で額を押さえました。

「またそんな死人みたいな顔しやがって。いいかげん辛気くさいぜ。それにどのみち賽は投げられたんだ。昨日の晩、お前が選択した時点で」
「今なら戻ることが出来るんじゃないのか? 何もかも元通りってわけにはいかなくても」
「お前が本当にそれを望むならな」
 赤嶺はきらりと光る目で、覗き込むように私を見つめました。
「どうだったんだ? 昨夜、お前は帰ってきた奥さんを見て、俺に抱かれてきたと思い込んでいたんだろう? そのときお前はどんな気持ちだったんだ? 普段じゃありえないくらいに昂ったんじゃないのか?」
「それは―――」

 それはそのとおりでした。しかし、昂っていたのは、私だけではなかったのです。
 妻は―――その数刻前まで赤嶺に肌身を嬲らせていた妻は、決心がつかないと泣いて戻ってきた妻は、あのときたしかに情を昂らせていたのです。
 その姿は見たこともないほど妖美で。
 ぞっとするほどに艶めいていて。
 狂おしいようなあの姿は、目の前にいるこの男の手になるものだったのか。
 それとも―――妻が身中深くに秘めているもうひとつの貌なのか。
 もしそうだとしても、私には彼女のそんな別の表情を引き出すことは出来ないでしょう。
 私の前では妻はあくまで妻であり続けるでしょう。
 彼女がそれを望むから。

 けれど―――
 けれども私は―――

「奥さんは素質があるよ」
 私の心中の動きを読み取ったように、赤嶺はぽんと言いました。
「女としての素質がね。その気になれば誰よりも歓びを得られるし、誰よりも美しく変わっていける。あれほどの素質は千人に一人さ。本人は気づいていないかもしれないけど、女の専門家が言うんだから間違いない」
 赤嶺はにっと笑って、頭の後ろで両手を組みました。
「あとは奥さんも言ってたように、覚悟次第だろ。でもそれは奥さんの問題というより、お前の問題だな」

 この男は―――
 いざなう者だ。
 今も昔も。
 適当な言葉を吐いているように振る舞いながら、その実、すべてをその手に握りしめて。
 掌の上でひとをよろこばせ―――
 苦しませ―――
 導いていく。

「お前がいなかったら、俺はもっとずっと静かに生きていけたのにな」
 ぽつりと呟くように、私は言いました。
「静かで平凡な暮らしなんて、何が面白いんだ」
 片方の眉を吊り上げながら、赤嶺は侮蔑するように私を見ました。
「瑞希はそれを望んでいたよ。守ろうとしていたよ。この一年ずっと、そんな静かな暮らしを」

 ―――私はこのままでいい。このままがいいんです。
 ―――どうして・・・駄目なんですか。

「でも、お前はそんな暮らしで満足できる奴じゃない。それだけのことだ。お前と俺は昔から同じ側の人間なんだ」
 赤嶺はそこで言葉を切り、改めて私を見ました。
「決心はついたんだな?」
 私は―――
 うなずきました。
「それなら結構」
 冗談めかしたように言って、赤嶺はひょいっと立ち上がりました。
「どこへ行く?」
「奥さんを探してくる。朝、俺の部屋から宿を出て行く奥さんの姿が見えた。浴衣のままだったから、そう遠くへは行っていないはずだ」
 赤嶺は歩き、戸口の前で振り返らずに言いました。

「大丈夫、奥さんもすぐに覚えるさ」

 何を―――と聞く前に、扉は閉じられていました。
関連記事

««前のページ  | ホーム |  次のページ»»


  1. 無料アクセス解析