弱い鬼 9/24(日) 05:53:18 No.20060924055318
彼の妻に対する想いは、ストーカーに近いと思いました。
ただ妻を想っていた年月を考えれば、もっと根の深いものかも知れません。
彼は妻を振り向かせる為に、考えられる努力は全てしてきたと言います。
仕事も何がしたいかではなく何が儲かるかを考え、二十代で独立して、今では社員を20人抱えているそうです。
妻を守る為に武道を習い、ジムに通って筋肉もつけました。
「当時は俺も若かったから、いつか力尽くでもあんたから優を奪ってやろうと思って習い始めたが、優の気持ちが俺に向かなければ何にもならないと分かったから、優が俺を愛してくれた時に、あんたから優を守ってやる為に強くなろうと目的を変えた。腕力に頼れば負けた時に惨めになるだけだと、あんたも昨日分かっただろ」
彼は見掛けも気にして二重瞼に整形もしたのですが、妻は未だにその事に気付いていないそうです。
「容姿だけ変わっても、そんな薄っぺらな物はすぐに剥がれる」
「変わったのは容姿や身体だけだと思うか?今の俺は、身長以外はあんた負けない。逆に聞きたいが、あんたは俺に勝てるところはあるのか?俺はあんたよりも優を幸せに出来る。現にあんたでは絶対に出来なかった、子供を授けてやる事まで出来た。あんたよりも俺の方が、優と相性がいいらしい」
これを言われると、私には言い返す言葉がありません。
「そうそう。相性と言えば、体の相性もぴったりだったぞ。優は毎回凄く満足してくれて、凄い声を上げていた。もっとも、俺もこの日の為に努力したが」
彼はこの十数年の間に、300人くらいの女性を抱いたそうです。
それも女子高生からプロ、近所の主婦に至るまで、年齢も16歳から60歳まで、あらゆる職業の女性を抱いたと言います。
「勿論優だけの為ではなくて、俺の性欲を満たす為でもあったが、優を一度でも抱く事が出来たら、その時は俺から離れられなくなるほど満足させるのが目的だった。セックスでも優を俺の虜にして、心だけではなくて身体も離れられない様にしてやろうと思った。だからただセックスするのではなくて、どうやったら女は喜ぶのか、どうやったらより快感を得るのかを常に考え、SMから野外露出まで、ありとあらゆる事を経験した。おかげで優の乱れ様は凄かったぞ。一度の挿入で、優は最高何回逝ったと思う?」
「黙れ!」
「幸いこの国では不倫は違法行為でも犯罪では無い。民事だから金で済む。金ならいくらでも出すから、早く離婚して優を開放してやってくれ」
「断わる!」
「そうか・・・・・・・・また来るから考えておいてくれ」
今までは妻の妊娠ばかりが気になっていて、妻が彼に抱かれている姿までは想像しませんでしたが、彼が帰って行くとその事が気になって仕方がありません。
『キスをする時、優香は舌を入れたのか?奴のオチンチンを舐めたのか?指で逝かされた後、俺との時のように自分から欲しがったのでは?』
彼の目の前で、あの妻が大きく脚を開いた恥ずかしい姿を晒し、誰にも聞かせたくない恥ずかしい声を上げていたかと思うと息が詰まります。
妻との事を彼から聞くのは耐えられませんでしたが、妻が何をされたのか気になって、母子健康手帳を見つけて途中で探すのをやめてしまった、妻の日記を探しました。
ようやく見つけた日記は三冊あり、どれも自由に日付が書き込めるようになっていて、結婚当初は毎日のように私への愛が綴られていましたが、しだいに書く間隔が空いてゆきます。
そしてそれは、特別の出来事があった時につけるだけに変わって行きましたが、所々に子供が出来ない辛さも書かれていました。
子供が欲しい。
主人の子供がどうしても欲しい。
いったい何が原因なのだろう。
私と主人の相性が悪い?
そんなことは絶対無い。
私は主人をこんなに愛しているのだから。
これなら原因があった方がましだ。
何か病気があれば排卵誘発剤など、何か薬を処方してもらえるかも知れない。
結婚して6年目ぐらいからは仕事の話題が多くなり、妻が仕事に没頭してゆく様子が分かりましたが、それでも私への愛も書かれていて、その様な箇所を見つける度に目頭が熱くなります。
『この妻が、どうしてあの様な事に』
気が焦る私は、昨年の同窓会があったところまで飛ばしました。
今日は同窓会に行って、懐かしい友の顔を見られてリフレッシュ出来た。
中でも明ちゃんが立派に成ったのにはみんな驚く。
明ちゃんは立派な車に乗って現れ、聞けば独立して社長になったと言う。
勉強ばかりしていてひ弱だった体も、健康の為にジムに通っているとかで筋肉で一回り大きくなり、私を片腕で軽々と吊り上げて見せた。
明ちゃんにせがまれて、帰りにメールを交換したが主人に悪かったかな?
これが逆なら私は嫌だから。
彼は妻に告白する事は無く、妻の日記からは昔話や他愛も無い話を時々メールでやりとりしていた様子が伺えます。
その後も彼は、焦らずゆっくりと妻の中に入り込んで行ったので、結果は分かっているのに、私は小説でも読んでいるかのように『優香。奴の企みに気付け』
と心の中で叫んでいました。
しかし幼馴染みで彼を信用し切っている妻は、気付くどころか兄弟のように暮らしていた昔に戻ったかのような錯覚に陥り、彼を男として見る事は無く、何の警戒もせずに会い始めます。
私が退社すると、会社の前で明ちゃんと偶然会った。
こちらにも得意先が出来たので商談に来ていたらしいのだが、こちらに来たのは初めてで、ホテルに帰る道に迷ったようだ。
これからはちょくちょく来なければならないと言い、右も左も分からないので、美味しい物を食べさせてくれる店を教えて欲しいと言われたので案内してあげた。
結局私もご馳走になってしまい、こんな奇跡のような偶然もあるのだと感激していた私は、主人に連絡するのも忘れてはしゃいでしまって遅くなってしまった。
帰ってから主人に話そうと思ったが、余りに帰りが遅くなったので、別れる時に明ちゃんが言った「俺達は男と女とは思っていないが、ご主人には悪い事をした。俺が旦那なら良い気はしない」と言う言葉が頭に浮かび、咄嗟に主人には残業だったと嘘を吐いてしまった。
あなた、ごめんね。
その代わり今夜はサービスするから。
これを機会に、妻は彼と度々会って食事をするようになるのですが、嘘とは怖いもので、この日彼の言葉で私に言いそびれたばかりに、次に会っても最初に嘘を吐いた事がばれて、彼との仲を疑われるのでは無いかという思いが先に立ち、妻は彼と会う度に私に嘘を吐くようになってしまいます。
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